メンバー:CL妹尾、SL日置、松澤
谷川の季節だというのに2週間連続で週末の悪天を経て、
ようやくこの土日の天気予報に晴れマークが戻ってきて、
かねてより懸案だった一ノ倉尾根に向かう。
13日 3:50谷川ロープウェイ駅~5:20一ノ倉沢出合
~7:30第一岩峰~12:30懸垂岩基部
今回は3人とも電車で各自ロープウェイ駅に集合。
久しぶりの晴天の週末予報とあって、続々と登山者が
夜通し集まってきて、大賑わい。妹尾は少し寝坊して
しまい、出発は4時前に。駅から一ノ倉沢へ向かう
途中、単独行者と二人組と前後する。
一ノ倉沢出合到着時はまだ暗かったが、準備をしていると
うっすら明るくなり始める。今年はやはり雪が少なく、
出合から見える一ノ倉尾根の斜面は潅木・ブッシュが多い。
出合からすぐのところで、雪がつながっているようなので
さっさと取り付く。実は2週間前にニノ沢本谷に行こうと
したとき、先行パーティーが『前日に目の前で一ノ倉尾根の
斜面が雪崩れた・・・』なんて聞いたモンで、少し緊張。
尾根上の幽ノ沢側を歩き、第一岩峰に取り付く。衝立沢?
ぐらいから一ノ倉尾根に取り付く二人組みが見えた。
(後で、Y登魂のパーティーと判明。)
雪は比較的締まっているが、所々悪い場所があり
腐った雪でのルンゼは正直気持ち悪かった。もう少し
雪の状態が悪ければ、ロープを出すべきだろう。
そこを抜けるとピクナル群を進むが、切れ落ちており
雪の状態も場所によってピンキリな感じで気が抜けない。
トポだと1回の懸垂下降(7m) だけとあったが、
残置支点のあった20mを含む2回懸垂した後、
雪壁というよりはヤブササお泥壁を一孝サンが気合で
リードし突破、松サン・妹尾が後に続く。
この頃ぐらいから霙(小雨?)が降り出し、予報どおり
一時的な天候悪化が始まる。この先にビバーク地が
ある保証は無いので、懸垂岩手前のやや平坦な
雪原?で今夜の幕営を決める。しかしまだ時間が早いので
妹尾が懸垂岩1P目にロープをFixして、その間に
一孝サン・松サンがビレイと幕営準備を交代で行った。
後続のY登魂のパーティーも隣に幕営。
小さな雪原ではとても4人用テントは張れないので、
締まった雪で腰掛をつくり、3人並んでツェルト状にテントを
被ることにする。水つくりや夕食は狭いのでテント?の外で行い、
なんとか17:00頃には就寝した・・・が快眠できるはずも無く、
テントに頭を押さえつけられながら一晩を過ごした。
明け方まで風雪がテントを叩き、明日最初にこのルートの
核心である岩のセクションをこなす憂鬱さが頭から離れなかった。
14日 6:30懸垂岩基部~13:30一ノ倉岳山頂
~14:45オキの耳~16:30谷川ロープウェイ駅
朝4:30起床、ガスっているが雪は止んでおりまずまずの天気。
すぐに懸垂岩に取り付く。
1P(Ⅳ級 A1):妹尾リード、前日にFixしておいた。6~7手ほど
アブミで進み、2手ほどのフリーでテラスに出るが、この
フリーの部分が悪い。ガバはなく、かかりのいい右のピンチと
左のスローパーで耐えながら立ちこむ。
2P(Ⅳ級?):妹尾リード、テラスから3~4m直登するが、
ホールドは豊富。潅木で中間支点を取って左のルンゼに入るが
この部分が核心。残置があるが、凹角をうまく利用して
体を少し振り、スタンスを拾えればなかなか面白い。
妹尾の体感は4級-~3級+ぐらい?ルンゼを詰めると
またしても岩壁が出てきて左に迂回。潅木でピッチを切る。
3P :妹尾リード、さらに上へ続くルンゼを辿るが、念のため
ロープを伸ばす。締まった雪で特に問題なし。
4P :松澤リード、ヤブの多い雪壁を詰めるとやがて広い雪稜になる。
5P :松澤リード、先が良く見えなかったので念のため引き続き
ロープを伸ばす。
3~5P目は、このルートを1日で抜けるような力量のパーティーなら
雪・天候等の状態によるがロープは不要だろう。
しばらくヤブの岩稜帯を進むと、右のルンゼにトラバースして
ひたすらルンゼを登る。距離が結構長いのでふくらはぎに堪える。
そこをようやく抜けると、左手には一ノ倉沢の稜線がオキの耳まで
壮大に続き、いよいよフィナーレが近づく。
少休止の後、これまた最後の雪の斜面を一歩一歩、なかなか
近づかない頂上へ向かう。13:30、快晴の下で頂上に到着。
一ノ倉岳~オキの耳の稜線にはスキー・スノボを背負った
パーティーがちらほら。疲れた足にムチ打って歩きトマの耳へ。
東尾根を登ってきたこれまたY登魂のパーティーと
挨拶を交わし、先を急ぐ。今回は天候にも恵まれ、一ノ倉尾根を
完登できたので、最後まで文句のつけようが無い(?)山行に
すべく『天神尾根経由のロープウェイなど言語道断!』という
SL一孝サンの意見を尊重し西黒尾根を下降。
上部の急斜面のおかげで、適度に緊張感を維持しながら
最後まで歩き続けられた。
******************総括************************
今まで、快晴の谷川を登ったことがほとんど無かったが
今回でだいぶ谷川に対するイメージが良くなったです(笑)。
一ノ倉尾根はヤセ尾根・ルンゼ・雪壁・人工登攀・フリー・
雪稜・岩稜、頂上から西黒尾根までの縦走と、雪山の多彩な
側面を凝縮した『冬の総合力』を問われる非常によいルートでした。
今回は2日かかってしまいましたが、荷物を軽量化して
1日で抜けてしまう計画も面白そうです。
余談ですが、オキの耳を過ぎた辺りでふと見覚えのある
岩陰を通りました。そう、2年前に東尾根を登った折、
未熟なポカを連発した挙句に悪夢の初ビバークで過ごした
岩場です。当時はなすすべも無くひたすら悪夢が終わることを
祈ることしかできませんでしたが、快晴の下で見ると
ホントに肩の小屋までも近く、ただただ恥ずかしく苦笑い
せざるを得ない心境です。
あれから2年。相変わらず危なっかしい限りですが、
それでも先輩方の力を借りてではあっても、
ちょっとした冬壁・雪稜・縦走をこなせるようになったのは
カメの歩みながら成長した証だと思いたいです。
慢心することなく、より確実に・より安全に・より強く・・・。
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