2017/10/11-13
甲斐駒ケ岳「スーパー赤蜘蛛 10P 11b/c (11d) 」
CL古川(記)/SL高林(会員外)
[ 行程 ]
10/11 自宅→芦安市営駐車場→広河原→北沢峠→仙水小屋・仙水峠→八合目岩小屋(幕営)
10/12 登攀日
10/13 八合目岩小屋→甲斐駒ケ岳→駒津峰→北沢峠→芦安市営駐車場→帰宅
8月末頃に普段からショートルートを中心に良く一緒に登っている高林(以下 高)から、
「スーパー赤蜘蛛やりに行かない?」との誘いがあり今回の山行となった。
当初の予定では一般的な黒戸尾根からの2日間で考えていたが、
いかんせん歩きに自信がない。。。
ということで9月頭の休みに二人でアプローチ偵察がてら、
日帰りで黒戸尾根を登ることになった。
登りは比較的快調で5時間弱で無事基点となる八合目岩小屋に到着。
そこからスーパー赤蜘蛛の取付きへと踏み跡を辿る。
想像よりは明瞭ではなかったものの無事取付きを発見。
この偵察があって良かったと登攀当日思いました。
無事偵察を終え下山。
いろいろと考えもう少しマルチ登攀の準備をしてから3日間で臨もうということになった。
また3日間取れるなら黒戸尾根ではなく北沢峠の方が楽ではないかということに気付く。
といった経緯で10月に3日間を使って北沢峠経由でスーパー赤蜘蛛に行くことになった。
9月中は毎週のように瑞牆に通いマルチピッチ、トラッドショートルートをひたすら登る。
一粒の麦、Joyful moment、ベルジュエール、ワイルドアットホーム、フリーウェイ、バベルの塔など。
二人で反省会をしつつ良いトレーニングができた。
そしていよいよ迎えた10月2週目。
天気予報は3日目の下山日以外は晴れ予報。
10/11 アプローチ
0600自宅→0630芦安市営駐車場→0710乗合タクシー→広河原→0800市営バス→0830北沢峠→0900仙水小屋(給水10L)→駒津峰→1300八合目岩小屋(幕営)
岩小屋は幸い先客もいない。夕食を食べ16時頃には早々と就寝。
10/12 登攀日
0400起床→0530岩小屋発→0630スーパー赤蜘蛛取付き→0650登攀開始→0930大テラス→1330Aフランケの頭岩小屋→1400八合目岩小屋(幕営)
八丈沢から岩沿いに戻りFIXロープが何か所かあるところで岩が大きく剥離し、
FIXロープの設置された大木ごと崩れていた。
※今後行く方は注意が必要です※
(以下登攀記録・所感は高の記載)
参考資料「R&S#52」「日本マルチピッチ」
1P 5.11b (体感5.10d、18m) 高
出だしごっそり剥がれ落ちそうなガバでクリップ、
トラバースからのクラックに入る一手が足を発見出来なければ悪かったと思う。
クラック内に詰まった泥をジャミングしながらの登攀。
1P目をミスりたくないプレッシャーからか力んだ登攀となった。
テラスのリングボルト3本でピッチを切る。
2P 5.8 (体感5.8、40m) 古
長さもあり小川山レイバックより面白く感じた。多分65~70゚くらい。
3P 5.10b (体感5.10a、12m) 高
ビレイ点からの3m上方トラバースが少し悪かった。
そこから次のピッチへ行こうかとも思ったが12mくらい登ったところのバンドでピッチを切る。
4P/5P 10a/5.7 (体感5.10a、35m) 古
一部草を掴みながらの登攀、スーパー赤蜘蛛は全体に粒子が研かれ滑る感じがする。
ハング越えはガバがあり難しくない。その後の階段状はブッシュを掴みながら適当に登る。
大テラス(ビバーク可能)と記載がありさぞ広いのだろうと期待して行ったが、
私はビバークをする気にはなれない普通のテラスだった。
6P 5.7 (体感5.6~7) 古
特に難しいポイントもなく、正直印象が薄い
7P/8P 5.11d (体感7P 5.11c ・8P 5.10d 繋げて65m) 高
今回のハイライト!繋げて約70メートル!!
一本目はハーケンにクリップ、そこから3本走るクラック中央を登りフィンガークラックへ、キャメ紫くらいのサイズが続く。
部分的にフェイスにスタンスを拾いつつ緊張と集中のギリギリの登攀。
一手、一歩を慎重に出し、気付けば終了点を眼中に捉えれる残り4mほどに来ていた。
パンパンになったふくらはぎの回復を待ち不安定な体勢でレストする。
ここからのトリプルクラックはあみだくじ状態、行きたい気持ちとその先に行くことへの不安、
集中力は途切れることはないがそこに行くことを拒むようにスタンスを発見出来ずにいる自分、
気合いを入れ直し大きく一声「ハッ」とカツを入れた。
左手のジャミングは上手く効いている。右足を今にも崩れ落ちそうなフェイスに取り右手を右上のクラック伸ばした。。
と同時に右足を乗せていたスタンスが崩れ、ほぼ左手のジャミングのみで体勢を支えている。
心拍数は上昇、レストしていたポイントまで戻ろうと試みるが時すでに。。。
人生で一度きりのオンサイトは失敗に終わった。
ぶら下がってトリプルクラックを探る。なんと中央クラックが正解だったのか、
残り3mほどを残し僕のスーパー赤蜘蛛(7/8P)オンサイトの夢は散った。
気を取り直し上部スーパークラック、出だし少し悪目のフィンガーセクションを登り切るとこれでもかとハンドサイズのクラックが待ち構えている。
下部で殆ど使わなかったキャメ2が大量に余っていたので安心の登攀。
しかしロープが重い、残りまだ20メートルほどを残しこの重さなのかと内心ビビりながもらわしわし登る。
クリップの度にルートの長さを痛感、ロープが兎に角重い。筋トレかと思うほどの登攀を終え終了点へ。
8Pスーパークラック 上部から
フォローの古はフィンガーセクションまで頑張ってみたが途中から人工になってしまった。
60mもロープを伸ばすとテンションと言ってぶら下がっても4~5m伸びてしまいやってられない。
適宜カムでセルフを取って休みつつ65m登った。
上部ハンドクラックはちゃんと登りました。。。
9P 5.10c/d (体感5.10d、岩登り15m・木登り20m) 古
スラブ出だしからかなり悪いカチでハイステップ、
さらにその先も悪くルート自体は短いが十分悪い。
10P 3rd (40m) 高
岩小屋まで。
使用ギア(上部レッジトゥレッジで登ったので少し多めです。7-8Pでピッチを切るなら2セット+キャメ黄で良いかなと思います)
マスターカム : 青×2、黄×2
キャメ : グレー×2、紫×3、緑×3、赤×2、黄×4、青×1
アルパインヌンチャク(60スリング)×8、QD×6、70㍍シングルロープ×1、180スリング×各1、120スリング×各1、15㍑アタックザック、捨て縄×各2、ハンマー×1、ビレイデバイス、環付ビナ×各3、水1.3㍑、雨具上下、ツェルト、行動食、ヘッ電、マリンシューズ
ということで無事基地に帰還。
夕食を食べ就寝。
夜になると雨が降り出し、高のシュラフは水没。。。
10/13 下山
0500起床→0600八合目岩小屋発→0645甲斐駒ケ岳山頂→0850北沢峠→広河原→芦安市営駐車場→温泉→自宅
雨の中の歩き。
コースタイムが4:50なので少し速めに歩いても4時間はかかるのかなぁと思い11:15のバスを目指してゆっくり歩き出す。
が、甲斐駒ケ岳山頂に着いてみるとコースタイムよりかなり早い。
このペースなら前のバスに間に合うんじゃないかということになり9:15を目指して歩く。
結局3時間で北沢峠に到着、11時には温泉に入っていた。
今回は全ピッチRPとはいかなかったが、いろいろと勉強になり楽しい山行だった。
次行くときにはしっかりとRPしたい。
自分のメンタルの弱さも痛感。
今後のクライミングで鍛えていかないとなと思います。
本山行を実施するにあたりいくつかの記録を参考にしました。
ありがとうございました。
この記録が今後トライする人達の一助になれたらと思います。
古
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