2012年7月21日(土)~24(火)
メンバー:安齋 CL (記)、岡田(会員外)
「穂高屏風岩雲稜ルート」
昨年の夏、T4尾根取り付きまで赴いたものの、
あまりにびしょ濡れな為敗退を喫したルートです。
また挑戦しましょう、と決めていました。
一年経ち、その機会を得たので、今度こそは、と考えておりました。
しかし結果はまたもや敗退!宿題継続!
以下、敗退の記録です・・・。
さわやか信州号(夜行バス)にて上高地へ向かう。
7月22日(日)
5:30頃上高地着。
どんよりとしてはいるが、明け方まで降っていた雨は上がっている。
本格的に夏山シーズンが始まり、登山者で賑わう道行く。
本日中に雲稜ルートに取付き、途中のテラスまで行く予定だ。
しかし徳沢到着直後、予定の変更を余儀なくされる。
雨である。岩場に水が流れる様子が目に浮かぶ。
急遽、停滞日となったことで、時間を持て余してしまう。
徳沢園でうとうとしながら雨が小降りになるのを待っていたが、
他人からは、さぞかしやる気のない人に見えたでしょう。
横尾に到着。明日の為に横尾谷の渡渉点の偵察へ向かう。
水量は果たしてどうだろう。昨年大雨の影響で苦労したことを思い出す。
今年は・・・立派な流れがそこにある。大変そうだ。
横尾方面へ15分位戻ったところに川幅が広いポイントを発見。
ただ、遠回りになるので、明日は最短距離で渡ることを決める。
横尾に戻る。18時頃に本降りの雨となり、結局深夜まで降り続いた。
ツェルト内はウエット感バッチリ。
7月23日(月)
屏風の頭を越えたいので、全装備を背負っての出発。(5:15 遅すぎる)
天気は良さそうだ。
岩小屋跡のすぐ横、最短での渡渉に挑戦する。
行けそうに思えたが、間近で見ると、流れが早く深さもある。
途中まで進んだが、危険な為、昨日見つけた、下流のポイントへ向かう。
膝上までなので、問題なく渡れた。
1ルンゼ押し出しをたどり、T4尾根取り付きへ到着。(8:00)
雪渓が残っており、清涼感漂うが、じっとしていると体が冷えていく。
ここから、登攀となるので準備。
T4尾根1P目 IV 岡田リード
左から凹角へ入り込む。傾斜はそれほどでもないが、意外に細かいホールドで、
荷物を背負うとそれなりに難しい。
下部はピンが少なく感じた。
T4尾根2P 目 V 安齋リード
右側の被り気味の濡れた脆いフェースを直上、と思ったが間違えた。
数手登ったら左上するのが正解のようである。
凹角に出るが、びしょ濡れの為、左のフェース~凹角。
雲稜ルートに取付いていないのに、早くもランナウトに緊張する。
T4尾根 樹林帯 II 60m
一応ロープを引いて進む。悪いところにはフィックスロープ有。
引いているロープで落石を誘発をしやすい。
T4尾根 3ピッチ目 III 安齋リード
濡れたチムニー。フィックスロープ有。
到着したT4、安定していて、ビバークするには最適だ。(11:00)
ただし、貸し切りの今日はいいが、混んでいると場所取り合戦となるだろう。
ようやく雲稜ルートへ取付ける。
このペースでは上に抜けるのは絶望的なので、空身となる。
雲稜ルート1P目 V 安齋リード
正面のフェース~顕著な凹角へ。50mほぼいっぱいの長いピッチ。
中間と凹角の終わりの2か所が、やや被り気味で核心だった。
そして、その核心部は濡れているので、手でぬぐったらズボンで拭く、という作業を繰り返す。
この後2p目へ進むが、時間がかかりそうである。
日没までの時間を考え、敗退を決定します。
クライムダウンし、1P目終了点から懸垂下降開始。
7回の懸垂下降でT4尾根取り付き到着。
1ルンゼ押し出しを抜け、渡渉点へ向かう頃には疲労感が・・・。
日が暮れる前に横尾到着。(18:00)
横尾泊。
7月24日(火)
もう帰るだけなので、のんびりと上高地への道をたどる。
上高地の駐車場は観光ツアーのバスでいっぱいだ。
爽やかな空気を吸えるのはここまで。帰京。
「反省点」
●時間の短縮
とにかく時間がかかり過ぎている。
渡渉でのタイムロスを始め、登り自体のスピードも上げなくてはならない。
フリーに拘るだけでなく、状況に応じた登り方を選択することも必要だっただろう。
●体力(筋力)不足
荷物を背負っての登攀でも消耗せずに進める力を、もっとつけなくてはならない。
意識して実践的なトレーニングを行う必要を感じる。
●精神力不足
疲れていようが、天気が読めなかろうが、
ビバークして翌日登攀再開するなど、モチベーションの維持も重要。
心が折れる弱い人間ではいけない。(難しいです・・・。)
とにかく、次回は登り切れるように鍛えたいと思います。