2014年2月22日(土)~23日(日) 1泊2日
メンバー:妹尾(記)
今シーズンの集大成として、谷川のとあるルートを
選んだが、その偵察と前哨戦として以前から
興味のあった一ノ沢・左方ルンゼに単独で入った。
23日行程・・・0:00富士河口湖町~11:00/11:30JR土合駅~
12:30一ノ倉沢出合~14:00JR土合駅~14:30道の駅
初日は目標ルートの偵察のみということで出発。
特に急ぐ必要もないので、高速代をケチって
河口湖~谷川まで、片道230kmぐらい下道(笑)。
毎年なので慣れたもんです。
土合駅から歩くも、天気が悪く案の定
一ノ沢出合はガスでほとんど視界なし。
視界のない中で雪崩を食らっても(しかも偵察で)
仕方ないので、さっさと引き返す。
道の駅は隣接するスーパーもあり、快適の一言。
24日行程・・・5:00道の駅~5:15/5:30JR土合駅~
6:30一ノ沢出合~8:00/8:30左方ルンゼ取付
~11:30F5上部雪壁~13:30/14:00左方ルンゼ取付
~15:30/17:30JR土合駅
いろいろ考え事しながら夜更かしして、
案の定ちょいと寝坊。
急いで準備して先を急ぐ。
先行が2パーティー。
一組は東尾根3人組、もう一組は・・・
どこかで見たツラと思いきや、
まつどの新人サン。今シーズントライ予定の
東尾根の偵察に律儀に来た模様。
この2パーティーを一ノ倉沢出合で追い抜き、
一番で一ノ沢出合に到着。
出合でハーネスなどの準備をしていると
単独で来た男性が先に抜いていった。
聞くと、どうやら同じ左方ルンゼに向かう模様。
先頭を行く単独の男性とウチの新人サンに
途中で追いつき、交代でラッセルして
左方ルンゼ取付に到着。
新人サンはシンセンのコルまで向かうので
ここでお別れ。
先に単独の男性がスタートで、すぐ後を追う。
先行の男性が落とす落氷が危ないので、
F2からは距離を開ける。
F1~F4までノーロープで二人とも登る。
時々80度くらいがワンポイントで
でてくるが、特に難しいこともない。
F4を抜けたところで、先行の男性が
F5に取付くのが見えた。
F5に近づくと、先行の方はなかなか手こずっている模様。
理由は簡単だ。氷がまったく張っていない。
ルンゼに申し訳程度にシュガースノーが
詰まっている程度で、短いながらも
傾斜が強いルンゼの抜け口にチョックストーンが
塞がっている。完全にドラツー課題。
しばらく先行の方をお茶でも飲みながら眺めていたが、
とうとう諦めてクライムダウンしてきたので、
先頭交代。
ルンゼに入ってルートを観察。
右側壁にグラついた残置ハーケン1本+シュリンゲ。
テストして、静荷重なら問題ないよう。
空身でザックにバックロープをつなげトライ開始。
シュリンゲに足を乗せ、そっと立ちこむと
チョックストーン上の氷(硬雪?)にアックスが刺さる。
左足が足ブラになるが、片手で強引に引き付けて
さらに奥の氷をアックスで捕らえずり上がる。
登りきったところでバックロープを引っ張り、
ザックを引き上げた。
先ほどの男性はどうするのだろう?
一瞬、上からロープを出すことも頭をよぎった。
でも、それはマナー違反かなとも。
谷川岳のアイスで、しかもソロで来るのだ。
お互い自分のスタイルを尊重すべきなのは
暗黙のルールだと思う。
それに自力で登れないなら、下降すれば
良いだけなので、そのまま先を進んだ。
そこから雪壁を進むが、シュガースノーに
苦しめられる。上部に行くと、とうとう
30cm程度の厚さしかなくなり、万事休す。
異なるラインからトライするが、時間がかかる。
80mほど登ったところで、これ以上進んでも
中間リッジ・東尾根・国境稜線と雪崩の危険に
わざわざ晒される必要もないので、
おとなしく同ルート下降する。
F4からはルート脇の潅木帯を下降。
藪ヤブしているが、支点は豊富。
無事に取付まで戻った。
F4~F2の右岸には、古いが一応支点がアリ。
ルート自体は技術的に簡単で、
天候さえ良ければ、新人サンを連れてきても
楽しいかなとおもいます。
何より、アイス~雪稜、稜線歩きなど
いろいろな区間を贅沢に登れるのが魅力。
今回は中間リッジまで抜けれませんでしたが、
次は中間リッジから国境稜線のご褒美を
歩きたいですね。
・・・ここからはルート報告から外れますが、
F5でアックス1本が残置しており、最初は追い抜いた男性が
忘れたのかと思い下降を続け、F2取付でさらに
アックス1本+GPSが落ち、疑問が確信にかわり、
ルート取付からさらに100m以上一ノ沢を
下ったところに、先ほどの男性の遺体がありました。
先に遺体を見つけた、朝の東尾根3人組が
(途中で敗退、引き返してきて遺体を発見)佇んでいました。
墜落の瞬間を見ていないのであくまで推測になりますが、
遺体のロープの接続状況から見て、F5のフリーソロに
失敗し、F5~F1すべてを墜落、さらに取付から
100m以上一ノ沢を滑落したようです。
残念ながら即死のようでした。
同じ日に同じルートを同じスタイルで登り、
かたや僕は、何事もなく無事に戻り、
今日も変哲もなく忙しく仕事に行き、週末の山行に
想いを馳せる。でもあの男性は2度と帰ってこなかった。
その差は何なのか?答えはまだ出ていません。
その他にも、いろいろ思うことはありますが、
それはまた別の機会に。
亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
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