9月6日、イッコーさん、ノジ(記)
6時30分駐車場発。ノジに叩き起こされたイッコーさんのテンションは低く、アプローチの段階で疲れた、疲れたと仰る。ノジは、ともかく、沢に足を浸すことができる、というだけで、もう大変に満足であり幸せである。7時05分入渓地点着、7時20分遡行開始。
沢にはフェルトでもゴムでもよく滑るコケが生えている。慎重に歩きながら七つ小屋裏沢を通り過ぎると、徐々に滝が増えてくる。それがまた、これといった大きな滝ではないのだけれども、コケで滑るので若干緊張する。7メートルの大滝は、ザイルを出そうかと思ったけれども、イッコーさんがとりついてみると難なく越せる。このあたりからさらに滝が大きくなってきて、三俣に至る。本谷を選択すると8メートルの滝である、横のリッジからのっこすのだが、ここでノジがハーケンを忘れてきたことに気が付く。おかげでイッコーさんには緊張するトップをお願いすることになってしまった。イッコーさんごめんなさい…。
しかしそこはさすがイッコーさん、安定した登りで難なくリッジを終えて、ブッシュに入り懸垂で沢に戻る。もっとも、後でお伺いすると、このリッジはイッコーさんでも緊張されたそうで、ノジは今後二度とハーケンを忘れないようにします、はい。
その先もチムニーやらスラブっぽいのやら、微妙な滝を超えていく。これと言って大きな滝ではないのだけれど、一手、一歩がまさに「びみょー」としかいいようがない滝ばかりで、何とも言えず気が抜けない。
登り詰めていくと水が枯れ、スラブ帯に突入する。どこを詰めるかをいっこーさんと協議しながら、稜線を目指す。若干のヤブ漕ぎを経て、無事に登山道に這い上がる。遡行開始時、なんとなく霧にけむっていた空は意外にも青く晴れ、谷川や苗場の山並みがよく見える。12時30分。登ってきた沢も眼下に見渡せ、達成感はひとしおである。イッコーさんとともにしばし休憩。
そして下山開始。美しい自然林の中を、イッコーさんとあれこれ沢トークしながら下ればあっという間である、ここは、あと数週間もすればかなりキノコが採れるであろうと思われる。なんということもなく駐車場に戻り、越後湯沢の温泉に入って帰京。
総括。
イッコーさん、ハーケンを忘れてごめんなさい!もう絶対に忘れません。それにしても、というか、いつものことながら、イッコーさんの華麗な滝登りとルート判断はやはりさすがとしか言いようがなく、わが身におけるイッコー力の不足を痛感した。いつか私にも、このような素晴らしいイッコー力(総合的遡行能力)が身に付く日が来るのであろうか。しかし、下山時にあれこれおうかがいしたところによると、イッコーさんもやはり相当の努力を重ねて今に至られているようで、そうだとすると私もあと何年か努力を重ねれば、イッコーさんの足元に及ぶくらいにはなるのかもしれない。
それと、イッコーさんをあまり早くに起こしてはいけない。テンションが下がってイッコー力の発揮を阻害するようである。ノジとしては朝5時というのは全く早くない(普段から朝型なので…)のだが、イッコー力が十全に発揮される時間帯は朝6時以降であるらしい。これからはゆっくりお休みいただくことにしたい。
何はともあれ、イッコーさん、お付き合いいただきましてありがとうございました。楽しくて勉強になった沢でした。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。