2009年3月14日 前夜発1泊2日
メンバー:CL妹尾、森
谷川ロープウェイ駅 妹尾13日21:30・森26:00~4:30発~一ノ倉沢出合5:30
~一ノ沢・シンセンのコル直下7:30~谷川ロープウェイ駅10:00
先週に引き続き、またしても谷川岳・東尾根に向かう。一孝サンは北アの縦走に出かけ
振られてしまったので(苦笑)、ゴルゴさんをパートナーにいざ挑戦。
しかし、最初から登攀成功は望み薄。天候は冬型気圧配置で、予報は吹雪ならぬ雨。
然れども僕達はアルパインクライマーの端くれ、よほど悪くなければ取り付きまでは
最低限向かいたい。撤退も、エスケープへの変更も冬山では重要な経験になる。
そういった意味では、こんなコンディションにもかかわらず付き合ってくれたゴルゴさん
には感謝だ。
先週同様、谷川ロープウェイ駅で待ち合わせ。今回僕は土合までの終電に間に合い、
長い階段を登ってロープウェイ駅まで小雨の中歩く。ロープウェイ駅は僕一人、こんな
天気だし当然かなと思いつつ、快適な床で仮眠する。しかし夜中に意外と人がドンドン
入ってきたようだ、こんな天気で物好きだなあと・・・。(アレ?)
3:30過ぎ、起きると隣でゴルゴさんも寝ていた、深夜2:00頃到着したらしい。
みんなが寝静まる中、準備してこれまた前回同様4:30出発。
限りなく雨に近い湿雪のなか(てか雨)、黙々と一ノ倉沢へ。トレースはうっすらあるが、
多少ラッセルする。先行パーティーも後続パーティーもいなさそう、雨は降っているが
思いのほか視界もあり風もない。そのかわり・・・気温が高く(多少語弊があるが)暑い。
一ノ倉沢避難小屋に付く頃には、ザック・ヤッケはビッショリ。
じっとしていると冷えてきて寒い。個人的には吹雪よりもこういう状態の方がかなり不快
で、モチが下がる。
一ノ沢まではデブリの中をツボ足でラッセルするが、時々腰あたりまでハマる。 天候は相変わらず小雨だが、視界の先には一ノ倉の大岩壁群。来年は是非あそこを攀じりたいものだ。
一ノ沢からは急傾斜をひたすらラッセル。脛~膝程度だが、傾斜がありなかなかツラいアルバイトだ。本谷もそうだが、一ノ沢もデブリがあちこちにあり、長居は絶対したくない雰囲気だ。休憩もせずひたすら進むが、コルが見えてもなかなか
コルは近づかない。天候はいつしか小雨から若干吹雪いてきた。
コル直下手前まで来て、ラッセルしているとすぐに顕著な弱層に気づいた。この気温の高さ、チラホラ始まった吹雪、この後は天候悪化の予報。
実際に雪崩に出遭ったことはないが、知識としてはこれ以上ない雪崩発生の
組み合わせに感じた。尾根(コル)で行ってしまえば雪崩そのものは大丈夫だが、
今年の雪の少なさからか、周辺の岩のむき出し状態を見るとこのまま突っ込んで
雪の悪さにより撤退となっても、数時間後の一ノ沢下降はかなりヤバイ。
「2週連続か、やれやれ」とまあ笑話で済むうちに撤退しようと、ゴルゴさんも
賛同してくれた。下降もやはり沢上部は雪が不安定で、急傾斜も手伝いなかなか悪い。
それでもなんとか避難小屋まで到着。体・装備はすでにずぶ濡れでかなり寒い。去年はこの状態で吹雪かれたから低体温症にやられたのだろう、残雪期の怖さだ。
ロープウェイ駅までは久しぶりにゴルゴさんと今後の山行について話す。詳細は本人から聞くのが一番だろう、皆様ゴルゴさんと話しませゥ。
ロープウェイ駅はスノーボーダーや雪訓(?)の方々で賑わっていたが、ずぶ濡れの僕らはかなり場違いなオーラを醸し出している。まあそれも「挑んだもの」だけが纏える勲章としよう。帰りはゴルゴさんに水上駅まで送ってもらい、帰途に着く。途中、各地で強風のため電車が止まっているらしいことがわかる。やはり天気は確実に悪いのだなあと・・。
大内サンに下山連絡すると、「ちょうど今、谷川で二人組の遭難がニュースになってる。」
とメールで来る。他人事ではない、今回の撤退は悔しいがこれも一つの正解だと
自分に言い聞かせた。
今年は雪が少なく、天候も暖かい。谷川の継続登攀を計画していたが、
東尾根の偵察ができてない以前の問題としてこの雪の悪さでは
充実した登攀はあまり期待できない。残念だが、夏の中国遠征も視野に入れて
今年の冬シーズンを早めに切り上げ、岩に取り組むことにしよう。
来冬シーズンのさらなる厳しい登攀に備えて。
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