2010年10月9日(土)~13日(水) 前夜発3泊4日
メンバー:妹尾
諸々の事情で中国登山以来、かなりヤマから遠ざかっていたが
やっぱりウズウズ、初秋の北アルプス、唐松~白馬へ行ってきました。
今回の目的は、冬に縦走でここら辺を通る可能性があるので
この近辺で一番の核心となる不帰の瞼を偵察すること・・・
なんてカッコつけてみるが、やっぱり久しぶりにノンビリかつドップリ
ヤマに漬かってみたかったのです(笑)。
しかしながら・・・
ケチの多い今年は(←ほとんど自業自得)、やはり妹尾を逃がしませんでした。
今回は死にかけ、もとい殺されかけました苦笑。もうちょいでホントに
新聞沙汰になるとこでした。まじ勘弁ス。
皆様、無雪期の登山は是非持って行きましょう!
何を? 勿論、く・ま・す・ず(笑)
8日(金) 中央道日野バス停18:30~白馬八方バス停23:00
所沢で仕事が終わった後、全力で60Lザック担いで自転車全力疾走(笑)。
白馬行き高速バスはこの時間が最終便なのです。
白馬八方バス停(インフォメーションセンター)脇の軒下で仮眠。
9日(土) 白馬八方バス停8:00~八方池山荘12:00~八方池13:00
~唐松岳頂上山荘16:00
朝から雨。最近寝不足だったのでついついのらりくらりで遅めの出発。
八方尾根は皆様ご存知、ゴンドラが整備された時間なき社会人にうってつけの
ルートですが、真の岳人たるものそんなものは華麗にスルー、黒菱林道を
黙々と歩く。まあ、お金ないだけなんですけどね。
結局八方池山荘までガスと小雨の中、4時間もかかり到着。
休まずひたすら歩く。しかし、考えてみれば雨の中の縦走ってあんま経験がない。
クライミングだと雨なら中止だし、冬は降っても雪だし。
そういう意味では勿論一般的な雨対策はしてるけど頂上山荘に着く頃は
かなり疲れてました。正直、寒いし濡れてるしガスで景色ないし
縦走ってこんなツマンナイもんだっけ?という感じ。
まあ、雨でも楽しめるのが山屋サン。まだまだ未熟デス。
朝、4:00に起きると外は強風と雨。当然モチは↓。
朝飯を食べようとすると頭が痛い。中国では御馴染みの高度障害か?
んなわけあるか、ここはたったの3000m弱やで。
そう、前日のズブ濡れ状態でテント設営後に、濡れた衣服を着乾かすため
きたままシュラフに入って震えながら寝ましたので、当然のごとく風邪引いたみたいです。
熱っぽいし、ダルい。今回もまた自業自得。
まあ、いいや。時間はたっぷりあるので(計画書では後半に穂高いくツモリだった)
今日はお休みにしよう、ということでひたすら寝た。
11日(月) 唐松岳頂上山荘9:15~不帰二峰南峰10:45~天狗ノ頭14:30
~天狗山荘15:00
この日も4時頃起きるが、風が強く時節雨がテントを叩く。
久しぶりの復帰戦で病み上がり、しかも単独で悪天の中へ突っ込むのは
いくら一般縦走路とはいえちょいと迷う。もう一日待つか?と
ウダウダしてるとウトウトしだし・・・気がつくと晴れていたので(笑)
今日も遅めの出発。
唐松岳頂上は三連休最終日だけあってやはり混んでいるが、
そこから先は対照的に静かな縦走となる。
すぐに道も岩稜帯となり、険しくなる。途中で軽装のお二方に抜かれる。
典型的な山小屋利用のLight&Fastで、どっしり荷物の妹尾とは対照的。
いつかあんな格好で歩いたら楽だろうな・・・と思いつつ、それを
実行しない、できない自分が間抜けで誇らしくもある。
やはりココを冬に縦走するなら不帰二峰の登り(白馬→唐松の方向で)が
核心となるだろうコトは明らかなので夏道のラインや鎖場、梯子などを
『もし雪が付いていたら』と想像しながらチェックして進む。最悪ビバークが
できる(かもしれない)場所もいくつか記憶しておく。
そんなこんなしていると、だいぶ時間がかかってしまった。
少し右足も痛む。天狗ノ頭は平らな場所が続き、幕営にはもってこいのようだ。
天狗山荘は9月で営業終了しており、先客が一人いる以外はひっそり。
たくさんのヒトの気配が残っているのに実は誰もいない。
秋から初冬に移るほんの短いこの期間の雰囲気はとても居心地が良い。
天狗池で足を洗いながらしばし秋山の荘厳な静寂を満喫した。
12日(火) 天狗山荘7:00~鑓ヶ岳8:00~杓子岳9:00~
~白馬岳頂上宿舎10:30~猿倉荘16:00~白馬八方バス停17:00
昨夕は天狗池で足をしっかりアイシングしたが、やはり久しぶりの縦走で
右足がだいぶ痛んでいる。かかとのクツ擦れはまだしも、親指のケガは
ちょっと厄介そう。テーピングしてなんとか歩き出す。
ゆっくりながらも時間・食料など余裕がありまくるのでノンビリ歩く。
天気もなんとか持ってくれている。
しかし、白馬からの下りになると親指が酷く痛みなかなかペースが上がらない。
秋の北アルプスで平日、当然登山者は少なく静か。さらに右足を気にして
黙々と足元だけ見て歩いていたのがいけなかった・・・。
標高もまだ2500m(!)と、まだ大丈夫だろうと油断してました。
『ボフォッ!』
突然鼻息(威嚇音?)が聞こえ、顔を上げると・・・20mほど先の道脇から・・・
熊です、くまです、bearです、学名Ursus thibetanus、食肉目クマ科・・・以下省略。
しかも一番デカい熊のうしろにはやんちゃな仔熊が2匹・・・
はい、「熊に注意!」的な看板とかで真っ先に挙げられるやってはいけないコトですね。
「子連れの母熊に近づくな」。
まさにこのシチュエーション。彼らに出会って0.5秒で理解できました。
母熊は完全に警戒モード、てか戦闘モード?2,3歩間合いを詰めてきました。
野生動物の殺気って初めてですが(当たり前か)、もう半端無い。
新宿でや○ざのニーチャンが「殺すぞゴルァ!」なんてホントかわいいモンです。(たぶん)
質が違う。真顔で「コロスヨ」ですよ。
もうホント、「クマのプ○サンかわい~」とか「リラッ○マかわい~」とかノタマってる
世の乙女達に小一時間ほど説教したいぐらいです。本物のクマを括目せよといいたい。
もう完全に覚悟決めました。ヤ・ラ・レ・ル。
しかし一瞬母熊が立ち止まったので、こちらもすかさず後歩きでスーッと後退。
さらに母熊が様子を見ている感じだったもんで、30mほど早歩きで登り返す。
ホントは、「背中見せちゃダメ」とか怒られるんでしょうが、ムリです。
リアルな殺気向けられて冷静に「背中見せずに後退」とかそんな余裕が妹尾には
ありませんでした。
かろうじて走らなかったのがよかったのか、ただ悪運が強かったのか
母熊はこれ以上追いかけては来ませんでした。数分間呆然・・・。
ようやく我に返って、辺りを見回すとはるか谷の対岸に3匹の姿が。
この時点でようやく写真を撮る余裕も出てきました苦笑。
その後は再び痛み出した右足を引きづりながら大雪渓を下り
その足で猿倉から八方バス停まで2~3時間かけて歩くツモリでしたが
山の神様は見ててくれたのでしょうか?(だったら熊なんかに遭遇させんなよ・・)
お客の外人2名をピックアップして戻るペンション経営の方が八方まで
乗せていってくれました。白馬は温かいです!
(名前・ペンション名を聞き忘れましたが、をこの場で御礼申し上げます。)
日野までのバスは最終便がなく、来た時同様今夜も軒下で野宿。
13日(水) 白馬八方バス停7:00~中央道日野バス停11:00
朝が地味に早く、前夜の興奮もあって睡眠不足のままバスで爆睡。
足を引きづりながら何とか帰宅しました。
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「熊鈴なんてホント意味あんの?」そんなふうに思っていた時期が僕にもありました。
ほんと大反省です。
特に独り・少人数で山に入る時は皆様にも是非熊鈴をオススメします。
もし忘れたら全力で鼻歌でも歌って熊の皆様に自分の存在をアピールして下さい(笑)。
それにしても、こわかった~。