3月27日~4月1日 日置 他一名
今回は海外遡行同人、中国僻地つながりのK幡氏との山行。以前に何度か会ってはいっるものの、一緒に山に行くのは初めてなので、最初は軽いルートで許してもらおうと思っていた。だが天気が悪かったりでなかなか山に入れず、また三月中旬の一ノ倉尾根で気をよくしたこともあって、もう直接鹿島槍の北壁を目指してしまおうとなってしまった。
27日
立川駅から4時の電車に乗るので3時45分に待ち合わせましょうと自分で言った。3時45分に行けばよいのだから、3時半までに家を出れば間に合うと信じて疑わず、2時半になってようやく自宅から立川まで15分では行かれないことに気づいた。やばいと叫んでも過ぎた時間は戻るわけもなく、K幡さんに申し訳ありませんの電話を入れる。
当初の予定では簗場まで電車で行くつもりだったが、遅刻のおかげで信濃大町までとなってしまい、駅近くの駐車場に幕営して寝ることにした。
28日
大谷原11:30くらい―天狗の鼻17:00くらい
大谷原までできる限りの楽をしたい。どうやら信濃大町からスキー場行きの無料シャトルバスが出ているらしい。これだ、これしかないとバスに乗込み、ずうずうしく途中で降りられませんかなんて聞いてみたりする。さすがに途中で降ろしてくれることはなかったが、バスがスキー場から戻るついでに大谷原まで乗せてくれた。全くお金を使っていないのにありがたいことだ。
無料バスを待っていたせいでだいぶ出発が遅れてしまったが、なかなか順調に登っていく。トレースが第二クーロワールの手前までついていたか。辿り着けないかと思っていたが、なんとか天狗の鼻に到着した。
29日
停滞
天気予報の通り一日吹雪。蛸壺の中にテントを張った形なので雪が溜まりやすい。雪が溜まるとテントが圧縮されてしまう。何度かテントから出て雪かきをした。あんまり降るので北壁は中止にし、このまま天狗尾根を登って五竜岳まで縦走することにした。
30日
天狗の鼻8:00くらい―鹿島槍が岳北峰13:30―キレット小屋18:00くらい
朝、まだ風が強いようなので少し遅めに出発する。天気はいいが風が強く地吹雪となっていて顔が痛い。それにたっぷりの新雪が積もって太もも以上のラッセルに心は今にもくじけそう。こんなんで山頂まで辿り着けるのだろうか。雪崩を警戒してコンテニュアンスで途中支点を取りながら進んだ。
北壁、荒沢奥壁とも見事に真っ白。急峻な荒沢尾根に傷一つない巨大なキノコ雪が乗っかっている。あれはどんな味がするのだろう、辛いのか、甘いのか、苦いのか、しょっぱいのか。見ているだけで体が痺れてくるところを見ると毒キノコであることは間違いないらしい。たぶん近づけば近づくほど痺れてきて、食らいついた時には体が全く動かなくなってしまうかもしれない、当然命の保証だってない。しかしそれでもそいつを食べつくせれば、その後の覚醒作用を楽しむことができるのだろう。それは今登っている天狗尾根なんかとは比較にならない快楽に違いないのだ。
鹿島槍の山頂からキレット小屋を目指す。以外に険しく、雪壁の下降、トラバースを永遠と続けるがなかなか辿り着かない。夕日が剣岳に沈んだ頃にようやく小屋に到着した。
キレット小屋の玄関先にテントを張った。昨日までのような風も雪の吹き込みもない快適な場所だ。今日は静かにゆっくりと眠れそうだ。
31日
キレット小屋5:30くらい―五竜山荘13:30だったと思う―中遠見山17:00くらい
稜線を進む。部分的な難易度は決して高くないけれど、長いので八ヶ岳辺りのバリエーションルートよりよっぽど大変である。すぐに疲れてしまって、よたよた歩きはまるでどこかの敗残兵。相変らずしっかりとした足取りですたすた進むK幡さんについていけない。2倍近くも違う歩幅がそのまま実力の差に感じた。
ようやく五竜岳を越えて遠見尾根を下る。重たい雪のラッセルとなる。天気も悪くなって雪も降ってきた。しかしその向こうには美味い飯と暖かい温泉が待っている。何とか今日中に下りれないかなと頑張るが、結局中遠見山までとなってテントを張った。
4月1日
中遠見山―スキー場上 時間は忘れた。たぶん二時間かからなかったと思う。
朝から雨。気分は最低。しかし早く美味い飯と暖かい温泉にありつきたいのでさっさと片付けて歩き出す。雨のおかげでラッセルはほとんどなくなり歩きやすい。全身ずぶ濡れになるも、思ったより早くスキー場に到着できた。
コメント
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