9月22日
日置、松澤、斉藤
登山口7:00―棒沢入渓点7:30―上ユウビツ倉沢出合12:00―登山道15:30―山頂16:30―赤湯20:15―登山口23:00
随分前から苗場の山頂湿原が見たいと思っていた。しかしただ登山道を歩いて登っても面白くない。何かいいルートはないだろうかと地図を眺めていて、入渓点が登山口に近く、山頂を源とする棒沢が目にとまった。苗場山に沢から登りたいと考えた場合、位置的には最高だし、地図を見てもゴルジュが面白そうである。それなのに何故かガイド本からもれている。ネットで検索してみるといくつか記録が出てきたが、どうも釣で入る人のほうが多いようだ。その記録もざっと見るだけにして、何が出るかのドキドキ沢登りを味わうことにした。
未明に出動、三人交代しながら運転し、途中仮眠も取りながら登山口に到着。空はどんより憂鬱だが、天気予報は晴れると言っていたのでそれを信じることにし、各自準備を整えて出発。
沢に下りるといきなり薄暗いゴルジュが続く。泳ぐ必要はないが、腰の上まで浸かってヘツリングで突破していく。途中何度か滝が現れるが全て直登可能、ただホールド、スタンスともぬるぬるですべりやすい。
下部のゴルジュ帯を突破すると、突然谷は開けて素晴らしいさらさらのナメになる。リュックを投げ出して休憩。早速写真を撮ろうとするが、ビニルで完全防水したはずのカメラがなぜかずぶ濡れで使えない。よく見ると、悲しいことにその袋に大きな穴が開いていた。
ナメが終わると暫く森の中の川原歩きが続く。釣師が残したものか、所々使用用途不明のビニールロープがくくりつけてあった。何に使ったか知らないが、緊急に使ったのでなければきちんと回収して欲しい。目障りである。
横追沢の出合を過ぎると廊下状となる。水量はだいぶ減っているが、幅はずっと一メートル程度、中ではほとんど突っ張りの体勢、うねうね曲がりくねって出口が見えず、何時までこの格好でいるのかわからない。やっと抜けると間を空けずに今度は小滝の連続。水を浴びながら快適に越えていけた。
小滝もなくなり、そろそろ源頭の雰囲気。お花畑沢という名前がついているくらいだから、上手く時期をあわせれば沢山花が咲いているのだろう。残念ながらちょっと遅かったらしく、花は全部しおれていた。最後に泥の草付きを這い上がり、背丈ほどの薮をこぐと登山道にたどり着いた。
もういい時間で、登山道沿いの適当な場所でビバークを考えていたが、水がとれないのでどうしようかと話していたら、まだ下山するだけのパワーは残っていると皆さん言うので、強行下山を決定。雲海、紅葉の山頂湿原も満喫し、いそいそと山を下りる。さあそろそろ暗くなってきたからライトを点けようかと言ったところで丁隊員のライトが点かない。どうも水に濡れて壊れてしまったらしい。丁隊員を真ん中におき、足元を照らしてやりながらゆっくり山を下りていく。
十一時になってようやく登山口に到着、長い一日だった。近くの道の駅で眠り、翌日帰宅した。
棒沢は若干荒れている箇所があり、倒木も多かったが、下部のゴルジュとナメ、上部の廊下の通過は実に楽しい。出てくる滝もみな直登可能、ビバークするなら中流と思うが、人気ルートによくある是非ここに泊まりなさいというような場所はなかった。結構薮薮しているので、鉈で開墾する必要があるかもしれない。
今回本に載っていない沢を選んだが、それでも随分楽しめた。細かい記録を見ていない分、更に楽しさ倍増といったところか。やっぱり沢は自由に発見しながら登っていきたいものである。