2009年5月1日(金)~4日(月)
メンバー:CL妹尾(記)、SL森
今年のGW山行は、さらなるフリー能力アップのため
カサメリ沢周辺に腰を据えてどっぷりフリーに勤しむことにした。
妹尾の具体的な目標は、
1:カサメリ沢「レーザーズエッジ(5.10c/d)」のRP
2:十一面岩末端壁の「調和の幻想(5P、5.10a)」の完登。
パートナーには、アルパイン上達のためフリーも頑張りたいゴルゴさん。
1日 JR韮崎駅8:40~10:30カサメリ沢・前絵星岩取り付き
~17:00みずがき自然公園
韮崎駅にてゴルゴさんと合流。天気は快晴、5月らしい陽気の中で一路瑞牆山へ。
ちなみに韮崎駅前にはデカいショッッピングセンターができております。買出しもできる?
みずがき自然公園をそのまま通過し、小川山林道を通ってカサメリ沢へ。
本日は平日ということもあるのか林道終点の駐車場も僕らのみ。
本日は前絵星岩で、玉サンにオススメされた「新緑荒野(5P、5.10a)」に
トライ・・・のはずが・・・。前回登った「ジキル博士(5.9)」・「ハイド氏(5.9)」の取り付きへの
3級程度のアプローチルートを妹尾が勘違いし、一つ上の3級っぽいルートに
取り付いてしまう(ゴルゴさんリード)。なんかちがうな?とりあえず上へあがってみよう
という感じで岩・コケ・枝のミックスクライミング(笑)で、なんとかどこかのルートの
取り付きに行き着く(妹尾リード)。そこからOW~ハンドくらいのルート(5.8程度?)を
ゴルゴさんリードで登るとなんと前絵星岩の頂上!トホホ・・・ゴルゴさんスミマセン。
取り付きに歩いて戻り、ようやく本来のアプローチルート発見。
時間的に「新緑荒野」は難しいので、せめて「ジキル博士」・「ハイド氏」だけでもトライ。
まずは「ジキル博士」、前回妹尾はTrのトライのみだったので、初リード。
トポにはOWとあるが、すぐにフィストサイズになる。クラックが水平になるぐらいから
核心。苦労するが、RP達成。続いてゴルゴさん、クラックに慣れていなくかなり苦闘するも
リードで敗退、ドンマイ。続けて「ハイド氏」こちらは妹尾は前回リードしたがテンション祭りで
とてもリードとは・・・という感じ。フィンガーに苦戦しつつ、やはりクラックが水平になりかける
場所が核心。気合でなんとかRP達成。ゴルゴさんはTrで頑張りました。
本日は初日ということで、絵星岩の偵察などして終了。
みずがき自然公園は僕ら以外テントが1~2張、静かでした。
2日 6:30みずがき自然公園~7:00カサメリ沢・モツランド~17:00みずがき自然公園
本日は妹尾の個人目標その1「レーザーズエッジ(5.10c/d)」のRPのため、まずモツランドへ。アップに「たぬき(5.10a)」にトライ・・が最後のハング越えでミスって大フォール(笑)、
このままではすっきりしないので再トライで無事RP。ゴルゴさんもリードで終了点まで登る。
続いて「ミルクミルク(5.10a)」にトライ、まずゴルゴさんがトライするも、出だしの直登が難しく
妹尾に交代。少し左からクラック沿いに行けば問題なくいけた。しかし終了点でのクリップが
悪く1テン。ゴルゴさんもリードで終了点まで。妹尾は再度トライするも、あせって、中間の
なんでもないところでフォール。RPは次回お預けでした。ゴルゴさんは「ジャガバター(5.10b)」にトライするも、出だしで敗退。
さあ、いよいよ妹尾は「レーザーズエッジ」トライへ。小休憩の後、トライする。
核心はやはり3ピン目のクリップ付近。前回妹尾はTrでノーテンだったが、やはりリードは
違った・・・。ムーブはこなせるものの、クリップ動作で手繰り落ちにビビッてヌンチャクを
つかんでしまう。その後は問題なく終了点まで登れただけに残念。
ゴルゴさんのTrトライの間に隣で別パーティーが登ってる。うまいなあ・・・
2回目のトライでは、今度は核心ムーブでフォール。これで気持ちが切れたのか、
この核心ムーブで何度も失敗する。その上はやはり問題なく登るが、今日は恐らくダメと
判断・・・まだまだ修行が足りません。ゴルゴさんはTrトライでノーテンで登る。
昼食後、コセロックへ移動。今日から本格的なGWということもあり、数パーティーで賑わう。
妹尾はまず、「トータルリコール(5.10b)」へトライ。核心のトラバースと最後のクリップで2テン。2度目のトライで無事RP。ゴルゴさんは「ネコの手(5.10a)」にトライするも、3ピン目から
どうやら「ネコの足(5.10c)」に向かってしまい、大苦戦。後で妹尾がトライするも同じように
ハマル(笑)。3ピン目からはさっさと左にトラバースすればまあ正解なんでしょうかね?
ゴルゴさんは沢の対岸の納涼岩「トラバント(5.9)」をOS後、「トータルリコール」にトライし、
苦戦するも無事終了点まで。お見事。
その後、無名ルート(日本百岩場、コセロックの項、④・⑤のルート、両方5.10b)に取り付くも
本日既に9本リードトライし、気持ちが切れていたこともあり(実力もないし)
どちらも1ピン目で止めてクライムダウン。たとえ1ピン目だけであっても、登れない外岩ルートにリードで取り付くのは絶対良くない。登る前に判断すべきだったと猛反省。大人しく撤収。
なんとなく煮え切らない1日でした。
3日 6:40みずがき自然公園~8:00十一面岩末端壁取り付き
~17:30みずがき自然公園
本日は妹尾の個人目標その2「調和の幻想(5P、5.10a)」の完登のため、末端壁へ。
妹尾も末端壁は初めてだったので、予想通りアプローチで少し迷う。
ロクスノ36号のアプローチ図通り素直に行けば、明瞭な踏み跡があり問題ありません。
妹尾がドンくさいだけでした、またしてもゴルゴさんスミマセン(苦笑)。
末端壁はズーンと聳え、関東にこんなスケールのクラックが・・・としばし感動。
人気の壁と聞いていたが、僕らが一番乗りらしく順番待ちは無いようで一安心。
(逆に後続パーティーがいたら・・・と不安が生まれる)
小休憩の後、いよいよ登攀開始。
1P(5.9):妹尾リード。最初のSqチムニーは出だしにキャメ#4を取るも、そこから3~4mぐらいはサイズが広く、レイバックでランナウト。落ちれば確実に下のテラスに激突は必須。
フィストが決まった瞬間一安心も、稚拙な技術と無駄な緊張でパンプし1テン、OSならず。
2P(5.8):妹尾リード。当初はゴルゴさんがここをリードするはずだったが、妹尾が勘違いし
リードしてしまう(クドイようですがゴルゴさんスミマセン)。ハンド~フィストサイズが続き、
最後のスラブとその横の泥の詰まったフィンガーが超やらしい、悔しいが1テン。
5.8にしてはかなり渋い。
3P(5.9):ゴルゴさんリード。出だしで、二人とも右の泥フレーク沿いに行くものと勘違い、
下の取り付きにいた方に指摘され間違いに気づく。ロープの流れが悪いので、途中でピッチを切るが、後半部分(ゴルゴさんリード)でもまたしてもルートミス。僕らの経験の無さが
浮き彫りになり、大幅に時間を喰った。終了点手前の垂直部分が難しい。ゴルゴさんが
苦闘の末登りきる。
4P(5.10a):妹尾リード。実はこのピッチを登りきるまでここが3P目かなと思い込んでいた・・・。出だしの木登りの後、チムニーに行かずボルトのあるスラブへ。しかし、このスラブを左へトラバースしてチムニーへ戻る部分が最大の核心。足元のクラックへかました微妙なキャメ#2を信じて、精神的にキツいムーブをこなし、なんとかチムニーへ復帰。冷や汗モンでした。そこからは、フィスト~ハンドが快適にきまり、適度にレストできるクラックを辿って終了点へ。嬉しいOS。
5P(5.8):妹尾リード。最初はゴルゴさんがリードするも、これまたロクスノ36号で
南裏保恵サン曰く「前半で落ちたら死にます」というプロテクションの悪さ。Sqチムニーぐらいの幅で、キャメ#6でも10m程上でないときめられない、しかもレイバック。クラックの出だしに
フィンガーサイズのカム2本固め取りも、やはりおとなしくリードを妹尾に交代してもらう。
出だしのSqチムニーをOW登りでズリ上がり、そこからレイバックに移るムーブが緊張する。
既に固め取りのカム2本は5m以上下・・・。しかし、一度レイバックになってしまえば
ムーブ自体は、やはり5.8で快適(?)。今回この区間のためにキャメ#5を持ってきたが、
やはりサイズが広すぎて無用の長物だった・・・重たかったのに。
唯一のボルトの後はレイバックを中心に快適に登れるし、NPもバッチリきまる。
途中、5.8にしてはしぶいOWが3mほどあるが、クラックの基本的な技術があれば問題なし。
これまた嬉しいOS達成。
下降はバックロープ(50m)を持ってきたので、実際は3回で取り付きまで降りれそうだが
途中、立ち木にロープが引っかかりそうだったので2回目の懸垂下降を50m1本で2回に分けて下降、合計4回の懸垂下降で降りた。取り付きでは、菊池敏之サンのグループが
「春うらら(2P、5.11b・5.12a)」や「アストロドーム(5.11a)」あたりを登っておりました。
当会の事もご記憶のようで、当会不朽の(普及の?)名作「岳人になるための本」も話題に。
思いのほか(つか予想通り?)時間がかかり、もし時間があればトライしようと思った
「ワイルドカントリー(2P、5.10b・5.9)」も次回にお預け。それまでさらなる修行は必須です。
かならず巧くなってここに帰ってきたいモンです。
夕食はゴルゴさんお手製カレー。豪華な具が山盛りでたらふく頂きました。
4日 6:30みずがき山自然公園~7:00志賀ランド取り付き~10:10JR信濃川上駅
最終日、空はドンヨリ。噂だと午後から雨の可能性もあるらしいとのコト。
当初は今日もう一度「レーザーズエッジ」にトライと考えていたが、3日間の登攀で指・腕は
だいぶヨレており、残念ながら・・という感じ。
今日はどのみち午前中までなので、とりあえずカサメリ沢へ。絵星岩下部左岩壁を
見てみるが、イマイチなので志賀ランドへ。前半がスラブで後半がクラックという面白そうな
ルートがあったので、トライしてみる。
「スモモもモモも(5.10a)」まずはゴルゴさんリード。
スラブが難しいらしく、若干ルートからハズレ気味の泥クラックをこなすが、スラブからクラックへ移るトラバースで苦闘。明日から谷川・一の倉ということもあり、無理せず敗退。
妹尾リード、たしかにスラブは5.10aながら渋い。トラバースも微妙だが、よく見れば
スタンス・ホールドも何とか見つかる。クラックはハンド~フィスト。(プロテクションはボルト)
テーピングをしていなかったので結構痛い。昨日までの疲れがありながらもギリギリOSで
ちょっと嬉しい。終了点が同じなので、ついでにTrで「ピック、ピクピクピク(5.10d)」妹尾トライ。しかし、下部のスラブ核心で手も足も出ず敗退。妹尾は指皮をいい感じでもっていかれ、
ゴルゴさんも明日があるので今山行はここまで。ゴルゴさん、お疲れ様でした。
【総括】
今回を総括してみると・・・、(妹尾の個人的なコトで恐縮ですが)
目標その1:「レーザーズエッジ」RP・・・失敗
目標その2:「調和の幻想」完登・・・・・・? てな感じス。
目標その1に関しては、RPできなかったこと自体も残念でしたが
その内容がそれ以上に悔いが残りました。核心のムーブがこなせないコト自体は
まぁ仕方無いし、これからの努力でどうとでもなります。しかし、落ちる恐怖に負けて
ヌンチャクを掴んだこと自体は非常に悔いの残る結果です。どうしてあの時、
潔くフォールを選択しなかったのか・・・。勿論、本チャンであればフォールは絶対避けるべき
選択です。しかし、整備された岩場で、ある程度(絶対ではないが、)信頼できる
プロテクションのもとでなら、自分の限界を伸ばすためにも、もっと気持ちの入った
クライミングができたと感じます。その後も何回か手繰り落ちの恐怖に負けて
ヌンチャクを掴んでクリップすることが数回あり、クセになる可能性もあるので
今後注意していきたいなと感じました。
これから妹尾が同じようなことしたら厳しくお叱りクダサイ。
目標その2に関しては「完登」という曖昧な表現でしたので、正直微妙です。
「自分がリードする全ピッチOS」という定義なら間違いなく失敗、「とりあえず無事に5Pを登りきる」という定義ならまぁ達成です。登った直後は後者でしたが、報告を書く今は
あえて厳しい前者の定義を考えたいです。テンションをかけた場面はいずれもお手上げな
難度ではなく、「もっとうまく行けたのでは」という感がぬぐえません。
特に1P目は傾斜・プロテクション・見た目等、どれも素晴らしく是非OSしたかったです。
OSは単に気合とか精神主義で片付けられるものではなく、いままで自分が重ねてきた
トレーニングや経験、それに『基づいた』自信等が、すべて揃って初めて可能だということを
改めて痛感しました。OSに偶然は無い、そう信じたいです。
そういう意味では、4P目・5P目のOSは今山行で得られた数少ない成果です。
特に5P目は前半部分のプロテクションが悪く、5.8というグレード以上の意味があったと感じます。
小川山・仏岩「ノーリターン(1P目、5.9)」や、城ヶ崎・ファミリークラック「デルトイド(5.11a)」
みたいに、一見して理解不能?なプロテクションのルートはその体感グレード以上に、
そのルートを『確実に』完登できる能力を持つ人間しか寄せ付けない神聖さがあると
なんとなくですが、5P目を登って感じました。勿論、ボルトをもっと打てばこれらのルートは
もっと多くのクライマーが『登れる』のでしょうが、それは果たして・・・?
数多くのルートが拓かれている現在、少数で構わないのですが、そういった攀じる人間を
『選ぶ』ルートが実はとても重要な意味合いを持っていて、それを完登できることは
グレード以上の悦びがあるのだなと感じました。(初登者の意図までは解りませんが。)
そういった側面としては、今回の5P目は内容こそフリークライミングの範疇かもですが、
非常にアルパインの精神的側面・価値『悪場でどこまで登れるか?』に共通する何かが
あると感じました。
これからも勿論しばらくはフリーの技術上達に専念したいですが、それはあくまで『アルパインのため』のトレーニングとしての位置づけです。だからこそ、これからはこういったクライマーを『選ぶ』ルートをフリーの目標の一つに据えたいと思ってます。いい情報があったら是非妹尾までヨロシクデス。
(思いついたことをツラツラ書きました。乱文御容赦クダサイ)
私からも個人的感想を
私はこれまでまともにフリー(スポーツクライミング?)に取り組んだことはありません.山登りは好きなのですが、ジムや岩壁を登るスポーツ的なクライミングにほとんど魅力を感じなかったのが理由です.しかし最近はフリークライミング能力の向上がアルパインや沢登りにおける幅を広げることにつながると考えており、もっとまともに取り組むべきではないかと感じています.
そこでこのGWはフリーをやることにし、3月頃より近くのジムにも通い始めましたが、結局さほどの回数行けなかったことと、指に急激な負荷をかけることによって故障することを避けるために無理をしなかったために(この判断自体は間違ってないと思っていますが)、その結果今回の瑞牆までにはフリーの向上が図れず、ダメダメな状態で終わりました.パンプして登攀不能になることを恐れ、挑戦することをせずテンションをかけたり、ヌンチャクをつかむこともしばしばでした(おかげ様で(?)筋肉痛もなく、谷川への影響もゼロでしたが).
それでも、ビンや他の上手い人たちの登りと姿勢をみているだけでも勉強になりました.特にビンはクライミングが上手くなったことに加え、考え方もしっかりしてきて、(こういう言い方をすると上から目線で申し訳ないのですが)感心してしまいました.
それにしても花崗岩は痛いですね.瑞牆・小川山に来るのは初めてなのですが、クラックもカチもこの痛さには参りました.二日目のフェースでは二本登っただけで、手の指全てが内出血し、少々焦りました(テーピングで痛みは解決).
現在の課題としては、身体さばき、足さばき、テンションをかけず壁に長い時間とりつくだけの持久力、指の力、ハングに対する恐怖心の克服です(かなり低レベルな、笑)
まあまずはジムでその辺りを克服するために練習することですね.外岩で登れるだけの技術、力、気持ちが整ったらまた行きたいと思います.その時はよろしく.
投稿情報: ゴルゴ | 2009/05/07 22:22