2010年7月8日(木)~10日(土) 前夜発二泊三日
メンバー:妹尾
いよいよ中国遠征直前となるが、このシーズンは実を言うと
本チャンに一度も行っていない・・・、ヤベェ。
というわけで、
①新装備の使用チェック
②ビバークトレ
③ソロロープワークの確認 以上3項目を目的に谷川へと向かう。
(ちなみに①と②がメイン、③は単に平日発なんで
パートナーがいなかったから笑、後付な感じ。)
8日 7日20:00JR池袋駅~23:30JR上牧駅
~3:00谷川ロープウェイ駅~5:30一ノ倉出合
~7:30中央稜基部~15:006P終了点~18:00中央稜基部
前夜にまつど岳人の部会に出席後、そのまま谷川へ。
今回は訓練山行ということで、水上駅より一つ前の駅から歩荷。
時節小雨が降り、ホンマ登れるんかいな?と半信半疑、でも歩く。
途中コンビニで休憩入れて、実質3時間でロープウェイ駅に到着。
ホントは、ちょっと休憩したら出発のつもりが、ついついウトウト・・。
気がつくと外が明るい、急げ急げ。
指導センターで計画書出すと、中にもう一通、先客のようです。
出合の駐車場にバンが一台。出合からは先行パーティーは
確認できない。ハーネス・ヘルメットと簡単なガチャをつけて出発。
雪渓がかなり残ってて歩きも涼しくて快適。しかし水と4日分の食料、
ロープ2本、カム2セット、ナッツ・ピトン類などなど・・・重い。
ちょっとしたビッグウォール(←おおげさ?)級のガチャ類満載を
一人で背負うのはさすがに堪える。
テールリッジで、後続の二人組に追い抜かれる。どうやらさっきのバンで
まだ寝てたらしい。当初は南稜に行くつもりだったが、彼らが南稜に
取付くらしいので、中央稜に変更。しかし、
昨日夜は小雨もパラつく天気だったが、朝は一変
照りつく朝日に汗が滴る。やはり山は来てみないと判らない。
さて、基部で準備して登攀開始。ビレイはジジを使ったZ方式。
ま、ルベルソの代りにジジ。それと今回は中国を意識しているので
自分の中でルールを作る。
それは”中間支点は残置を一切使わない”というもの。すべて
ナチュプロか、ピトン・シュリンゲ類で登るというスタイルで登るつもり。
1P(Ⅳ級):簡単なフェイスから凹角へ左上する。残置を使わないので
少しランナウトする。朝一番なので少し緊張。
2P(Ⅲ+級):少し左へトラバース後、ルンゼ直登。
3P(Ⅳ級):ルンゼから右へトラバースしてフェイスを直登。
ここで南稜パーティーとは別の後続パーティーが
追いついてきたので、先に行ってもらうため小休憩。
4P(V-級):フェイスからチムニー、またはチムニー横のフェイスを
直登するが、残置を使わないのでⅤ-級といえど
かなり緊張する。所々にナッツやカムを頼りなく極めるので
慎重にムーヴを選んでチムニーではなく横のフェイスを突破。
5P(Ⅲ級):ルンゼから右上に凹角を登る。前のピッチと違い、
ちょっと一息つける。
6P(Ⅲ+級):ピクナルからフェイスを直登。高度感もあり気持ちよい。
5P目で先行パーティーの懸垂下降とすれ違う。6P目以降は易しい
草付きフェイスをひたすら登るらしいが、ここまでユマールやリードでの
ロープワークなど色々試しながらけっこうノンビリやってきたので
時間もかかった。衝立ノ頭はすぐそこに見えるけどちょっと
疲れ気味なので無理せず下降する。
しかも6P目終了点で30分ほど昼寝(笑)。懸垂下降で基部に戻り
基部でビバーク。水は変形チムニールートの辺りで染み出しから
取れた。この辺りは晴天にもかかわらずずぶ濡れ。
しかし、コバエ?みたいなのが多くてやたらウザイ。明日も晴れますやうに。
9日 7:45中央カンテ取付~16:00四畳半テラス
朝、目覚めるとガスがかかっていてどんより曇。でも雨は降っていなく
岩もそこそこ乾いている感じ。雨が降り出しそうなのは明白だけど
降るまでは頑張ろう、と中央カンテへ。
1P(Ⅲ+級):取付から10mほど右へトラバースしてから登攀開始。
草付きのフェイスを行くが、脆く、泥っぽい。
難しくはないが、トラバースも含めて気持ち悪いピッチ。
2P(Ⅲ級):フェースを左上。一度、凹状岩壁ルートに進みそうになる。
ガイド?が作った立派なアンカーが在った。
3P(Ⅳ級):カンテを回り込むように左上。出だしが濡れており、
ハーケンを打って慎重に突破。
4P(Ⅲ級):カンテに沿ってフェースを直登。技術的には優しいが、
上部は浮石だらけで脆くなってくる。
5P(Ⅳ級):本来のルートではなく、変形チムニー?側のルンゼに入る。
ルンゼの中はびしょ濡れで、しかも脆い。出だしの左ポケットに
キャメ#5が極まるが、上部のチムニー抜け口は悪い。
確保支点が見つからず、ハーケンで自作の確保点でピッチを
きるが、脆い岩場で相当丁寧に作る。それにしても脆い。
6P(Ⅲ-級):フェースを右上するが、ここは本当に脆いピッチ。
浮石だらけで、ホールド・スタンスとも本当に気を遣う。
リード後、懸垂下降でピッチ取付に戻る時にロープがあたって?
拳2つ分ぐらいの落石数個を起こしてしまい、危うくあたるところ
だった。まさに悪壁・・・。
7P(Ⅳ+級 A1):出だしの小垂壁を3手ほどA1.このピッチは流石に
残置無視できずにこの3日間で唯一残置支点を使用。
一度小テラスに出た後、大規模な崩壊後にできたハング
の右側にあるクラックをA1。ここはクラックがあったので、
残地を使わず、カム類で行けた。
終了点の四畳半テラス(崩壊後の今は2畳?くらい)に着くと
同時に雨が本降りに。このピッチはルートが左右に曲がって
いるので懸垂下降も一苦労。さらに登り返しもザックを背負って
ユマーリングなのでビショ濡れの中、ヘトヘトでテラスへ。
雨は止みそうになく、仕方なく今日はココでビバーク。新装備の
ツェルトを張る。ゴアほど透湿性・耐水圧は高くないが、リーズナブルなので
貧乏人はついつい妥協して購入。まあガマンすればなんとか使えます。
一晩中、雨とときおり強風が吹く中ビバーク。中国に向けてなかなかよい
ビバーク訓練ができた。
10日 7:30四畳半テラス~10:00取付~12:30一ノ倉沢出合
~16:15JR水上駅~21:00京王多摩動物公園駅
朝、ガスの切れ間から谷の下部に日差しがさすのが見える。
何とか行けそうだ、と気合を入れてテラスを撤収・・・が。
8P目スタートすると、すぐにコンデションが最悪なことを実感。
烏帽子岩上部はずぶ濡れで、相変わらずのガスが当分岩の
乾かないことを告げている。しかも草付き・脆い岩・・・。
しばし考えて、敗退を決める。このコンデションは正直危ない部類
に入る気がした。中国直前に何かあるのは正直困るし、何よりソロの時は
自分の直感が発するちょっとしたモヤモヤや畏怖に敏感になるべき
だろう。岩が乾いていれば、あるいは岩が硬ければ・・・いけるかもしれない。
いや、残置支点をマメにとっていけば多少は大胆に登れるかもしれない。
でも折角ここまで守ってきたスタイルを破って完登しても
きっと後悔するだろう、だったらまだ大人しく敗退した方がずっといい。
残念な気持ちを押し殺して懸垂下降を繰り返して取付に戻る。
小休憩の後、テールリッジを下降。しかし、やっぱりこのテールリッジも
下降のアプローチとしては悪い。疲れてるとなおさら。
後輩を連れてくる時は一苦労しそうですね。
出合に戻ると・・・人・ひと・ヒト・・・。この時期・この時間帯に出合に
戻ってくるのが初めてでしたが、一ノ倉沢出合って観光地だったんですね(笑)。
キレイなオネーチャンとか、ハイカーな中高年、休日の家族連れ・・・。
コ汚いギヤやロープを乾かしつつ片付けるコッチが場違いな感じ苦笑。
振り返ると、衝立岩の上部は時々ガスが晴れるが、相変わらず濡れてる感じ。
しかし、まだお昼で時間もあるし、今回は強化訓練山行なので
余力を残して帰るのはイクない。というわけで最後に歩荷訓練として
一ノ倉沢出合から水上駅まで歩くことにする。
2日間ビバークの後の最後のこの歩荷はなかなかに堪えます。
普段どんだけヌルいトレーニングしてたか大反省。
やはりアルパインを志すもの、ランニングや自転車なんてオサレな
トレーニングは言語道断、石でも水でもなんでも背負ってとにかく
歩荷がデフォですな。3時間程歩いて狙い通りへロヘロで水上駅に到着。
足のマメの痛さが心地よい(←ドM)帰路でした。
************************総括****************************
中国遠征直前の強化訓練山行でしたが、
2本登って2本とも敗退・・・苦笑、まァこれが実力でしょう。
それでもポジティブに考えれば(?)2日間で
リード13P、フォロー(含 ユマール)13P、計26Pと、
アプローチ往復8~9時間こなして・・・てなかんじで
ちょっとしたルートぐらいの量はこなしてるので勘弁してください。
それにしても・・・脆くて、濡れてて・・・最初は諦め半分でしたが
天候もなんとか?最低限もってくれて谷川の悪壁とがっぷり組めた
3日間でした。さ、いよいよマジで本番です。
まだ準備何も始めてナイ・・・毎度の事ながら出発が核心ですかね笑。