3月7(金)〜9(日) CL:妹尾
7日(金) 多摩動物公園〜甲府駅〜(バス)〜芦安〜夜叉神峠〜鷲住山〜歩き沢橋〜池山御池小屋手前(幕営)
谷川でのビバークから一週間。両手の凍傷は回復しきっていないが、雪の季節は
あまり残されていない。以前から気になっていた池山吊尾根へと向かう。
始発の電車で甲府へ。駅からバスだがこの時期は芦安までしか走っていない。
さりとてタクシーを使う財力は無く、仕方なく夜叉神峠まで歩く。ゲート管理の方に
旧道の登山道のほうが早いよ、と教えられ峠に11:00着。天気は快晴だが出発前には
夜に一時的に崩れるらしい。先を急ぐ。
夜叉神トンネルに着くと、入り口のシャッターが閉まっている。焦った、通れないのか・・・。
脇のドアがあくのに気がつきホッとする。長いトンネルを経て林道を歩くとやがて北岳・間ノ岳が
聳え立つ。
しかしわかっていはいたが、アプローチは長い。鷲住山の急坂を下るがトレースは無い。
今回ももしかするとオールラッセルかなと。ようやく池山吊尾根取り付きに15:00着。
恐らくヘッデンでの残業は決まりだろう。途中から完全にトレースが消え、所々腐った雪が薄く乗る
急斜面を赤布を目印に登る。途中日没となり、赤布を見つけるに苦労するが、急斜面を登りきったあたりで
とうとう見失う。地形的には尾根筋を進めば池山御池小屋にはたどり着くので時間もないし、
地形図とコンパスで頻繁に考えながら進む。これに時節膝上〜腰まで埋まるラッセルはキツイ。
しかし進んでもなかなか小屋にたどり着かない。尾根上に居るのは間違いなさそうだが、
尾根のどの辺りに居るのかやや自信がない。途中で赤布を発見、合流しとにかく進むが、
やはり小屋は見つからず。21:00を過ぎたあたりで、小屋を諦め、幕営。
8日(土) 御池小屋手前〜城峰〜ボーコン沢ノ頭〜八本歯ノコル〜北岳山頂〜ボーコン沢ノ頭〜城峰〜池山御池小屋手前(幕営)
5時出発。ツェルトを持ってきているのでテント・シュラフ等はデポ。今日は長丁場になるだろう。
30分ほど進むと御池小屋に到着、現在地が確定したのでホッとするのと、まだ小屋なのかとちょっとした
ガッカリ感が同時に湧く。ここから本格的なラッセルに入る。しかし時節赤布が見つからず、
薮漕ぎならぬ杉漕ぎ(杉の低木の枝の間を這うように進みます)しながらのペースが上がらない登高。
ようやく城峰に着いたのが11:00。ボーコン沢ノ頭の手前の開けた場所で大休止。
時間的にもわかるように通常なら登頂できるわけもなく、引き返すのが普通だろう。
しかし、「結果がほしい」。先週の谷川の件で正直、落ち込んでいる。凍傷等は自業自得なので
別にかまわない、しかし多くの人に心配なり迷惑を掛けた。それが自分の甘さが原因となれば
なおさらだ。もっとタフなルート、困難な山へ行きたいと願う理想と、果たしてそんな資格が
実力的・倫理的にあるのかという現実。一週間経っても答えは見つかっていない。
せめて自分を元気付けたい。次へ進むのに必要なとなる経験のためにも「結果がほしい」。
結果に「捕らわれる」のは危険だろう。しかし結果を「求める」ことは決して悪くないと思う。
現在の自分の状況をよく考える。昨夜テントで聞いた気象情報はそんなに悪くない。ビバークの準備も
食料・燃料も問題なし。いざとなれば北岳山荘に逃げ込める。森林限界に入れば自分の
ド派手なトレースがこの気象状況で消えることは無いだろう。出した結論は「突っ込む」。
ボーコン沢ノ頭からは雪も締っており、驚くほどペースが上がる。
八本歯のコルの通過は唯一、事前情報でザイルが必要と聞いていた。しかし、
豪雪の為か、少し崩して固めるとしっかり足場は作れ、慎重に通過できた。
このとき16:30。もう頂上は目の前、氷結した急斜面を確実にアイゼンを効かせ登る。
17:30、頂上。特に感慨は無い、多分この後の下りに意識が向かっているからだろう。
ラッセルが必要ない下りではあるが、5〜6時間はかかるだろう、ある意味登りよりもキツイくだりとなるはず。
森林限界まで一気に下る。八本歯のコルで日没。風が少し出てきたが、先週の谷川に比べれば
そよ風だ。ソロだからなのか、集中力も体力も余裕がある(と感じられる)。
森林限界まで下ると20:30、ようやく休憩。たっぷりのお湯と少しの行動食を食べると
とたんに眠気が出てきた。不覚にも40分ほど寝てしまった。
寒くて目覚め、あとはゆっくりとした足取りで一路テントまで。テントには25:00着。
出発してから20時間経っていた。テントに入ると何もする気が起きないが、
凍傷予防の為、お湯は何とか沸かしてゆっくり飲む。うまい、お湯なのに・・・。25:30就寝。
9日(日) 池山御池小屋手前〜鷲住山〜夜叉神峠〜芦安〜(バス)〜甲府駅〜多摩動物公園
朝、筋肉痛で目覚める。6:00に出発したかったが結局8:00前に出発となった。
自分のトレースを辿り、疲労困憊で下る。鷲住山の登りは3日間で一番きつかった。
長い夜叉神トンネルを越えて芦安に15:00着。バスが16:00発なので缶ジュースと予備食のパスタで祝杯。
アパートに帰って、疲労の為ウトウトしていると電話が。「隣の大内ですけど(笑)」
どうやら中国でご一緒させて頂いたJECCの小川さんが来ているらしい。酒につられてモゾモゾ大内宅へ。
小川さんたちはなんと、昨日今日と夜叉神の向こうにある荒川出合のアイスにいっていたそうだ。
自分のトレースもばっちり見られていた。この世界は狭い、ホンとに。
そんなこんなで夜はふけていきました。
やっと日本語がうてるようになりました。
なんだか危なっかしい山登りばっかりだな。
大丈夫かい。
投稿情報: 紅軍戦士。 | 2008/03/15 16:55
ご心配掛けて申し訳ございません。
ただ、来年明けに狙っている山を考えると、リスクを最小限に抑える努力はしつつ毎回勝負の山行を、と考えております。
帰国されたらまた是非ご一緒させていただければです。
投稿情報: ランディ・びん | 2008/03/17 13:54
北岳
お疲れ様でした。
柴笛クラブの篠原と申します。
翌週に15~18日で、単独で入りトレースを使わせて、いただきました。
大変助かりました。
池山小屋手前で、大分トレースが乱れていたのが良く分かりました。
日没だったのですね、その条件では厳しいですね。
城峰まで、しっかりトレースを使用させていただきました、ありがとうございます。
たぶん、それ以降は新雪で埋まってしまったのでしょう。
城峰以降は結構大変でした。
私の場合、食糧日程的に十分でしたが、最近山に復活したばかりですので、八本歯の所でザイルを出して、やめて戻りました。
つい先週の4月の11日~13日で再度、2人で登ってきました。
奈良田から入り、2日目は同じく池山小屋からの往復でしたが、きついですね。
今回は、ほぼトレースなしでした。
不覚にも、本日筋肉痛です。
投稿情報: しの | 2008/04/14 11:56