2009年1月9日(金)~11日(日)
メンバー:CL妹尾
八ヶ岳の縦走が不完全燃焼に終わり、3連休を丸々残した結果となり
このまま終わる訳にはいかず、かねてより目標だった旭岳東稜へ。
9日(金) 多摩動物公園駅17:45~JR清里駅22:00
朝9時過ぎに小淵沢より帰宅、今日夕方出発なので慌しく
入浴・洗濯・食事を終えて、旭岳東稜のルート図を盛山サンに頂くため
新宿へ。関東は冷たい雨、気分も若干滅入る。
15:00前に帰宅、何とか乾いたテント・シュラフ類を片付けるが
朝洗ったフリース・インナー類がこの天気・気温の中、乾くはずも無く
ドライヤーで必死に乾かす。
JR小海線は終電が早いので、こちらを夕方に出発しないと間に合わない。
慌しく夕食をかきこみ、冷たい雨の中一路清里へ。
清里駅は夜間無人駅(?)らしいが、駅ビバークにはかなり快適。
夜中に2パーティーぐらいが来る。
10日(土) JR清里駅3:45~地獄谷出合小屋7:45~東稜取り付き8:30
~上部岩稜帯12:30~旭岳頂上16:43~権現小屋17:15
駅ビバークがあまりに快適すぎて寝坊、八ヶ岳縦走の疲れかなと。
他パーティーが寝息の中、朝飯を抜いて一路地獄谷へ。
1時間ほど駅から車道を歩く。人通りは無く、暗い中ひたすら寒気の下。
正月に実家へ帰省した時、祖母に言われた一言が脳裏をよぎる。
「平地にも楽しいことは、ぼっけえ(たくさん)あるのに、なんでヤマなん?」
・・・苦笑。ゴメン、うまく言えないけどコレがヤッパり俺なんよ。
昨日の降雪で、早くも脛下までのラッセル。林道を少し歩くと、横方向から
別パーティーのヘッデンを確認。せめて追いつかれるまでは、自分から
ラッセルを譲るようなヘボなマネはしたくない、ひたすらがんばってラッセル。
しかし、意に反して後続パーティーは追いついてこない、しめた。
林道を暫くラッセルすると、赤布がありどうやらここから林道を外れるらしい。
しかし、確信が得られず偵察に行き、ようやく踏ん切りがつく。
赤布は適度にあり、ルートに迷わずに済む。しかし、ラッセルがきつい。
風・小雪もチラホラ出てくる中、後ろに時々後続パーティーを確認しつつ、
トレースを譲りたくなく、ひたすら先を進む。
もういい加減にしろ、という頃にようやく地獄谷出合小屋へ到着。
後続パーティーは名古屋からの4人組と別の4人組。ここで装備を整える。
名古屋組は同じく旭岳東稜で、他の2組は4人に対しこちらは単独。
否が応でも気後れする。ソロで時間がかかり、後続を待たしても
申し訳ないし、先に行ってもらおうか・・・などと弱気になる。
イヤ!その時はその時、譲ればいいだけの話だ、強気で行け。
他パーティーが準備の中、一番に小屋を飛び出す。
所々、太腿までのラッセルで20分ほどで東稜取り付きへ。
すぐ後ろに名古屋組、彼らとは別のラインで取り付いた。彼らの姿を見たのは
コレが最後。以後、ずっと先に歩けた。
昨日までの雪で概ねスネまでのラッセルだが、ラインは明瞭。
ところどころ急傾斜な場所もあるが、樹林帯の中は潅木を使えるので
問題なく進める。
上部岩稜帯に近づく頃には、いよいよ吹雪いてきた。
潅木の合間から聳える上部岩稜帯は威圧的で畏怖さえ感じた。
その手前、2ピッチ分ほど急な雪壁をダブルアックスで登る。
前半は雪壁といっても、ほとんどラッセルだったが後半は凍った草付きが
随所にあって、今考えればロープを出しても良かったかなとも思う。
上部岩稜帯取り付きに到着すると、いよいよ風も強まり横殴りの吹雪。
テルモスの熱いお茶を飲み、気持ちを落ち着けてロープを出す。
直登ラインは雪が付いており、かなりヤラしそうなので
左に10mトラバースして、潅木の生えた草付き・岩のミックス帯を
ダブルアックスで登る。
たまにスノーシャワーを浴び、真っ白。斜面表面は雪が付いており、
下が凍った草付きならいいが、掘りおこすと岩だったりして
なかなかペースが進まない。太い潅木に中間支点を取り、ランナウトの中
時々、今の自分にとってはデリケートな登攀を要求される場所も
ある中、45mロープをギリギリまで伸ばし、潅木で確保支点を作る。
懸垂下降で下まで降りると、ザックは雪まみれ。
とにかく寒いし雪まみれ。ユマーリング中はむしろ体をガムシャラに動かせてまだマシ。
確保支点から数m登ると、東稜の稜線に復帰する。
資料で見たのと同じ形のキノコ雪の上を進むが、気をつけないと右側は
切り立った崖。ピッケルで刺すと向こうが見えたり(苦笑)。
もう稜線に近いので、風も強い。早く進みたい・終わりたいという本能と
慎重に・安全にという理性のせめぎあい。かろうじて理性の勝ちという感じ。
最後の急な雪壁を慎重にこなし、雄叫びとともに旭岳頂上へ。
終わった、やったぞ、と感じたのも束の間。
八ヶ岳特有の東面からの猛烈な風・吹雪が疲れ果てた体を襲う。
視界も20mぐらいか、ヤバイ。でも頭はハッキリしてる。
一昨日に通ったルートだ、落ち着け。正直、ルートを登攀中より
稜線から権現小屋までのこの30分ほどが死ぬほど長く感じた。
猛烈な吹雪と、腰ラッセルの末、権現小屋に到着。
小屋の影は風が凪ぎ、それだけで天国に感じた。整地する気力も無く、
テントの中に雪まみれのザックを放り込み、暫く放心状態。
両手の何本かの指先は感覚が無く、マットを敷くよりも先に
コンロの火で指を暖め、お茶を一口分作ってようやく我に返る。
雪まみれのテントの中、独り微笑む。
「やった、無事登りきった・・・」
11日(日) 権現小屋10:30~青年小屋12:00
~観音平14:00~小淵沢駅17:30~多摩動物公園駅21:00
小屋が風除けといっても、やはり八ヶ岳の稜線、寒いし強風。
安物のテント内側の結露が風の起こす揺れでシュラフに落ちて真っ白。
今回は軽量化のためシュラフカバーを持参せず。
朝飯を5:00頃食べて体が暖まるとついウトウト、気が付くと9:45(笑)。
まあ、今日は下山のみなのでこういうのもアリだ。
と思ったら、甘かった。天気は晴れなものの猛烈な烈風と、昨日までの
降雪で、稜線は常に腰ラッセル。ホンとに辛くキツイ。
青年小屋にようやく到着。3日前は45分の行程が、今回は倍の90分。
本当に雪山ってヤツは・・・。遠くには富士山、今日は快晴だ。
そこからは幾分、ラッセルも楽になり小淵沢駅に夕方到着。
人間(山屋)とはゲンキンなもので、電車の中で記録をまとめつつ
あんだけ酷い目に遭いながら、もう次の山を考えている。
・・・今年は八ヶ岳を徹底的に登りこみたいな、小同心クラック・阿弥陀北西稜、広河原沢アイス、権現岳東稜も捨てがたい・・・・。
そんな事を考えていると、またしてもアノ言葉が。
「平地にも楽しいことは、ぼっけえあるのに、なんでヤマなん?」
翌日はノンビリ、アパートの空き部屋(?)をO内サンに借りて装備を干す。
ようやく正月休みが来た感じだ。さあ、次はどこに行こう?
今月の第四週は大同心雲稜だよん
とりあえず、一緒に山に入ろう
投稿情報: 松 | 2009/01/13 18:10