備中 美しくカンテ 2016年2月~3月
れい
中国支部より。備中ニューエリアに通って、美しくカンテ(5.12c)をついにレッドポイントできたので記録書いときます。
●モチベーション
同じくニューエリアにある「時間よ止まれ」をやっていた頃、カンテを登る人を見ているうちに、あの豪快なラインを僕も登りたいという気持ちが高まってきた。どうも最後が核心らしく、皆そこで大フォールしている。それもどんなもんやらと好奇心をそそられた。
ただ、5.12を登れたのは、「時間よ止まれ」、備中長屋坂の「カウントダウン」、人工壁で12aと12bのみ。完全にオーバーグレードなのはわかっている。しかし仕事の都合で備中に通えるのは3月で終わりかもしれない。登るなら今しかない。
●トライ開始からレッドポイントまで
2/6(1本)
取り付いてみた。テンテンで終了点一つ下のピンまではなんとかなった。
2/7(2本)
2本目で勇気を出して最後の核心に挑み、とりあえず大フォールは経験。
2/21(2本)
1本目でそれらしいホールドを繋いでとりあえずトップアウト。
2本目どこまで繋がるかやってみて、途中で大フォール。
2/28(2本)
繋げてやってみるが、腕が大パンプ。途中、遠いホールドに飛びついていたが、今のムーブでは繋がらないと感じる。可能性が見いだせない。しかも最後の核心の大フォール時に、ロープを足に引っ掛けて頭からひっくり返る。もうすべて投げ出したいと思った。
3/5(2本)
気を取り直してもう少しやってみることにする。この日人の登りを見て、遠いホールドに飛びつかなくても取れることを知った。
3/6(3本)
3本出して全て最終ピンまで繋がる。いい感じだ!
3/12(2本)
大事なホールドが濡れていて、最終ピンまで行けずにフォール。
しかし濡れていても登れるように工夫したことでムーブが改善された。濡れも悪くないものだ。
3/13(4本)
最終ピンまではほぼ自動化されたが、最後の核心がぎこちなく、繋がる気がしない。
初めて1日で4本目を出す。疲れていたが、遊び心を持ってトライしたおかげか、核心に入る足の位置をすこし変えたら自然なムーブになることに気づく。近々レッドポイントできることを確信。
3/19(4本)
前回可能性を見出して、「濡れてても登れますよ」などとほざいていたら、核心のホールドが本当に濡れていて墜落を繰り返す。初心を忘れるなということだろう…。
3/27(4本)
最高のコンディションだったが、あと2手というところで、大切な突起物をつまめない…。レッドポイントを焦ることなく、1トライごとにホールドを中継してみたり、足の位置を変えてみたりと作戦を変えるも、どれもうまく行かず。
3/29(2本)
1本目。前回あれだけやったから体が覚えているはずだと信じて、同じムーブで挑んだものの、やはりあと2手で墜落。腕はまだ限界まで行ってないのに、心に余裕がない。何か工夫できる場所をしらみつぶしに探る。すると、核心に入る手前で、宙ぶらりんになっていた左足を乗せられるスタンスを発見。これは心に余裕ができそうだ。
2本目。作戦通り実行。左足をきちんと置いたことで落ち着いて次のムーブに移れた。そこからは体が自動的に動いて、最後のガバまで繋がる。クリップしてレッドポイント!
正解はこれだった。
全28トライ。1つ1つの可能性を探っていって、最後の最後まで登り方を少しずつ洗練してやっと掴んだレッドポイントだった。
冬の大山のお誘いも頂いたりしたのに、冬山には一歩も足を踏み入れずに岩登りだけに賭けたシーズンだったが、得るものは沢山あったように思う。
持久力をつけるために、長屋坂で5.9~11を10本以上連続で登ったり、腕をパンプさせてからボルダーをやったり、30分間壁に張り付いてみたりと肉体的なことは色々やった。また、もともと強くないメンタル面を改善するために、たくさんメンタルトレーニング的なことも学んだ。特に菊地敏之さんのワンポイントアドバイスと、Arno IlgnerのThe Rock Warrior’s Way: Mental Training For Climbersにはかなりお世話になった。
1年前には12の世界に入れるとは全く思っていなかったし、ましてやカンテを登れるとすら思っていなかった。ただ、やればやるほど12というグレードに対して自分が勝手な先入観を抱いていたことに気付いた(まぁまだ全然難しいと思うけれど…)。
今回のようなトライをできた周りの環境全てに感謝です。
4月よりMGC関西支部になります。
感動しました。素晴らしい記録ですね!
投稿情報: かん | 2017/04/06 12:55