2009年8月8日(土) 前夜発日帰り
CL: 森(記)、日置
日向山登山口5:11ー6:11林道終点ー6:25入渓点6:38ー7:38噴水滝ー8:31本谷との二股ー9:00千丈滝下ー10:05坊主滝ー 10:53左俣との二股ー12:05奥千丈滝上ー12:43奥の二股ー16:31頂上16:35ー17:31七丈小屋17:52ー21:35白須駐車場
流れで日帰りになってしまい疲れた&足裏が痛かった.
家の懸案事項があって、少々後ろ髪を引かれたのですが、2日くらいなら何とかなると考え、不測の事態に備え名古屋へ戻るための正装等々も一緒に積み込んで行きました.
8/7
南越谷駅で一孝を拾い、首都高、中央道を経由して白須の尾白川渓谷駐車場へ.首都高が渋滞していたが、中央道に入ってからはスイスイ.
8/8
予約しておいたタクシーで日向林道の日向山登山口へ.2460円.林道歩きを2時間短縮できると思えば安いかな.ここから1時間で林道終点.急な斜面を下りて尾白川に下り立つ.前日はかなり雨が降ったはずだが、増水している様子はない.水はさほど冷たくないが、苔?水カビ?の影響か緑色をしている.下山後も服、装備が奥多摩のような感じで苔臭かった.土壌栄養の少なそうなアルプスの沢なのにちょっと意外でした.
水が緑だ
しばらく河原や10m以下の滝をいくつか越えて行く.難しいことはないが、花崗岩の表面がぬめって微妙なところも多い.この沢はやはり苔ではなく、水カビの沢だ!クロミスタ!滑る滑る!
下の写真の滝も最後の落ち口への抜けが悪く、途中から右岸を高巻いた.
ところで、黄蓮谷の下流部は虎ロープがやたらと目についた.高巻きの踏み後には必ずと言っていいほどついている.踏み後も明瞭だったし、何だかなぁ、いくらメジャールートとは言えあまりにも歩かされてる感がするのも気持ちの良いものではない.
しばらく行くと噴水滝↓.言われてみると確かに噴水になっているが、さほど大きいものでもなく、滝全体から見ると微々たるもの.まあでもきれいなナメ滝ですよ.それからこの滝、地形図に書かれている場所と違う.黒戸山から流れ出す顕著な沢よりも下流にあるが、地形図では上流になっている.
噴水滝より30分程上流にあった滝.この滝あたりまでが気楽で一番気持ち良かったかな.
と、いうよりここまでに限れば、急いだ訳でもないのにあまりにもペース良く来ていたので、余裕で日帰りできるんじゃないか?という気分になっていた.結果的には結構辛かったのですが、、、、、
そして二股を過ぎて現れたのは千丈滝!でかい!
下から見ると傾斜が緩そうに見えたので、水流左を登って行く.この滝は大きく二段に分かれるが、二段目の途中から傾斜がきつくなってきたので、一孝さんの提案でロープを出した.私が先行して進むが、ツルツルで手がかりも少ない.水流際の苔の多いところから一段上がり、左の岩壁の方へトラバースしようとして、、、、、、滑った!落ちた、、、、、(矢印の先付近で)
ロープを出していたため一孝さんが止めてくれたが、下手したらもうちょっと落ちてどこか骨折していてもおかしくない.三週間前の小川山に続いてまたしても危ないことをしてしまった.全然反省していないじゃないか、とまた反省.
本来ならここでトップを代わるべきなのだろうが、気持ちは落ち着いていたし、慎重に行くだけの心構えもあったのでそのまま行かせてもらった.結局この滝の通過に1時間近くかかってしまった.
すぐに坊主の滝.こいつもデカイ滝だ.千丈もこれもどちらもナメ滝だが、緩く流れる千丈滝と違い、この滝はもりもりとこちらに張り出して来るような威圧感があった.とても登れるとは思えない.
左岸にはガレのルンゼがあり登って行けそうだが大高巻きになりそう.一方右岸側は滝の落ち口に出られそうだったので、右岸を巻くことにした.珍しく虎ロープがなかったが、歩きやすかったので気にせずズンズン上って行く.視界が開け、滝の上部に出たかな?と思って下を覗いて唖然、、、、、
50mほど下方に二股が見える.どうみてもこちらは支流.どうやら六丈沢まで登ってきてしまったらしい.六丈沢もそのまま傾斜の強いナメ滝になっており、トラバースは極めて危険.戻るという手もあったが、さほど対岸は遠くないので、ブナの木を支点に斜め懸垂をした.が、50mロープでもギリギリだったし、渡ったところの灌木支点も頼りなかった.後で調べると、坊主の滝は通常左岸のルンゼから高巻く人が多いようだ.
さらに二股を越えるとそろそろこの沢の核心奥千丈滝.なのだが、ガスが上から下りてきて一気に視界を奪われる.どこが奥千丈?と思いつつも延々とナメではない滝を登っているうちに、どうやらこれが奥千丈らしいと気付いた.奥千丈の下部は水流の真ん中を登ることになるが、段差がついているので比較的登りやすい.しかしひたすら水を浴び続け、更に上部には雪が残っているせいか水も冷たくなってきており、消耗しそうな雰囲気.さらに行くと今度は滝がナメになった.さすがに登れる傾斜ではないので、左岸のクラック状のところを巻いて行く.1時間近くかけ、やっとこの滝を抜けた.200mと書いてあるが、どうやら高低差200mだたらしい.長かった.下部の滝は巻くのも不可能そうな場所もあった.水量が多いと抜けるのが困難になるかもしれない.
(奥千丈滝下部の一部)
烏帽子沢と思われるところを越え、次の二股で左俣に入る.最初はゴーロ歩きで楽チンと思っていたのだが、段々と一枚岩になってきて、遂にスラブになってしまった.クラックを使って何とか登って行くがかなり微妙.これはたまらないと右の尾根に逃げるが、最初は登りやすい草付きがすぐにハイマツ帯に変わる.行く手を阻まれなかなか進まない.しかも稜線はまだまだ遠い.さすがにおかしいと思い出す頃、右手にさきほど分かれた沢が見えてきた.どうやらそれが奥の左俣だったようだ.奥の左俣はゴーロになっており歩きやすそう、、、、、、迷わずそちらに逃げる.懸垂もなく、あっさり沢に戻ることができた.
奥の左俣には何カ所か岩も出て来るがさほどの困難はない.しばらく行くと奥の滝20mほどの滝が3本連なる.1段目は左から巻き、2, 3段目はまとめて右から巻いて行った.3段目を巻き終わったと思われる辺りで踏み跡は上方と沢側の二手に分かれていた.しばし逡巡するが、跡のはっきりした上方へ向かう.これが失敗.しばらくは歩きやすかったが、またすぐ踏み跡の上にハイマツが被さり行く手を阻まれる.また飽き飽きしてきたところで視界が開け、沢に戻る踏み跡発見.
沢に戻るとあれあれ、かわいい雷鳥の親子発見.
北岳では探しまわってやっと数羽見つけたという話を聞いていたので、もしかして甲斐駒も!?実はこれ大発見じゃねーの?と盛り上がったが、どうやら甲斐駒ではそこそこ見るものらしい.それでも私にとって南アルプスで雷鳥を見るのは初めて.ちょっと感慨深かったです.
奥の左俣を歩くこと10分、あーついに雨が本降りになってきましたよ.まさに予報通り.ちょうど目の前に岩小屋があったので避難.雷もゴロゴロなり出したので、2, 30分程休ませて頂きました.雨があがってとっとと歩き出すが、ハイマツ漕ぎを二回もした後で疲れが出始めており、ペースが上がらない.そのうち沢から水も消え岩も消え、またハイマツ漕ぎ.でも今度のハイマツはさほど背丈もなく、さほど困難ではない.ふと一孝さんが石柱を見つけ!おー、着いたよ.遂に頂上(正確には頂上ではなくすぐ下の神社だったが、二人とも頂上に行ったことはあって執着はなかった).長かったなぁー.
既に時間も16時半.下山は無理な時間なのでのんびりしたいところだったが、雷がゴロゴリバリバリ言い始めたので慌てて下山.8合目の岩小屋も探してる暇があったらさっさと逃げたい気持ちだったので、通過.七丈小屋へ.今回はツェルトしか持っていなかったので、この雨の中幕営はちょっとうんざり、さりとて小屋への素泊まりも一孝に却下され、さてどう説得しようかと考えていると、一孝が下山しようと驚きの提案.ここから駐車場までコースタイムで4時間半.暗くなってしまうけれど、3時間もあれば下れるかな、と考え同意.家の懸案事項もこれで解決するし.一石二鳥.
で、最初はぴょんぴょん下って行ったのですが、3週間前に捻挫した右足を庇って歩いた(一度捻挫した足は再び怪我しやすいので)ために不自然な歩きになってきつくなってきたこと、14時間を越える行動で疲れが溜まってきたこと、雨なので沢靴のまま歩いていたために足がふやけ、下りの衝撃で足裏が痛くなってきたこと、暗さとガスで視界が不明瞭になってきたことが合わさり、ペースが全然上がらない.最後の一時間はすごく辛かった.一孝さんをペースメーカーにして、何とか下りました.
下に下りても、足裏が痛くて歩きにくいし、車のペダルも踏めない.しばらく休ませてもらってからサントリー横のセブンで夕食買い出し.夜は道の駅白州で眠り、翌朝帰途につきました.
いやぁ、しかし豪快な沢でしたよ.10m以上の滝は何本登ったのか分からないくらいだった.50m以上の滝も3本、20m以上の滝も10本以上あったか.そして高巻きも多く、微妙な高巻きも何回か、、、、、明らかにこれまで登った沢とはレベルが違いました.でも楽しかった!これからこの黄蓮谷のようなちょっとレベルの違う沢に行きたいですね.
でも登る時は慎重に、、、、、、と自戒をこめて.
ビバーク場所メモ:千丈滝と坊主滝の間の滝の左岸を巻いている時に非常に良い場所を見つけたが、後は奥の滝の上部まで良い場所はなかった.鉄砲水を気にしなければ何とか張れる場所は何カ所かあるのですが、良いとは言えない.鉄砲水を避けるのならば座ってビバークということになるかもしれません.