2014年3月15、16日 八ヶ岳横岳西面石尊稜
CL盛山さん、SL松澤さん、佐藤さん、松隈(記)
15日 アイスクライミングの予定でしたが、松隈が不安で下見をしたいと言った為、
取り付きの確認、1ピッチ目の下部岸壁を登って懸垂下降。赤岳鉱泉で幕営。
後ろから、松さん、盛山さんが着いてきてくれ安心と緊張が入り交じり、でもトレースがあった為行けました。雪に埋もれた支点を掘って見付けた時は嬉しくて3人の顔を見てしまい、でも3人とも普通に冷静。確認したので帰ろうと安心していたら、1ピッチ登ってみなさいと言う先輩方。
松隈リードで泣き言言いながら佐藤さんと登りました。佐藤さんはリードの経験が無かったのですが、1度登った所は登れると頼もしい一言。明日ここやってくれると言って頂き安堵し、懸垂の準備へ。
思っていたよりもボルトが打ってあり、アルパインでこんなにあることまあ無いよ、と教えて貰いました。
セカンドのビレイのセットが遅い、下からは沢山ありそうに見えたスタンスもそんなに良い訳じゃないことや、ルートを見ること、岩稜帯のピックの付き方など色々問題点が分かり、本番に向けて下見が出来て良かったです。
16日 石尊稜本番へ
3時起床、支度して5時過ぎに出発する直前、松隈、アイスアックスを無くしたことに気付き、
頭の中が白くなるという失態をやらかしました。昨日の下見の時に歩いている途中でザックから外れたのに気付かずかず…。動揺しながら出発し、結局取り付きの途中の斜面にあったのを佐藤さんが見付けてくれ、喜んだのもつかの間、盛山さんにこんな状態で行けると思ってるのかと怒られました。当然です…。佐藤さんが心配そうに見守る中、私が行きたいと言ったため行くことになり、前日に心配していたアプローチよりも不安なスタートで始まりました。
7:00下部岩壁取り付き
1P佐藤さんリード 昨日より凍っていていい状態みたいでした、安定していて静かな登り方。上で盛山さんが、セカンドのビレイを初めてやるのでセットの仕方を教えていました。
2P松隈 ロープを伸ばしてぎりぎりにしたためビレイのセットが上手く出来ず慌てる。大きな木で支点を作っているのですが、バックアップを必ず取らなきゃ、との思いから盛山さんから借りたデッドマンをセットし、更に時間を使う。松さんに遅いと言われ、余計な手間は省くようアドバイスされる。
3P佐藤さん 2人組の男女がコンテで登るのを見ながら登る。雪がふかふか。
4P雪稜 本に気持ちの良い雪稜、とあったので楽しみにしていたが、息があがってぜいぜい。
三叉峰ルンゼのルートの下降路に使えると書いてあったの思いだし、下降にしてはやだなあと思っていました。
5P佐藤さん このあたりからお互いの声が聞きづらくなってきました。松さんが笛を合図にする場合は、出来るだけ簡単にしたほうがいいと言ってた意味を実感しました。
これ以降記憶が曖昧に、途中から上部岩壁まで同時登攀で登りました。松さんに説明を受け、トップは中間支点を取りながら登り、セカンドはトップを巻き込むので絶対に落ちてはいけない。
ロープを拾い集めるようにして登り、少しでも早く目安の上部岩壁の取り付きに着ける様に必死でした。
タイムリミットは11時までに上部岩壁に、と聞いていたので間に合って良かったのと、
後はもうどうあっても上に抜けるしかないとの思いでリードしました。
風が強くてちょっとかぶった所を乗越すのに緊張しました。支点1個しか取れなかったし、景色が良すぎて高度感があり、1度怖いと思って下を見たらもう登れないだろうなと思ったので足を置く所しか見ない様にして、上のピナクルでビレイ。
最終ピッチは佐藤さんがリードで上に着いた時私はへろへろでしたが、佐藤さんはしっかりしていて元気でした。天気が崩れだしていたので、一刻も早く下山しなければ、松さんと佐藤さんは一足先に山頂、地蔵尾根へ。
12:10山頂
はい、これ石尊。わあ〜。手だけ合わせて会釈してすぐさま地蔵尾根に向けて稜線歩きに。
風がどんどん強くなってきていて視界が悪くなりました。未だかつて経験したことの無い強風に立ってられず耐風姿勢を取りながら這いつくばって進み…。
風のリズムというか、強弱のタイミングが分からず、盛山さんが私の頭を押さえつけながら、
今、あの岩陰まで行け!とか、まだ動くな、と言うのでその通りにしたのですが、何故いつ風が来るのが分かるのか不思議でした。後で聞いたら第6感かな、とのことでした。
前が見えず、風でうまく歩けない私は道を間違えたり、非常に危ない足取りになり、一緒にいた盛山さんは大分大変だったと思います。地蔵尾根の分岐までのこの稜線歩きは絶対忘れられない、きつい経験でした。
うまく歩けない自分のせいでこの人もひどい目に遭うんじゃないか、これ以上進めなくなったらどうすればいいか分からず怖かったです。
お地蔵さんの姿が見え、下れた時に、「良かった、助かるぞ。」と一言だけ盛山さんが言って、
私は憔悴して何も言えずに歩きました。
行者小屋に着いたのは14:20。先に着いて待っていた松さんと佐藤さんがコーヒーコーヒーと喋っている姿を見てやっと安心することができました。
その後、赤岳鉱泉に戻り15:00に撤収。
残業した訳でもなく、明るい時間に下山しましたが、随分と長い時間行動していた様に感じました。
マルチピッチのシステムの自分の改善点、ウエアやギアの選択、直すべき所は沢山発見出来ましたが、何よりも、自分の経験の無さや、甘さが堪えた石尊稜でありました。
パートナーになってくれた佐藤さん、助けて頂いた松さん、盛山さん、ありがとうございました。
コメント
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