2009年8月13日~16日 L.松澤 SL.日置 井出(記)
北岳バットレスに行ってきました。初めての本チャンです。
13日(木)アプローチ
7:45 新宿発(高速バス)-10:00 甲府着発-12:00 広河原着発-15:30頃 白根御池
中央道の大渋滞もなくすんなり甲府駅に着き、タイミングよく広河原行きのバスに乗り、広河原に到着。重いザックが不安だったけど、テントを持ってもらってなんとか脚を運ぶ。大樺沢から二俣経由で白根御池に到着。
17:00くらいには早々にテント脇で夕御飯。イッコウさんが夕御飯にチョイスしたのはなぜかゴーヤでした。山で食べるゴーヤはとても美味しかったです。
隣のテントには先日松さんと城山に行ったときに会った横須賀の会の方々が総勢7名ほど。横須賀の方々含め、明日四尾根を登るパーティは5~6組の模様です。
明日は噂の四尾根渋滞かと思いつつ、ギアを揃えたり四尾根を想像したりするのに不安とわくわく感を感じてました。
14日(金) 四尾根
3:00起床-4:00出発-6:00下部取り付き-8:00四尾根取り付き-12:00終了点-14:20テント場
テント場のみんなが起き出したので、起床。マルタイラーメンを食べて、暗い中歩き出す。バットレス沢に入るあたりで明るくなってきて、なんだかんだで1番乗りで下部岩壁に到着。
bガリー大滝の下でロープを出して準備をしていると、続々と5組ほど集まり出したので、イッコウさんリードで登り始める。
ビレイの足場は石がガラガラしていて、落石を落としてしまうのが恐い。突如、松さんが「わらじぃ」さんを発見。声の先を見ると、いつぞや天狗でお会いしたわらじぃさんが四尾根を登りに来ていました。びっくりです。
イッコウさんがビレイ点に到着し、セカンドで登り始める。なんだかとても恐い。これがバットレスの洗礼なのかとしみじみ感じる。
2P目からも「落ちたら」「バランス崩したら」と余計なことばかり考えてしまい、緊張しっぱなし。結局登っている間は恐さばかり感じていたため、ルートについて詳しいことは語れず、申し訳ありません。
2P目から先は歩いて行けるようだったが、念のためロープを出して進む。だが、まもなく落石を起しそうなこともありロープをしまう。
四尾根取付テラスの手前で後ろから2人組が追いつき、先に取り付く。2人組はイッコウさんの知り合いの海外遡行同人の方々で、中央稜を登るとのこと。
四尾根は1P目~5P目まで松さんがリード。登っている間は常に忙しいと聞いていた通り、ビレイやロープの繰り出し等等、余裕がない。その上、リードの松さんはスイスイ登っているが、セカンドのわたしはなかなかルートやホールドが読めずノロノロ進む。岩を見る目が全然ないんだなあと感じる。
5P目、高度感溢れるというリッジは前知識の通り左側がスパッと切れていて、霧がかかってはいたが高度感を感じる。
マッチ箱から懸垂で下降し、6P目からわたしがリード。登り始めると集中して恐さが気にならなくなる。ゆっくりゆっくり右端の岩角を辿り、その後フェースを登るとビレイ点に到着。デイジー確保、メインロープ確保、ビレイ解除、ロープ引き上げ、セカンドビレイ・・・。なかなかスムーズにいかない。
6P目を登り切った枯れ木テラスから右手に中央稜が見える。今回登り始めてすぐに曇りだしたので岩壁全体を見る機会がなかったが、中央稜の灰色の岩壁を見て高くて険しい岩壁を感じた。ずいぶん下の取り付きには先程の2人組が見える。落石の音がガラガラ聞こえる。
いよいよ最後の7P目は、出だしすぐは左側が落ちているようで恐かったが、アッという間にスラブに出る。45mロープいっぱいに進み、ハイマツから支点を取ってビレイ。ポジショニングが悪くてビレイがスムーズに行かなかったが、なんとか松さんイッコウさんも到着。
まだ足場は安定してないのでロープを出してさらに進む。5mほど登るとゆったり休めそうな場所が見つかった。思う存分ハイマツから支点を取ってビレイ。四尾根終了。そこから20分くらい登り、山頂でエネルギー補給してしみじみした後、下山。
この日の夕食は、山菜御飯と海藻サラダと野菜炒めとこれまた豪華でした。初めての四尾根に興奮覚めやらぬ中、明日の下部フランケのルート図から不安を感じつつ寝た。
15日(土)
3:00起床-4:00出発-6:00下部岩壁取り付き-7:40下部フランケ-14:30終了点-17:10テント場
今日は隣のテントの人達はまだ起きていなかったが、黙々とマルタイラーメンを食べて出発。D沢に入るあたりで昨日に引き続き海外遡行同人の方々と並ぶ。ギアを装着して、水の流れていない沢を登る。天気が良い。
dガリー大滝の下には雪渓が残っていて、何度か雪の塊が崩れる音が聞こえた。雪渓脇の小道を進み、Dガリー大滝取り付きに到着。足場が悪いし、昨日に引き続いて小さなアブ的存在がわらわら寄ってくる。100匹くらい潰した。
下部岩壁はわたしがリード。1P目の始め、スラブからの垂壁は2mほどだが、どうも恐くて試行錯誤しながらようやく抜ける。
2P目のビレイ点から先は緩傾斜になり、ロープを外しルンゼの下まで歩く。イッコウさんが先行し、そのまま10数mほどのルンゼを登っていった。わたしは恐かったので松さんにロープを出してもらい進む。苔が生えていたり、湿っていたりで登りにくかったが、登り途中支点はほとんどなかった。これから登る下部フランケの手強さを見せつけられるようだった。
緩傾斜帯に出て右に進むと、下部フランケの1P目が見える。ビレイ点は貧弱なハーケンが1箇所あるだけ。1P目の壁はホールドがあまりなさそうで、どう取り付くのか検討がつかない。
下部フランケはイッコウさんリード。1P目はA1でハーケンが打たれた壁を右上に登る。カラビナに2本のシュリンゲをかけて足をひっかけ、ゴボウで登る。難しい。ビレイ点には座るのにちょうどよい大きな岩があるのだが、グラグラしているので落石してしまうのが恐い。
ルート図では下部フランケは5Pになっていたが、1P多く取って登ったようだ。クラックではハンドジャムを使ってみたりもしたが、力づくで登る場面が続いた。
恐さと自分の力量の無さを感じるばかり。昨日とは一味違う感じで、なんとか上部フランケまでやってきた。すごく喉が渇くし、疲れる。時計を見ると時間が経つのが早い。
上部フランケは松さんがリード。1P目草の中をトラバースし、2P目被った凹角。ハーケンを回収できなかったのが残念だ。3-4Pはコーナークラック。やはり支点がそんなにあるわけでもないのでカムが心強い。
5P目からは昨日の四尾根の続き。わたしがリードで登る。5P目、昨日は右端の岩角を辿ったはずだが、左上のハーケンに向かおうと迷い、ズズズリっと落ちてしまった。やっちゃいけないことをやってしまい、その後脚がプルプルしてしまう。
慎重に右の岩角を辿ってビレイ点に到着。集中力がなく、このビレイ点の一段上のビレイ点まで気がつかなかった。昨日登ったのに。
より一層慎重に集中して7-8P目を登り切る。最後はビレイのロープ引き上げが一苦労なくらい疲れていた。
下山では草すべりのあたりからパラパラ雨が降ってきたが、どしゃ降りになることなくテント場に到着。疲れていたけど、夕食のカレーはもりもり食べられた。マカロニコーンポタージュも美味しかった。
今回、初めての本チャンは恐さばかり感じて登っていたけど、緊張感や高度感、岩の感触やハイマツの匂いなんかがすごく印象に残った。恐いけどまた登りたくなるんだろうなあと何度も感じた。 おかげさまで充実した北岳でした。ありがとうございました。
16日(日)
3:00起床-4:00出発-6:00広河原-8:00バス-12:40町田
夜は雨がけっこう降ったようだが、朝3時に起きたときはやんでいた。行動食を食べて、テントをたたんで出発。アッという間に広河原に到着。
バスの時間まで暖かい場所を求めてウロウロ。その後バス停で海外遡行同人の方々に遭遇し、芦安から町田まで車に乗せて行っていただくことに。芦安で温泉に入った後、面白いお話を聞きながら町田着。
都会は暑いなあと思いつつ帰宅した。
お疲れさま。
いい山行だったねえ、ウラヤマシい。
もう少しで一人前かねえ、
自分のペースでがんばれい。
投稿情報: ランディ・びん | 2009/08/25 17:11
本来、リーダーの私が報告を書かなくてはならないのですが、、、
億劫だったのが一割、チョビの本音を読みたかったのが9割?っと言うことで、報告を書いてもらいました。ありがとうございます。
今回の反省点は、
チョビをリードで落としてしまったこと。前日に登ったから大丈夫などと思わずに、その時その時の緊張の具合なども見ていれば、落ちることは防げたのかなあ、、などと報告を見ながら思い返しています。
また、
今回は久々に一回の山行で二本のルートを登った。最近は1山行1ルートが定番化していたため、「ガンバレばオレも行けるじゃないか」っと思う事が出来た。イッコウさんに感謝
チョビは、「登り始めると集中して恐さが気にならなくなる。」っというアノ快感が味わえたようで、良かった。成功だ!
投稿情報: 松 | 2009/08/25 22:29
心の震えが伝わってくるような、素直でいい報告だ。きっと一生忘れない山行になると思うよ。松、イッコウもいい後輩のいい初本チャンに同行できて果報者だ。
投稿情報: 詐話師 | 2009/08/27 14:31