8月15日~17日
日置、盛山、松澤
もともと黒部の上の廊下を行く計画だったが、北アルプス方面天気が悪いということで、出発当日になって急遽行き先を変更。さらにゴルゴ隊長が突然手が痛くなって行けないと言い出す。バスの予約やその他調整も全部やってもらっていたため、なんだか申し訳なかったが、そんなことはすぐに忘れてご機嫌で出発していった。
15日
入渓点9:00―白蓬沢出合手前16:00
前日は畑薙ダム手前の駐車場でテントを張って仮眠。翌朝東海フォレストの送迎バスで出発し、入渓地点で下ろしてもらった。全く歩くことなく沢に入れるのは嬉しいことである。
若干水量が多いと聞いていたが、うむ、ちょっと多そうだ。少し歩いてみると、むう、どうやらなかなか多いようだ。滝が出てくると、おお、あんなの飲み込まれたら死んでしまうよ。水面は石についている苔の線より20センチ近くも高くみえる。もともと大きな沢なので、さらに水量が多いとなると結構恐ろしい。泳ぎ、飛び込み、荷揚、スクラム渡渉と力を合わせて進んでいくが、やはり時間がかかってしまう。取水口を過ぎるともう対岸に渡るのも一苦労、ほとんど水の中に入れなかった。
やっと平らなところを見つけて寝床とするが、薪が湿りきっていて全く火がつかない。すっかり士気が下がってしまい撤退案まで出る始末。諦めるのはまだ早い、明日の朝また様子を見てみましょうとは言ったものの、目覚しすらかけずに消灯。
16日
白蓬沢出合手前8:00―百間洞出合15:30―百間洞山の家17:30
明るくなって目が覚める。いい天気だ。昨日に比べると水の量は減ったようで、そのまま進むことにするが、それでも普段と比べるとまだまだ多いようだ。普段ならば飛び石で簡単に越えられそうな場所も、水がどばどば流れていてそのまま入っていくのはとても怖い。頭が上げられず前を全く見ることのできない猛烈なシャワークライミング、激流のすぐ上を飛び込んだりしながら何とか突破していく。
門の滝も水量多くて近寄れない。右岸の水が流れているルンゼを2ピッチ登ってトラバース、門の滝の落ち口の先に落ちるルンゼの中に20メートル懸垂下降して谷に戻った。獅子骨沢上のゴルジュの高巻は思ったより踏み跡がしっかりしていて簡単に越えることができた。
獅子骨沢上の高巻が終わると沢そのものが随分と小さくなっており、水流の恐怖は無くなった。飛び石も大胆になってじゃぶじゃぶと順調に進む。それまであんなに時間がかかっていたのが嘘のようにさくさく進む。ここまで苦労したのはやっぱり水量のせいだったのだ、これが本来の我々の実力じゃ、もうへなちょこなんて言わせないぞとすっかり気分を良くしてしまった。速いぞ速いぞ、このまま行ってしまえと百間洞山の家まで来てしまった。
17日
百間洞山の家4:20―椹島11:30
東海フォレストの送迎バスを使いたくて山小屋に泊まることにしたが、どうやら快適すぎてあまりよく眠れなかったようだった。最終バスが14時というので3時に起きて準備を始める。夏山で3時起床なんてありえないだろうと文句を言って出発するが、約一名早く帰って史佳さんとデートをするのだと張り切っている隊員がいた。
長い長い登山道、それでも頑張って昼前には登山口に下りられた。椹島で我々に先行していたパーティーに遭遇。我々より何日も早く沢に入っていたようだが、増水でほとんど進めなかったそうだ。
いや、しかし力を合わせてよく頑張ったと思う。まあ三人だったからまだよかったけど、これが二人だったちょっと危なかったかな。ロープもハーネスじゃなくてうっかり小指に巻きつけてしまったかもしれないし、スクラム渡渉も本来とは別の目的で行われていた可能性も否定できない。まあ、健康的に終わることができてよかったと思う。