10月14日~16日
日置、松澤
10月14日
竹宇駒ケ岳神社11:00―八合目17:30
黒戸尾根をひたすら登る。長いのでばてないようにペースはゆっくり。結構人が入っているようで、途中すれ違う人も多かった。
日没ぎりぎりで八合目に到着。岩小屋はからっぽで誰もいないが、せっかくテントを持ってきたので近くに幕営。この辺りテントを張る場所はいくらでもあるが、登山道のすぐ隣のため、あまり堂々と張るのはよくないと思う。
10月15日
八合目6:30―取付き8:30―Aフランケの頭20:00―八合目21:00
天気良し。食事を済ませ、一度テントをたたんでいらない荷物は岩小屋に放り込む。
岩小屋から続く踏み跡を下へ下へと下っていく。踏み跡は明瞭、歩きにくい箇所もフィックスロープが張ってある。
登るのは白い岩の谷の岩壁、取付きの下もスラブが谷底まで落ち込んでいるように見える。我々のほかには誰もいない貸しきり状態。
取り付からハーケンが上に向っている。その一本目のハーケンがなかなかとどかない。二人で代わる代わる頑張ったがどうしてもとどかない。最後は肩車作戦で何とかアブミを引っ掛けたが、二本目も遠く、そこからどう頑張っても無理であった。良く見ると一本目と二本目のちょうど間にハーケンが抜けた跡がある。同じところにハーケンを打ってここを突破。これだけで一時間くらいかかったか。出だしからこんなで本当に登れるのかと心配になったが、この後は支点の間隔も狭く、順調に登れた。1ピッチ目は日置がリードし、その後はツルベで代わる代わる登っていった。
2ピッチ目、全てフリーのピッチで、クラックに沿って快適に登ることができた。
3ピッチ目、4ピッチ目は人口とフリーのミックス。登りきると大テラスで一服できる。
5ピッチもフリーと人口登攀のミックス、恐竜カンテの垂壁の下まで登る。
6ピッチ目は垂壁をアブミでひたすら上を目指す。はるか下に紅葉が広がり、向こうの尾根から獣の唸り声が聞こえてきたりする。日が傾いてきて、これまで暑かったのがだんだん寒くなってきた。気温は下がっても昼間散々陽に当たった岩はまだ暖かい。ビレーをしながらたまに岩で指を暖めた。ルートは途中ハーケンが抜けており、リードをした松澤に使ったカムを全て回収して上に持っていかれてしまったため、仕方なくその間はユマーリングで登った。登っている時は一つか二つ残しておいてくれれば良いのにと思ったが、抜けている部分はかなりあったし、その先もまだだいぶ続いていたのでやはりしかたなかったか。
7ピッチ目で恐竜カンテを回り込み、そのまま上に登りきる。最後ちょっとだけフリーになる。ここまできて日が暮れてしまった。月も出ていないようでライトをだす。
8ピッチ目、登ってすぐテラスがあった。夏ならばここでビバークしてしまいたいが、寒いので上を目指す。もうⅡ級、Ⅲ級程度の簡単な岩しか出てこないだろうと考えていたが、まだボルトラダーが上に続いていた。
更に2ピッチ、ライトを照らして登っていく。暗いけれど、人がそこを登っていることはわかった。気が付いたら二本の足で歩けるようになっており、Aフランケ頭の岩小屋に到着した。
疲れた。喉はからから、最後はロープを引き上げるだけで腕がつりそうだった。朝下ってきた踏み後を八合目まで頑張る。時計を見てびっくり、八合目についた時は九時をとっくに過ぎていた。夕食は青椒肉丝のはずだったが、作るのも食べるのももう面倒。青椒肉丝は翌日の朝食とし、余っていた行動食を適当に食べて就寝。
10月15日
八合目7:00―竹宇駒ケ岳神社12:30
長い黒戸尾根を下山する。つま先が痛い。山に入ったときから靴がつま先に当たる気はしていたけれど、足が痛くなったとしても下山の最後の一時間くらいだろうと思っていた。どうも前日の人工登攀で足のつま先にはだいぶ負担がかかっていたよう。歩き始めから痛い。余計に時間がかかってしまった。
無雪期の岩ルートはたっぷり四年ぶり、また初めての人工登攀主体のルートとあって、登れるのか不安はあったけれど、何とか最後まで登ることができた。背中にはどこまでも続く広大な空間、ぴりぴりした緊張間、怖いけれどやっぱり爽快。楽しかった。
人口登攀をやっていると、のっぽでよかったとつくづく思う。それなのにこれだけ時間がかかってしまうのはやっぱり問題でしょう。まだまだ修行が必要だと思う。