2008年4月5日(土)~6日(日) CL:妹尾
涸沢岳西尾根に引き続き、鹿島槍です。
4日に涸沢岳西尾根から下山し、当初は1日休養日をはさむつもりだった。
しかし、4日に下山し天気予報をチェックすると5日・6日が晴れ、7日が雨・・・(8日も)
長野滞在が9日ぐらいまでだったので5日を休養日にすると2日間を予定していた
鹿島槍は2日目(7日)が悪天の中下山する恐れがあるので、急遽5日の休養日を繰り上げ、
5日・6日で登ることとする。
幸い(?)、涸沢岳西尾根は敗退したがそのおかげで余力を残しておけたので、
4日は温泉にも入り、新穂高でその日はしっかり体を休め、翌日に備えられた。
5日 新穂高温泉~(バス)~新島々駅~(松本電鉄)~松本駅~(大糸線)~簗場駅
簗場駅~(徒歩)~鹿島槍高原~(徒歩)~大谷原~一の沢の頭
新穂高温泉の始発バスで出発するも平湯温泉で接続が悪く1時間待ち。
まああせっても仕方ないのでこれも休養だと割り切って付近を散歩&売店で買出し・朝食。
松本駅10:00着、ここでさらに大糸線の出発待ちで1時間半待ち。ここを出発すると
おそらく下山までまともな食事はできないだろうとガッツリ昼食。
大糸線で簗場駅13:00着。ここからスキー場のある峠を越えて登山口まで約2時間歩く。
登山口までできるだけ体力をセーブしたいので気が重いが仕方ない。(金もない苦笑)
5分ほど歩いていると後ろから軽トラのオッチャンに声をかけられる。「乗ってくかい?」
ここは問答無用にお言葉に甘えさせてもらう。峠のスキー場まで乗せてもらい、そこからは
くだりのみで1時間ほど時間を節約できた。本当に感謝感謝。
14:00尾根取り付き、登れる時間は長くても3時間。一の沢の頭までいきたいが難しいだろう、
特に涸沢岳西尾根同様のラッセルが入れば今回も確実に敗退の予感…。
と思いながら登り始めると、土曜の夕方なので先行パーティーがいるらしくトレースが!
雪もしまっており、かなりペースが上がる。ありがたやありがたや。
途中、一の沢の頭まで行ったというパーティーとすれ違う。
(敗退ではなく、目的地が一の沢の頭らしい)
彼らによると先行パーティーは4人組と単独行の2つらしい。
第一岩峰ぐらいまで
進んでいるのではないかとのこと。
ラッセルなしの快調なペースで16:30に一の沢の頭手前まで到着。
天気は良いが、風が強い。夜にうるさい風の音で眠れないのもいやなので、
今日も雪洞泊。涸沢岳西尾根での雪洞作りを反省して、いくつか改良。
まず雪洞内の広がりと同じくらい重要なのが高さ。かがめば立てるくらいの高さにすると快適。
そして棚。幕営に直接必要ないものを収納すると床がスッキリして気分的に床が広くなッた感じ。
18:00に雪洞が完成、外はかなり強風のようだがそんなのカンケェねえ~。
出口はザック、ピッケル。ツェルトで塞ぐと更に快適。明日に備えてゆっくり休む。
6日 一の沢の頭~第一岩峰~第二岩峰~鹿島槍北峰~鹿島槍南峰~
~(赤岩尾根)~大谷原手前林道(幕営)
2:00起床、今日は勝負の日になるだろう、雪洞のおかげで熟睡できたし天候も悪くない。
これで敗退なら純粋に自分の実力不足。言い訳はできない。
4:00出発。雪洞なので外に出て寒い思いをしながらのパッキングはしなくていい。
暗闇の中をヘッドランプをたよりにトレースをたどる。風はなく、雪も適度にクラスト。
二の沢の頭辺りで夜明け。鹿島槍が聳え立つ。もう少しで核心の岩峰に入る。
おそらく第一岩峰ぐらいだろうか、ヘッデンが動いている。ここまではまったく問題ない快調なペース。
7:30、第一岩峰到着。先行パーティー4人組が登っている最中なのでここで大休止。
先行パーティー4人組はどうやらこの手前に幕営したらしい。
岩峰といっても今年の豪雪で完全に雪壁。1P目はいよいよロープを出し、Z式で登る。
最初の確保支点はデッドマン、中間支点は潅木、最後の確保地点は残置ロープ+バックアップのハーケン。
45mギリギリで懸垂下降。やはり単独登攀は時間がかかる。2P目は先行パーティーがしっかりスタンスを
作ってくれていたので時間短縮のため、ダブルアックスでロープは使わず登る。
9:30、第二岩峰到着。やはり先行パーティー4人組が登り始めたところ。
このとき、彼らのコールでどうやら最上部にはボルトが3本あるらしいことが判明。
天気もいいし、後続パーティーもいないのでのんびり待つ。
途中、ライチョウの出現など退屈せずかなりご機嫌。
10:30?、いよいよ登攀開始。最初の確保支点は岩にシュリンゲを巻く。
中間支点は潅木、残置ハーケン、適宣ハーケン・ナッツを打ち足す。
後続はいないし、時間もまだあるので徹底的に安全策をとる。核心部のチムニーも
残置ハーケンのみならずハーケン・ナッツで固め取り、最上部に到着後は例のボルトに
支点を作るが、このままだとあまり能がないので、デッドマン・スノーバー・ピッケルなど
バックアップ用支点をいろいろ作ってみる。(このとき調子に乗って時間を使いすぎました。反省)
懸垂下降で下の確保地点に戻る。下部のトラバースはかなりやらしい。
下に戻ると先行パーティーが降りてきた。彼らは東尾根往復のようだ。
待たせては申し訳ないので先に懸垂下降で降りてもらう。
待ち時間の間、パーティーの方々と話をすると、ぶなの会の方々と判明。
そのうち何人かは去年、中国に自分と同時期にいったらしく、話が盛り上がる。
一緒のルートを登れて光栄至極。
ぶなの方々が全員降りて、こちらもユマールで登る。
これがなかなか時間がかかる。天気がいいので汗はだらだら、息は切れ切れ…。
ようやく第二岩峰を突破すれば、あとはやさしい稜線歩き…のはずが、
緊張の糸が切れたわけでは当然ないが、疲れがどっと出てきて脚が重いオモイ。
やさしいといってもクラストした斜面で滑落は致命的。休みながらゆっくりでも
集中して一歩一歩進む。
15:00、鹿島槍ヶ岳北峰登頂。感動というよりもまだ稜線上なので下山のことを
考えると安心できず、すぐ出発。明日は予報だと天候が崩れるので今日中に
降りれるところまで降りる。
鹿島槍南峰の登りもかなりきつく、慎重に行くことも手伝ってペース上がらず。
16:00南峰登頂、赤岩尾根まではまだまだ長い。17:30赤岩尾根分岐。
ここも想像よりかなり急でこれまた慎重に下る。春特有のグサグサ雪が随所に
出てきたかと思えば、硬くクラストした場所もあり疲れた足にはこたえる。
途中、尾根から西沢に下降するルートをとるが、雪質が悪くかなり苦労。
悪態をつきながらもなんとか林道入口まで戻る。21:00幕営。
もう何も心配要らない。残りの行動食を全部食べて就寝。
翌日は2時間ほど歩いて簗場駅に。接続悪く南小谷駅まで一度北上して
電車のたびとしゃれ込みながら松本へ。松本では1週間ぶりの米(どんぶり)がうま~い。
後はひたすら睡眠の中、中央線で日野へ。翌日は休む暇もなくバイト笑。
今回、涸沢岳・鹿島槍と二本立てをあわただしく登ったが
敗退した涸沢岳にも満足した点はあったし、成功した鹿島槍にも不満な点はあった。
今は結果以上にその途中経過を大事にすることがより大きな高みに挑む上で必要なんだなと感じる。
今回の反省点や敗退は来年ここに再び来る時のよいスパイスになると思う。
そのとき、もっともっと強い自分でここに戻ってきたい。