谷川岳岩稜登攀入門ルート『烏帽子沢奥壁南陵』へ。
日程:2014年6月15日
隊員:サイT・マスD(記) ・・・アイウエオ順 敬称略
04:00土合駅駐車場 ~ 05:00一ノ倉沢出合 ~ 06:00南陵テラス ~ 11:00一ノ倉岳頂上 ~ 12:30肩の小屋 ~ 14:30土合駅駐車場
3月の東尾根から3カ月。雪解けした谷川岳の岩稜登攀の門を叩いた。
“本チャン”ルートへ挑戦する為には、前もって三ツ峠山や越沢バットレス等の岩場で十二分に訓練しなくてはならない。
その点ではマスダはまだ修練が足りないのだが、今回T先輩がお目付け役として同行して下さる事になり、本チャンにフライングデビューをさせて頂く事となった。
午前4時少し前。土合駅駐車場を出発。
谷川岳ロープウェイ駅の駐車場へ車を停めたかったのだが、駐車場が利用出来ずチョッピリ歩く距離が伸びてしまう。
まだ夜明け前だが、満月が明るくアスファルトを照らしてくれるのでヘッドランプ無しで一ノ倉沢を目指す。
歩き始めて少し経つと空が明るくなってくる。
3ヶ月前の圧倒的な積雪は何処へやら、舗装路を辿ってアッという間にマチガ沢を越え、一ノ倉沢の出合に到着。
目の前にデデンと大岩壁が広がる。
この日は梅雨の中休みで快晴の予報。既に数パーティが前方の雪渓に入っているのが見える。
一ノ倉沢出合の駐車スペースには10張りほどのテントがあり、同業の方々が各々出発の準備に取り掛かっている。
T先輩の先導でサラサラと流れる沢に降り立ち、僅かな飛び石で雪渓へと踏み入る。
まだ6月という事もあり、この日は非常に雪渓の状態が良く、スイスイと歩を進める。
噂の『ヒョングリの滝』もまだ稼働していない様子。
南陵到達前にヒョングられてしまうのでは・・・と警戒していただけに、ややヒョングり抜けした感はあるものの、ヒョングるに越したことはない。ヒョングリヒョングリ・・・
あっという間にテールリッジ末端にたどり着き、雪渓から岩へ乗り移ってココからは手も使って前進する。
傾斜の緩い岩でも、所々染み出して濡れた箇所があって気が抜けない。
背後の白毛門から朝日が射してきて、一気に気温が高くなるのを感じながら草付きを抜けると、正面の衝立岩が立ち塞がるように迫ってくる。
目指す南陵は眼前の岩壁を左にトラバースしていった先にある。
南陵手前の中央稜ルートに先行パーティが取り付いているので、落石を喰わない内に速やかに通過。
しっとり濡れた恐怖のトラバースを終えて、一際盛り上がっている南陵テラスへと到着。
まだ6時だが南陵は人気アトラクションなので、既に2パーティがテラスで順番待ちをしていた。
正面三方が壁に囲まれており、テラスは他パーティのコールが良く響く。
ルンゼに巣を作っているらしいツバメの大群の鳴き声と、時折ボコンボコンと雪渓が崩落する音を聞きながらロープとクライミングシューズを取り出して備える。
先行パーティが登っていく様子をカンニングするのも忘れない。
程良く休憩した所で出番が回ってきた。
後続にも2、3パーティが上がってきているので速やかにスタート。
1ピッチ目は易しいフェースから、チムニーへと抜ける。
チムニーの出だし一歩が遠く、足を高く上げて岩間に挟まり込んでいく。
ザックの中でオニギリとパンが潰れていくのを感じながら、背中と足で突っ張って短い煙突を攀じっていく。
2ピッチ目はホールドも残置ハーケンもタップリで思いやりを感じる。
そして何よりも、思っていたより岩がシッカリしているので、落石を起こしてしまう心配が少なく登れるのがヨロシイ。
張り出した岩の袂にあるビレイ点からは一ノ倉沢が一望出来る。
3ピッチ目はリッジを回り込むように緩い草付きの傾斜を登っていく。
4、5ピッチ目はリッジ沿いにいくつも支点が配置されており、最終ピッチを前に渋滞、順番待ちをするポイントであるらしい。
核心の6ピッチ目は最後の最後にやって来た垂直に近いフェースの登り。
しかもシトシトと染み出しでフェース全面を潤っており、なかなかにキビシイ。
6ピッチを登りきればルートは終了となり、左手の6ルンゼから下降する同業者が殆どだが、天気も良く時間もまだ早いのでそのまま一ノ倉岳山頂を目指す。
ルート図によれば、6ピッチ目の後はカンタンな草付きを詰めて一ノ倉岳稜線に出る・・・とある。
烏帽子岩の脇を通り、岩と草と泥を踏んでいく。
近くに見える国境稜線だが、なかなかたどり着かない。
ロープを出すほどでもない・・・かと思いきや、ボロッボロのカサブタのようなホールドの壁が出てきて最後までヒヤヒヤさせて下さる。
この日一番の核心は間違いなくココだと思います。ええ。
〆にⅢ級程度の藪漕ぎをして(T先輩はこんなのヤブじゃない!との事ですが、ココは譲れません。)開けた一ノ倉岳山頂に到着。
国境稜線を谷川岳に向けて歩いていくと、ヘルメットを被っていない登山者にも遭遇。
早くも里に下りた気分を味わいつつ、肩の小屋を目指す。
小屋まで来ればゴールは間近。
あとは天神平まで下ってロープウェイで・・・
・・・
・・・
定期機械整備点検の為、下記の期間をロープウェイ・観光リフトの運行を休止
させていただきます。
記
運行休止期間:平成26年6月9日(月)~平成26年6月27日(金)
大変ご迷惑をお掛け致しますが、ご了承くださいますようご案内申し上げます。
( 谷川岳ロープウェイHPより転載 )
・・・じーざす。
いや、やはり山屋たるもの自分の足で下山してナンボだと思うんですよ、ハイ。・・・廃。
足腰をガタピシ言わせながら西黒尾根を下山しました。よく頑張りました。自分でジブンを褒めました。エライ。
一日天気が持ってくれてホントに助かりました。
同行してくだすったT先輩にも感謝申し上げます。
次は誰かを連れて来れるようにしなくては・・・ですね。
なるべくロープウェイは動いてる時に。