Climbing Report

広河原右俣クリスマスルンゼ

一日遅れのクリスマス

期間：2010年12月26日（前夜発日帰り）

メンバー：ＣＬ盛山（記）、斎藤、鈴木

ルート：広河原右俣クリスマスルンゼ→阿弥陀南稜下降

【行程】

12/25

22:00八王子発　→舟山十字路で仮眠

12/26

6:00～8:30舟山十字路(駐車場）～二俣

9:00～11:30クリスマスルンゼ。上部氷結甘い。下部は雪に埋没。中央ラインを登った後、上へ抜け稜線を目指す。

11:30～14:30ルンゼをラッセル。途中深雪から逃げて、尾根へ出るが、樹林帯もラッセル

14:30～15:30最後の滝。3ｍ弱だが氷結硬く垂直で難しい。

15:30阿弥陀南稜着。無名峰の南辺り？

15:30～18:00下山。日暮れギリギリで林道へ下りる。南稜から沢に下りる部分は急斜面でちょっと危険。明るい内で助かった。結局林道はヘッデン工程

【記録】
「あっ！」っと思った瞬間、デイジーが張って止まった。新しく買ったばかりのブラダイのニューモデルバイルのフュージョンが氷に刺さって、そこにぶら下がっている。「あ～あ、また落ちちゃったな。コイツ結構安定して刺さっているんだな」と呑気にフュージョンを眺めていた。今回は稜線に抜ける前の、この小滝が曲者であった。パッと見た目は小ぶりな3ｍもない滝だが、硬さが半端なかった。登られていないから、つるつるの氷だ。打ってもバイルが入らないし、足も決まらない。ザイル使っても仕方ない距離なので、フリーで行くがまさか落ちるとは…下はふかふかの雪なので、落ちても大丈夫だが、下まで落ちなくて良かった。抜け口も悪く、垂直から一気に水平で、これまたつるつるの氷。今度は自慢のフュージョンが刺さらない。それりゃそうだ、極端に角度がついたリーシュレスバイルは、傾斜が無くなると途端に刺さらない。左には長年の付き合いバイルのクォークあり、コイツに全信頼を置いて、ずるずるっと登る。最後はフュージョンを倒木に引っ掛けて登り切る。なんて無様な使い方だよ・・・ああ、シンドイ。クリスマスルンゼで酷使してしまった腕は既に力が入らない。

今回の山行目的は、アイスルートに向けた特訓と位置付けたが、かなり楽しめてしまった。当初は裏同心ルンゼ辺りを登る予定だったが、隊員の「クリスマスだからクリスマスルンゼ」というベタな言葉に心動かされて、急遽こちらのルートに計画変更したのだが、個人的には大当たり。

朝、6時に舟山十字路発というまつど岳人にしては珍しい早い行動で動き出し、なんとクリスマスルンゼに着いたのは1番乗りだった。久しぶりの凍っている氷の壁に興奮してしまい、腕に力が入り過ぎ半分くらい登ったところでパンプ。アックステンションという情けない状態に。左手がずっと上の状態だったので、力が入らなくなってしまった。レストしてなんとか登り切る。抜け口には支点がなく、雪を払ってアイススクリューで確保支点作成。その後登って遊ぶが、やはり人気のルートなので、行列が出来てしまい、せっかくだからと稜線を抜ける事に。

ラッセルは覚悟の上だが、なかなか手強かった。交代交代でジリジリ進んで、ルンゼから尾根へ逃げようにも急斜面とその下の氷と岩に阻まれる。なんとかルートを切り開き、尾根へ逃げて一安心・・・残念ながら尾根の上もラッセル。時間がヤバいなと焦りが出る頃に漸く阿弥陀南稜に到達。一気に視界が開け、トレースもバッチリ。「あっ今日って天気良かったんだね」ルンゼで雪と格闘している時には気付かなかったが、既に傾いた陽光が暖かい。

休憩もそこそこにギアをしまい、一気に下山する。反省点は特訓のはずが、あまり特訓せず楽しんでしまった事かな。楽しんだ者勝ちという事で、許して下さい。

【今後の課題】

・垂直部での力のセーブを覚える：瞬間的になら垂直も登れるが、これが長くなるとかなり厳しい。腕への負担を減らす登りを習得しなくては。もう少しルートを見て、スクリューを打つポイントを絞り込んで登ってみる事と、足の置き方かと思う。

【個人的装備紹介】

・ＢＤフュージョン：店に置いてあったバイルに一目惚れし、振った瞬間心が通じた気がしたので買ってしまった。フュージョンピックは刃が厚く刺さりはイマイチ。今回はレイザーピックに変更して臨んだ。刺さり具合は格段に改善、クォーク、ノミックに比べると劣るが良く刺さる。フッキングでの安定感は良く、バランスが良い。やはり傾斜が緩くなるとハンドルが当たって、全然刺さらない。従って、抜け口はフッキングでの対応になる事が多くちょっと怖いところも・・・

・テルヌア(TERNUA)ACTIVIST：スペインのブランド。石井スポーツが独占輸入？そろそろオーバーヤッケが限界と探していたところ、腕が長く、ダボツキがなかったので、買ってしまった。今回初使用。まあ普通。こんなもんかな。やっぱりハーネスをつけるとお腹辺りがダボツクが仕方ないか。デザインがカッコいいから許す。フードのフィット感も良くなかなかじゃないかな。ちと高いけど。

以上

鷹取山

2010年12月18日(土)　日帰り

メンバー：CL妹尾（まつど岳人・記)、U西、S石、H田、N沢（以上、早大アルコウ会）

先月に引き続き、勤務先早稲田の登山サークル”早大山岳アルコウ会”の
メンバー4人のプチ技術指導＆岩トレで神奈川逗子市・鷹取山へ向かいました。

18日 8：00京急追浜駅～9：00鷹取山～16：30京急追浜駅

朝、追浜駅で集合し住宅地の中を歩いて鷹取山へ向かう。
トンネル手前で左手の階段を登っていったが、こちらは随分迂回していたようで
湘南特有のポカポカ天気で汗ばみながら到着。早く到着したいなら
小学校裏の坂道を上がるのが吉ですな。
公園奥に荷物を置き、近くのボルダー壁で講習開始。


彼らには来年、谷川一ノ倉沢の烏帽子南稜を登ってもらいたいので
少しづつ教えていく予定。本日は確保支点の作成方法・懸垂下降という内容。
流石は歴史ある登山サークルのメンバーと会って、流動分散などの知識があり
講習もスムーズに進む。全員に一通りやってもらい、お次は懸垂下降。
下降器のセット・バックアップ・下降の手順etcを説明・実演しいよいよ
学生にもやってもらう。4ｍほどの高さからの下降だが、念のため妹尾が
別ロープでビレイしながら下降。なかなかスムーズに行えてました。

その後少し休憩＆昼食。暇つぶしに持ってきたクラシックルート図集やロクスノを
喰いつくように読んでました。普段は学生のみの縦走を中心とした活動のようなので、
なのでやはり岩についてナカナカ飢えているようです。来年の目標、南稜を
彼らだけでリード・フォローで登れるよう、こちらも気を引き締めて教えねば、ですね。

午後は後浅間エリアの『弓状クラック（5.9)』とその隣にあるトンネル脇の
『無名ルート(5.9ぐらい？)』をトップロープで登ってもらう。同じ5.9でも人工壁より
はるかにムーヴを考えさせるので苦労しながらも何度もトライする姿は
若者らしいというか学生らしいというか、見ていて気持ちよかったし本当に
連れてき甲斐があったというものです。

本日は妹尾が私用のため、残念ながら15：30には撤収。彼らと夕食でも軽く一杯やりたかったのですが、涙を呑んで(笑)追浜駅でお別れでした。

*****************************総括*****************************

来年の岩シーズンから恐らく彼らにマルチなどを本格的に教える予定です。
目標は前述の通り、谷川岳一ノ倉烏帽子南稜。
勿論、後輩に指導するのは楽しいから教えてるわけですが、教えている間は
彼らの事故・ケガへのリスクも全て背負う覚悟がいるし、自分のクライミングを
追及する時間も大なり小なり削られます。
それでも彼らに教えるのは彼らの為である、という以上に自分がもう一段
上のステップに登りために必要なのでは？と最近思います。つまり彼らの姿勢に
モチベーションを貰い、今一度教えるという行為を通じて自分の”ヤマにおける引き出し”を
整理できることがさらに岳人としてさらに強くなる基礎になるからかと。
彼らとは”どちらかが一方的に何かを与える関係”にはならないよう、お互い頑張っていきたいですね。そのためにも来年の春まではしばらく自分のヤマに専念せねば。ハッスルハッスル！(←古い）

富士山

2010年12月11日(土)　前夜発日帰り
メンバー：妹尾

本当なら山野井家の餅つきに昨年同様主力として行くはずだったが、諸事情でこの週末が北アの縦走前の最後の雪山チャンスだったのでおいしいお餅とお酒の誘惑を振り払い初冬の富士山へ向かった。

11日　1：00富士吉田駅～4：00馬返し～8：00六合目
12：30八合目～16：00馬返し～17：00河口湖駅

夜行バスで日野から富士吉田駅へ。今回初めて使ったけど安くて早くてGOOD。
毎度のコトながら寝不足＆日常トレーニングの疲れが残ってたので駅で2時間ほど仮眠。
0：00丁度に駅員さんに叩き起こされ、近くのコンビニにしばらく避難し出発。
今回も体力トレがメインなので駅から1合目まで歩き。まあ、普段歩いてる距離が
長いので、3時間のボッカもあんまりつらくない・・・が、その普段のトレーニングの
疲れもあって、馬返しで1時間ほどビバークチックに仮眠。

寒さで目が覚め、再びスタート。3時間ほどで佐藤小屋を過ぎ、ようやく吉田ルートが
おおまかに見上げられる場所まで着く。トレースからして何人か先行パーティーがいるようだ。
風は強いが、気温はそんなに低くない。途中、上から引き返してきた3人組とすれ違い、
富士吉田駅ですれ違った二人組を追い越し、ドンドン高度を稼ぐ。
さらにその崎に4～5人？のパーティーが見られるが、7合目を過ぎるといよいよ風も強くなり
慎重に耐風姿勢を取る時間が長くなる。途中、大規模な雪崩れ跡がルートを塞いでいた。


8合目付近は傾斜が強い箇所もチラホラ出てきて、ここで突風を不意打ちされるとちょっとヤバイ感じ。それでもニジリニジリ進むが、当初設定の12：00引き返し時刻になったので、8合目(手元の光度計で3150ｍ)で終了。だいたい12時間で2200～2300ｍぐらいの高度を稼いだ感じ（一泊二日の通常装備）。普段からのトレーニング量を考えるとちょっと物足りないかな？まあ、ここで滑落してもシャレになんないのであっさり退却。独りの時はムリしないムリしない。6合目付近は山岳会の雪訓で賑やかだった。来年新人入ったらやります？

富士山では夏冬関わらずいつもそうだけど、下りはへロヘロになりながら下った。
馬返しに薄暗くなりかけた頃到着。連続16時間行動はさすがにくたびれました。
ホントは、ここからさらに富士吉田駅までの10km3時間を残業する覚悟だったが、
親切な方が車に乗せてくれるというので、ちょっと疲れ気味というのもあり、
お言葉に甘えました。人間てあったけ～。

********************************総括*********************************

足のケガで、だいぶ体力トレーニングが遅れてるので、ちょいとオーバーワーク気味で突っ込んだ結果、やはり足が重かったです。今やってる運動量からするともっと速く歩けるはずですが、今は量をこなすのに
精一杯で、体力の向上というより疲労の蓄積のほうが色濃いという感じ。まあ、地道にやっていくしかないですね。耐久力の向上は日々絶え間ないエンデュランストレーニングの積み重ねのみ。出発まであと2週間きりましたが、ハッスルハッスル！

八ヶ岳

2010年12月5日(土)　前夜発日帰り

メンバー ＣＬ盛山、妹尾(記)、Ａ斎(会員外)、Ｓ木(会員外)

いよいよ冬シーズン到来。
今回は12月の部会に見学に来て頂いたＡ斎さん・Ｓ木サンに、実際のまつど岳人山行の雰囲気を知って頂くことも兼ねて初冬の八ヶ岳へ向かった。

5日　0：00京王八王子駅～2：00美濃戸山荘（仮眠)～6：30赤岳山荘
～8：00赤岳鉱泉～9：00ジョウゴ沢Ｆ1～11：00乙女の滝
～16：30赤岳鉱泉～18：00赤岳山荘～20：30京王八王子駅

出発直前に残念ながら松サンが急遽欠席となり、4人で出発。
盛山車のターボがウナリをあげて2時間で到着。駐車場で幕営・仮眠。
朝5時に起きて、食事。美濃戸山荘の休憩室には他に5～7人が朝食中。
しかし、雪がない。去年のこの時期はこの辺でも多少積雪があった気が･･･。
普段ならまあ仕方ない、で終われるが今回はゲストもいるので不安倍増。

赤岳山荘からは雪が出てきたが、まだ氷結への不安から駐車場の満杯具合からくる
ゲレンデでの混雑への不安やらまでモンモン。折角きてもらった御二人に
つまらない山行では申し訳ない。とまあ、歩き続けて赤岳鉱泉に到着。
そこそこ寒いので、きっとアイスも登れるはず、とジョウゴ沢へ。

Ｆ1は真ん中がモロ流水。左右になんとか登れる程度の氷・・・。
まあ、上はもっと凍ってるサ！となかばヤケクソで進む。今回、初めて御一緒させて頂く
訳なので、ゲスト緒二人には申し訳なかったが念のためロープを出させてもらった。

Ｆ3は完全にド真ん中が滝で、両側の氷もベルグラ程度苦笑。
ふと見ると右岸のルンゼが登れそうなので、そちらへ進む。
妹尾リードで50ｍいっぱいロープを伸ばし、抜け口の潅木でビレイ。
ナメ状で傾斜はかなり緩く、アイスを普通にリードできるヒトなら確保は不要な
ぐらいだが、ここもゲストの方を過保護気味にビレイ。ホントすみませんでした。

抜け口から右手の小尾根を乗ッ越して、本来のルートに戻る。右俣のアイスはそこそこ氷結しているらしく、3人パーティーが登っている。ゴルジュを抜けると、いよいよ正面に乙女の滝が現れる。やはりまだ氷結が甘いようだが、ソロで練習している方がいるようなのでどうやら登れそう。

手前のナメ滝で盛山アイス塾が開催され、生徒のＳ木サンがリードを習う間、乙女の滝右のルンゼを妹尾は詰めて回り込み、乙女の滝にとっぴウロープを張る。支点は丈夫なハンガーが2枚。
ソロの方が撤収後、さっそくＴｒで妹尾が取付く。やはり氷結が甘くリードはやめておいたほうが無難な感じ。中央カンテ状の部分から左上するラインしか登れそうにない。久しぶりのバーティカルアイスは腕がパンパンになるが、やはりおもしろい。まだまだ足の使い方が悪いなと反省。

次にＡ斎サンが同様にＴｒでトライ。その間にも右のルンゼ滝で盛山・Ｓ木ペアがリードの練習。
その後、周辺の滝を偵察するが、ナイアガラの滝等の南面や西面の滝はのきなみ直射日光を受け、氷がグサグサ。リードは避けたほうがよさそう。せめて、朝早ければ登れたなと言う感じ。
その後、盛山・Ｓ木ペアも乙女の滝を登り、本日はおしまい。何回か懸垂下降を交えてジョウゴ沢を下り、赤岳鉱泉を経てクタクタになりながら赤岳山荘へ着く頃はヘッデンでした。

***************************総括***************************

今回は、会員外の方御二人とご一緒させて頂きましたが高いモチと僕等に引けを取らない（あちらが上？苦笑)技術を持ち、とてもよい冬シーズンの幕開けとなりました。御礼申し上げます。
まつど岳人の印象はどうだったんでしょうかね？まあ、ぶっちゃけ入る入らないに関わらず、折角知り合いになれたのでまたご一緒できれば幸いです。

しっかし・・・自由に歩けるっていいですね！山に行けるっていいですね！
足治ってホントよかった(笑)。さあ、ガンガン行きましょうゼイ～。