2009年11月28日(土)~29日(日) 一泊二日
メンバー:妹尾
先週の富士山に引き続き、今冬に向けての訓練山行第二弾。
今回は北ア縦走で予想される数箇所の岩稜・キレット越えと、
それに向けていくつか考えている冬壁に備えて
アイゼントレと単独登攀の訓練に「始まりのヤマ」、三ツ峠へ。
28日 高幡不動駅5:00~三つ峠駅7:40~三ツ峠・屏風岩基部11:40
~中央カンテ取付12:30~第三バンド17:30
普段は河口湖駅からバス(車)で裏登山口経由なのだが、
今回は訓練山行なので、三ツ峠駅から歩荷トレ。人工登攀用のギヤから
プラブーツ、バイル、アイゼン、ロープ2本etc・・・素敵な重さに足取りも重い。
天気は良好で、中高年のパーティーにドンドン抜かれる。
まあ、キツイということはいいトレーニングということ、良しとしよう。
後半は急斜面をくねくね曲がった道をひたすらゆっくり歩く。
ようやく見慣れた屏風岩基部に到着。22~3?㎏背負って4時間弱、
ちょっと休憩しすぎかな?という感じ。岩場にはやはりこの時期なので
アイゼントレの数パーティーがいた。右フェイスは賑わってたので、
中央フェイスに行くと、中央カンテ(3P,Ⅳ+)から丁度二人組みが
降りてきたので、よく知っているこのルートを登ることにする。
皆様お馴染みのルートですが、一応報告なので詳細に書きます。
1P(Ⅲ級):手袋、プラブーツ・アイゼンを装着していざ開始。
最初は階段状の易しいピッチだが、久しぶりの冬壁装備での
登攀なので、なかなかに緊張する。時々ハイカーが基部を
通り、客寄せパンダ状態がちょっとイヤ・・・。
2P(Ⅲ級):ここから中央カンテの正規ルートが始まる。左上ランペを辿るが、
やはり手袋・アイゼンはやりにくい。特にアイゼンはフラットソールに
比べてデリケートな足捌きを要するので、ソロということもあり
ナカナカに緊張感がある。所々、やむなくA0。
単独登攀なので、終了点までリードした後に懸垂下降して
確保支点まで戻るのだが、このピッチはまっすぐ下に
下降できないので、懸垂下降も苦労する。やはりソロは真っ直ぐ
直登のルートがいい。
3P(Ⅳ+級):ここから傾斜もきつくなる。夏装備ならクラックも多く楽しい
ピッチだが、特にプラブーツでフットジャムが絶望というのが
ツライ。こういうときは、ナチュプロでのエイドにならざる得ない。
4P(Ⅳ級):体感的にはこのピッチが一番難しかった。特にクラック以外に
ホールド、スタンスが無いのでアイゼンだと中間部は完全にA1。
カムは1セットのみなので、前進用に優先したいが残置支点も
悪そうなので、中間支点にもカムを使いたく、なかなか頭を使う。
懸垂下降で確保支点へ戻るまでギリギリヘッデン使用に
間に合った。
5P(Ⅱ級):ほんの15mほどでバンドだが、ソロだし用心してここも一応
ロープを出して登る。登り返して本日の訓練終了時は真っ暗。
5ピッチ(実質4ピッチ)に5時間、やはりソロは時間がかかるなと。
まあ、ソロの方式(Z式?)だと1ピッチ毎に、リード→懸垂下降→登り返しと、
2回登って1回下降となるので、5ピッチなら10ピッチ分登って5ピッチ分
懸垂下降という内容となり、不自然な所要時間ではない・・・ハズ。
今回は訓練山行、幕営もテントではなく最初から岩壁でビバークする
つもりだったので、第三バンドでツェルト(正確にはポールなしテントの
本体 笑)をかぶって、過ごす。ロープと空ザックをマット代わりにすれば
だいぶ快適。気温もそこまで低くなく、中国での雷雲中でのビバークに
比べれば体育座りなので快眠とはいえないが、快適なビバーク。
晴れていれば、麓の夜景がきれいなはずなのだが、生憎ガスっていて残念。
マルタイラーメンをすすっていると、今年も冬が来たな…と実感(笑)。
29日 第三バンド7:00~三ツ峠山頂9:00~逆V字ハング取付9:30
~逆V字ハング取付12:30~三ツ峠駅15:30~高幡不動17:00
快適なビバークで首や腰がバキバキになり目が覚める。
外はガスっていて今にも降り出しそうな感じで暫く様子見。しかし、
夜明けと共に晴れ間が見えてきて、下界は雲海が広がる。バンドを
トラバースしてⅡ~Ⅲ級程度のルートを経て、天狗の踊り場から山頂へ。
山頂は無人で、遠くに雲海からきれいに富士山が顔を出す。
屏風岩基部に戻り、本日は人工登攀のトレーニング。逆V字ハングの
1P目に取り付く。リードに限っては、フリーよりもエイドの方がツルベとソロで
時間的に大差ない感じでドンドン高度を稼ぐ。しかし、ツルベと違って
ロープの繰り出し動作が必要なので若干面倒くさい。
ここでアクシデント発生、ロープを繰り出すためについついアブミのループに
手を通さず作業を進め、あろうことかアブミを落としてしまう・・・・アホか~。
どうする?降りるか?ふと、我が師(?)大内サンに笑い飛ばされた気がした。
「その程度のアクシデントで降りるのかい(笑)?」
そうだ、落ち着け。小ハングは越してるし、シュリンゲで即席アブミを作れば
いいじゃないか、中国遠征で何を学んできたんだ。
立ち込みに正規のアブミを使い、次のボルトに即席アブミ→フィフィで
ジリジリ進む。最後の数mでフリーに切り替える箇所が核心で、いかにも
ヤバげなハーケンにA0し、最後のテラスにせりあがる時はバイルの
ドラツーで突破する。
懸垂でハング箇所のギヤ回収に手間取り、重いザックを背負った
登り返しでかなり時間を喰った。ここら辺のロープシステムは改善の余地が
マダマダある感じです。時間も頃合で、再びガスってきたので昼過ぎに撤退。
登りは4時間もかかったのに、下りは2時間半。だいぶ楽チンでした。
さあ、富士山の簡易雪訓、三ツ峠のアイゼントレで冬に向けた訓練は
終了。いよいよ冬が始まります。今年はどんなヤマが待っていますかね、
楽しみ至極。
アイゼン・手袋での登攀でも、やはり基本はフリーなのだなと実感しました。
ジムで言うところのガバとスローパーの保持力がかなり有効です。
エイドであっても、多鶴サン曰く「岩を触らない」ボルトラダーを辿るピッチなら
ともかく、ナチュプロを使うエイドとフリーのミックスなピッチでは、やはり
「ここにスタンスを置けばあのホールドが楽に取れる」とか、「この位置に
カムでアブミをセットすればスムーズに次のフリーに移行できる」など、
『フリーの発想力』みたいなものがあるとかなり助かる感じです。
今年1月の小同心クラックなんかは目の前のホールドしか見えてなく
かなり苦労しましたが、常に4手先ぐらいまでのホールド・スタンスから
ムーヴを組み立てることができれば、かなり早く・安全に登れると思います。
これは普段のフリーでのしっかりとしたオブザベでのみ鍛えられる
能力なんで、冬壁であっても、意識して登って行きたいなと感じた
今山行でした。
北アルプス縦走は何処から何処ですか?
投稿情報: 松 | 2009/12/05 05:27