9月5日
日置、盛山
6:20一ノ倉沢出合―8:302ルンゼ取り付き―14:30滝沢上部―18:40国境稜線―22:20一ノ倉沢出合
5日は日置、盛山で本谷下部を登り、2ルンゼからAルンゼを抜けて国境稜線に出る、6日は井出と金も加えて皆で楽しく南稜を登る予定であった。
4日の晩にコンパチ号で出発、霧雨が降っておりちょっと心配する。
5日朝、今日はかなりのクライマーが入っているようす。ほとんどが南稜に集中しているが、珍しく衝立岩にも5,6人取り付いている。もともとは本谷下部をメインにするつもりだったのだが、残雪多く2ルンゼのみとなったため、最初からまるで緊張感がない。さっさと片付けて風呂でも入りに行こうぜなんてふざけたことを言っている。南稜テラスに到着したのも当然最後、どうしてこうも不真面目か。
本谷バンドから本谷に下りる。2ルンゼには我々の先にも三人組が取り付いていた。少し待ちそうだったのでルンゼ右の壁から取り付くが、そこが見事にボロボロで、手を置けば動くし足を掛ければ崩れていく状態。プロテクションも取り難く、すっかりなめきっていた我々には手痛い始まりだった。最後はもりもり氏の巧みなルートファンティングでルンゼに戻り、先行パーティーの前にも出ることができた。これが会心のクライミングだったようで、もりもり氏はその後絶好調。日置はというと逆にルートを間違えて、手を置くとプチプチするきつい草壁を10メートル以上支点なしで登ったり、足元の切れ落ちた草付をプルプルしながらトラバースしたりなんかしている。これも相当奮闘したが、同じ奮闘でも自分のミスによるものだと疲労はもちろん戦意も落ちる。すっかり消耗してしまいその後も調子が上がらない。
ルンゼの中はびしょびしょに濡れており、滑った岩はフリクションが全く効かない。状況は相変らず劣悪で登り難い。ザッテルを越え、滝沢に降りて時計を見るともう2時半、予想以上に時間がかかっており、降りてきて良かったのかと顔を見合わせるが、ザッテルで相談していたとしても2ルンゼだけで下降はなかっただろう。AルンゼよりBルンゼのほうが易しく時間もかからないようなので、Bルンゼに入っていく。
Bルンゼは2ルンゼほどではないにしても、やはりところどころで滑っている。一部ロープ無でも登っていたが、落ちるとどこまで落ちるか知れないし、いい加減疲れていたので上部は安全のため全て確保しながら登った。
もう何ピッチ登ったか覚えていない。後続パーティーはたまに声が聞こえるだけになっていた。草付を登っていくと最後に藪の壁が現れた。辺りは暗くなり始めているが、この上に登山道があると信じてもりもり氏を送り込む。一日中覚醒状態で出てくる悪場を次々と越えてきた彼も、ここまで来るといい加減疲労しており苦労していた。後から続くが確かに悪い。おまけに日が沈んでしまい、ただでさえ藪で見難いスタンスが更に見えず、手探り足探り、確保支点は問題ないかと叫び、無理な動きで強引によじ登る。登山道はもりもり氏の確保点から10メートルもなかった。もうライト無では登山道も歩けないほど暗くなっている。あと10分遅れていたらあの壁は越えられなかったかもしれない。10時間に及ぶ劣悪なルンゼ登攀、楽勝だったはずなのにすっかり本気になってしまった。
時計を見ると6時40分、井出、金の二人ももう水上に到着しているはず。急いで電話をして現状を伝える。迎えに行くと言っていたのに、その時間にまだ国境稜線とか言っている。まったください先輩である。
いやしかし疲れた。これだけ疲労して明日はどうやって登ろうか。テールリッジを登りきれるかどうかも怪しいそ。しかし来いと言っておいて疲れて登れませんでは話にならない。山頂で雨乞いという凶悪犯罪も起こしそうになるが、滑りのない硬い岩を新鮮なメンバーで登るのを想像すると、よし明日もやるぞという気になってきた。
翌日起きてみると霧雨が降っている。出合で暫く待つが良くなるようには見えない。がっかりして中止を決める。昨夜の雨乞い疑惑があっただけに、ものすごい罪悪感を感じてしまった。
だが水上まで下りると雨は降っていない。もったいないので黒岩に転進。新人二人に人口登攀と残置がない場合の確保支点の作り方の練習をしてもらう。二人とも非常に熱心で、また教えたことがしっかりできているのを見ると、南稜の中止は本当に残念に思えてくる。何とか都合をつけて、今年中に一本は登ってほしいものである。
以前からいつもお世話になっているもりもり氏の車に名前をつけようという動きがあったのですが、今回帰りの車の中でついにその名前が決定いたしました。紺八王子号、略してコンパチ号。ついでに井出氏のスーパーチャリはホワイト茨城号、略して白筑波号となりました。茨城の暴走族に負けないような電飾を施すと張り切っていたので、クリスマスには秋葉原でデズニーランドのパレードをやってしまったような豪華なイルミネーションで我々を楽しませてくれることでしょう。ついでに金氏の巨大車にはすでにジャンボちゃんという可愛らしい名前がついているとのことでした。
本谷下部が登られなくて良かったです。
ザッテル越えうらやましいのですが、自分の行くときはもっと乾いている時を狙うことにします。
さて今週末11日~13日は北岳ピークハントに行ってきますぜ、、子供も調子が悪いし、ボチボチ登ってきます。期待の新人候補もいるし、、
投稿情報: 松 | 2009/09/08 22:59