Yosemite report
日程: 2014/10/03-13
メンバー:古(CL、記)、レイ(SL、一部記)、ナベ(会員外)、ユミ(会員外)
計画段階からメンバー変更、日程変更とイロイロあった今回のヨセミテツアーですが、無事怪我もなくツアーを完遂。古にとっては昨年のスコーミッシュに続く2度目の海外山行となったヨセミテ。後輩を連れてリーダーとしての海外山行。少しは成長できたかなぁと感じる10日間でした。
長文レポート&かなり遅くなりましたがお許し下さいm(_ _)m
10/3 日本発➡夜中にSanFrancisco集合➡Yosemite
10/4 Porcupine flat campgroundに幕営。徹夜&時差ボケの為クライミングできず。
Tuolumne Areaの下調べ & 観光 Glacier PointでHalfDomeを眺める。
10/5 「Cathedral Peak Southeast Buttress」
10/6 「Fairview Dome Regular Route」➡Yosemite valley Northpines campgroundへ移動
10/7 AM「Generator crack」➡PMユミを迎えにFresno Airport&買出し
10/8 「Half Dome Snake Dike」
10/9 「El capitan base」 & 「Reed's Pinnacle Area」
10/10 「El capitan East buttress」 渋滞の為敗退。
10/11 「Mt.conness 3,855m」トレッキング➡SanJoseへ移動
10/12 アメリカ発➡
10/13 帰国
初日からナベが飛行機の日にちを間違えるというトラブルを起こすも何とか集合(※深夜発便には気をつけましょう(e_e)➡レンタカーで深夜走行ヨセミテへ(約4時間半)➡朝5時半頃camp4着。すでに何人か寝袋に入って並んでいる。我々も並ぶも土曜日ということもありcamp4のサイトは取れず。スケジュール変更をすることになる。
Yosemiteのキャンプ場の事は実際行くか行った人に詳しく聞いてないと分かりづらいと思うが、結果的には別にcamp4にこだわって泊まる必要はないんじゃないかと個人的には思った(予約なしで入れるのはここだけだが)。他のキャンプ場はこの10日間ほとんどFullだったようだが、たまたま6〜11日の間Northpines campgroundのサイトを現地で抑えることができ快適なキャンプ生活を送ることができた(予約はすぐに埋まってしまうらしく運が良かったのかもしれない)。次行く時は始めから予約して行こうと思う。
今回土日はYosemite valley内はどこもFull。ということで当初の計画では後半で行こうと思っていたTuolumne Areaに最初に行くことに。この季節行くには少し寒い為Porcupine flat campgroundというところは空きがあるとの情報があり、実際ここに2泊することができた。水場はなくトイレはボットン&真っ暗というなかなかイカしたキャンプ場だったが特に不満はなかった。後半の一週間泊まることになったNorthpines campgroundに関してはトイレは水洗だし水取れるしで言うことなし。HPなどで見るとcamp4は$5、他のところは大抵$20となっているが、camp4は1人料金、他はサイトでの料金なので4人いれば同じ。さらに言うとcamp4は駐車場から離れているが、ここは各サイトまで車で入れる。
ということで何とか拠点を構えることができ安心してクライミングに勤しむことが出来ました。
初日は時差ボケ&徹夜の影響で動ける気が全くしなかったため偵察と観光。
2日目からクライミング開始!
10/5 「Cathedral peak Southeast buttress 5P 5.6」
まずは手始めに簡単なマルチから。
とは言え見た目もカッコ良く爽快なルートだった。Tuolumne Meadowsは標高も高くこのルートも3,000m以上でのクライミングとなる。例年だともうじき雪が降るというほど寒いはずなのだが異常気象なのか日中は半袖でも登れるほど暖かかった。
今回は3人で登るため基本的に古がリードでレイ&ナベがフォローで続いた。
アプローチは特に迷うことなくコースタイム通り約1:30で取り付きへ到着。
先行パーティが1組いたが途中でパスさせてくれた。
中間支点、ビレイ点等ボルトもピトンも一切なし。残置のスリングも一切なかった。ルート自体は5.6までなので難しい箇所もなくチムニーも快適だった。写真でも見える尖ったピークは4ー5人が立てる程度のスペース。Yosemiteでの初クライミングを満喫。
下降は裏側に降りて一回懸垂、あとは歩いて取付きまで戻る。
Yosemite Village Storeまで買出しに行く。約1時間。結構遠い。。。
10/6 「Fairview Dome Regular Route 12P 5.9」
少しレベルアップ。2日目もTuolumneにあるルートへ。
昨日より長いルートなので暗いうちにテントを撤収し行動開始。取付きへは道路脇から15分位で近かった。
前半古リード、途中からレイリード。
このルートいきなり5.9から始まる。トポにはpolishedの文字。登ってみると文字通りpolished。壁自体はスラブなのだがハンド、フィンガージャムをきめながらツルツルのフェイスをスメアリング気味に登る。60mいっぱいまでロープを伸ばす。当然カムも尽きてくる。1P目にして早くもテンションを入れてしまう情けない登りだったが、ここでナッツをうまく使っていかないといけないことを学ぶ。ここからは積極的にナッツでプロテクションを取る。ここから先は徐々にグレードも落ちてくる。ツルツルな上水も流れているいやらしいパートを抜ける。ルートの前半は分かりやすくトポ通りという感じ。6pのルーフ超えは一見大変そうだがガバもありそんなに難しくない。リード交替しやすい所がなく結局8pまで古がリード、ここでレイに交代。そしてレイのデジカメが無くなっている事に気付く。。。落としたようだ。ドンマイ。レイ気を取り直してリード。最終ピッチで1ヶ所5.6なのに悪い所があったが快適なピッチが続き気持ちの良いピークへ。ピークは思ったより広くそこからなだらかに下って行く。下降はその下りを延々と歩く。コケると下まで行ってしまうだろうが、アプローチシューズで問題はなかった。コースタイム通りで取付きへ。カメラを捜索するも見つからず。諦める。。
Northpines campgroundへ移動。テントを張る。広いしトイレ近いしサイコーに快適でした。
10/7 「Generator crack 5.10cTR ワイド」
午後からユミを迎えに行くため午前中にショートルートを。ということでこのツアーで外すことの出来ない有名ワイドへ!トポ通り車を止めると歩いて1分で到着。裏から登りトップロープをはる。思っていたよりも長く前半が核心。ということで古から登る。イロイロ試すがなかなか離陸の体勢が決まらない。足をうまくきめたいのだが膝が入らない。意を決して離陸。何とかクラックにハマる。ここから数mは何とか登るも力尽きテンション。何度かテンション入れてしまったがとりあえず中間まで進む。体が入ってからは快適な登りでトップアウト。次はいけると手応えを感じつつ下りる。次はナベ。初めてのワイドで当然苦しむ、もがく、ぶら下がる。見てる方は楽しいが登ってる方は地獄。何とか中間部まで進む。ここからは問題なくトップアウト。最後にレイ。同じく出だしで苦しむ。何度か下の写真のようにクラックから弾き出される。でも良い体勢を見つけたらしくなかなかの登りで核心部を抜けトップアウト。1人1本ずつでイイ感じに満足できたので一路Fresnoへ!1時間半程で空港に着く。ユミも出発時搭乗便の変更などでいろいろあったようだが予定通り合流できた。流行りのタコベルを食し買出しを済ませて帰Yose。
明日はいよいよメインディッシュのSnake dike。準備を整え早めに就寝zzz
10/8「Half Dome Snake Dike 8P 5.7R」
ついにSnakeDikeへ。今回のメインである。目標は明るいうちに帰る!
ということで朝3時半頃起床。各自朝食を詰め込み、行動食のベーグルを持っていざ出陣。カリービレッジの駐車場に車を停め朝4時Happy Islesを行く。ずーっとTrailを歩きLiberty capにぶち当たるところまでは迷うことはない(約1時間半)まだ暗い。ここから左に進みクライマートレイルに入る。最初のうちは踏み跡もしっかりあって壁沿いに行けば良いのだが、そのまま壁沿いに行く踏み跡を辿って行くと行き詰まる。。。Libertycapのルートに行くものなのか分からないが確かに踏み跡らしき道を辿ったはずなのに崖の上に出てしまった。暗かったせいもあるが正直分かりづらい。アプローチで迷って7時間くらいかかったという話も分からなくもない。何はともあれ間違っていることは確かなので来た道を戻る。最終的には谷底まで下りてLibertyとBroderickの間を行けば良いはずということでそっちの方に向かって途中藪を掻き分け進むとやっとそれらしき場所に出る。時間をロスしてしまったがまだ問題ナシ!ナベは長いアプローチになかなかの疲労を見せていたがまだ取付きまでは2時間位かかるのです。。。そしてトポではロストレイクの所でT字路になっているのだがこれがまた分かりづらい、というか分からない。どなたかのブログにも書いてあったが気付いたらHalfdomeを背に歩いており間違いに気付く。そして戻る。良く分からんがHalfdomeに向かって歩けば間違いないでしょということで真っ直ぐHalfdomeを目指す。テキトーに歩くこと約30分ケルンを発見し安心。ここからは要所要所にケルンが積んであった。こけたら50m近く落ちれそうな所もあったが微妙なスラブを慎重に歩きようやく取付き到着。ナベはすでに無言モードに。途中道迷いのタイムロスがあったため結局5時間もかかってしまった。迷わなければ4時間弱で来れる距離であろう。
少し休んで登攀開始!!本日も最初は古リード、途中からレイのオーダーで臨む。
このルートは前半3Pまでが核心、と思う。グレードこそ5.7だがなめちゃいかん。ここはYosemite。いきなり1P目のハング下トラバースで足が止まる。。ハングの右端にカムをさすもトラバース後半で落ちたら中々エキサイティングなことになりそうだ。スラブなのだが結晶に立つのではなくフリクションで耐えるといった感じ。正直こんな怖い5.7を登ったのは初めてだった。が、何とか左のフレークにたどり着く。この先がちょっと不安になる。フォローはそんなにプレッシャーはないようで思ったよりすんなり登ってきた。2Pは簡単。ここから先はビレイ支点あり。3P目。ここもいわゆるフリクションパート。1P目以上に緊張を強いられた。今回の ツアーで一番怖かったかもしれない。。ボルトでプロテクションを取ってから左上していく。フリクションで耐えてランナウト。落ちたら振られながらビレイヤーに衝突するだろう。慎重に慎重にダイクへとたどり着く。ホッと一息。ここから先のダイクパートは快適そのもの。30mのランナウトなんて全く気にならない快適ルートだった。後半に入りレイの苦しむ姿が見たくなり、5.7フリクションパートでリード交替( ̄▽ ̄)。期待して見ていたが前半のフリクションパート程のシビアさは全くなく気持ち良さそうにリードしていた、、期待はずれ。その後は徐々に傾斜もゆるくなり。8Pくらいで実質クライミング終了。その後も2P程ざいるを伸ばすも、全会一致でもうOkと言うことで途中にあるブッシュのところでザイルをといた。古とレイはアプローチシューズに履き替えスラブフォーエバーを行く。思ったよりは時間はかからずにピークへ!!ついにHalfdomeの上に立つことができた。いやぁ良くやった。下りがあることも忘れ各々楽しむ。反対側からはノーマルルートで登ってきた人達も何人かいた。恒例の写真を撮り下りへ。下りはノーマルルートをひたすら歩く。ハイカーが登ってきたノーマルルートのハシゴはなかなかすごかった。良くこんなとこ登ってくるなーと感心。右下の小さい写真。
10/9 (↓レイ記)
Snake Dikeの次の日なのでこの日は皆使い物にならないだろうと予想していたのだが、意外に早く行動開始。昼前にはキャンプ場を出ることができた。
「El capitan base ,La Cosita, Right 5.9」
どこに行こうか少し話し合ってエルキャプの下部をさわりに行くことになり、適当なルートを探してうろついたところ「La Cosita, Right」を登ってみることになった。
コーナークラックであり、下部の数メートルが割と厳しいフィンガーorシンハンド。それを抜ければハンドが決まる。
ヨセミテの岩は氷河がしっかり削ってくれたおかげなのかツルツルしている。それにこのルートはまぁ足がない。(特に下部はフットジャムも決まらないし、バンパイア並?)
トップロープならレイバックで抜けられるかもしれないが、リードとなるとそうはいかない。足がツルツルすべり、僕は下部でさっそくテンションしてしまった。以降はクラック的には快適だったものの、日当たり抜群でクソ暑かった。古川さんも珍しく下部は厳しそうだったがさくっと抜けて終了。
「Reed's Pinnacle Area ,Direct Route (下部の2P : 5.9, 5.9)」
El Capitan Baseで昼食をとったあと、Generator Crack(5.10c)を落としに車を走らせたのであるが、120号と140号の分岐点にきてみると140号の行く手をシェリフ達が阻んでいる。どうやら前日に発生した火災のために140号が通行不可になったらしい。これではGenerator CrackもCookie Cliffにも行けないので転進先を探すことになった。
トポをみたところ、120号をトゥオラミ方面に少し上がったところにReed's Pinnacle Areaがありアプローチも5分、お手頃そうなルートがいくらかあったので向かうことにした。
路肩の駐車場に着いて岩場を眺めると、小川山の蜘蛛の糸を思わせる露出感抜群のクラックが目に入る。攀じているクライマーもよく見え、なかなかアツそうな雰囲気を放っている。トポによるとこれはDirect Routeの2ピッチ目でグレードは5.9。1ピッチ目は5.9のシンハンド~ハンド。2ピッチ目はハンドで始まり、最後に5.9のワイドが待ち受ける。ルート自体は3ピッチであるが、時間的に2ピッチ登ったところで降りればちょうど良いだろうということでマルチの準備をして向かった。
古川さんに「リードやってみたい?」と聞かれ「やってみたいですね~」と即答してしまったところ「じゃあテンションなんてしないから頑張ってね」という具合のいつものやりとりを交えてリードを譲ってもらうことになった。ギアは確かナッツ1セットとキャメ4番までを2セット。先行の二人組が1ピッチ目を登り終えるのを待つ。
1ピッチ目はとても快適で先ほど登ったLa Cosita, Rightより全然登りやすかった。
終了点で先行に追いつき、ビレイ中のおじさんと駄弁りながら待つ。
お:「待たせて悪いね、君らはいつから来てるんだ?」
僕:「4日くらい前です。日本から来ててヨセミテで1週間くらい登ります。」
お:「おぉ、日本ね。知っているよ。ユージだろ?センセイ。」
僕:「そうですそうです。よく知ってますね。」
お:「日本には岩場はあるのか?」
僕:「ありますよ、こんな感じのところ。ヨセミテほどはデカくないけど。」
お:「そうなのか、いつかは行ってみないとな。そういや、君たち日本人というのはあんましゃべらないのか?前にエルキャプを一緒にやった日系の奴は4日間一緒にいたけど、一度も口をきいてくれなかったぞ。」
僕:「まじですか、そんなことはないと思いますが。てかそれでよく登れましたね」
…などという他愛もない話をしていると。上部から奮闘的な叫び声が頻繁に聞こえてきた。
僕:「なんか難しそうですね」
お:「彼はクラックに慣れてないからね。とはいってもまぁグレードは5.9だよ。君、4番はいくつ持ってきたんだね?」
僕:「2つです。」
お:「3番は?」
僕:「2つです。大丈夫ですかね?」
お:「まぁ大丈夫だろう。彼は4番1つしかもってないしね。4番はちゃんと残しておけよ。それからリラックスしてちゃんと呼吸をしながら登るんだ。これは重要だぞ。」
僕:「ありがとうございます」
お:「これは君のオンサイトトライなんだろう。あんまアドバイスをしすぎてもつまらんからこれくらいにしておくよ。」
と言い残し、しばらくしてからおじさんはフォローでさくっと消えて行った。
おじさんのいなくなった狭いテラスでフォローの二人を迎える。リードの叫び声を聞いていた古川さんは「楽しそうだねー」などといって相変わらず茶化してくる。さて、お目当ての2P目。初めは快適なハンドクラックが続く。ヨセミテのロングピッチに少し慣れてきたせいか、自信のあるところはカムを節約するためにナッツを使うなり、プロテクションの間隔を適度に開けて取って登っていたと思う。ピッチの半分も行く前に4番がちょうど入りそうな箇所があり、先行のリードも4番1つだけで登っていたしまぁ大丈夫だろうと思いここで4番を1つ消費してしまった。さて、このしばらく上で2番を決めたあと、どうもしっくりこない部分に出くわす。危うく落ちそうになるもののこんなところで落ちるわけにはいかないと心を落ち着かせ、少しパワフルに乗り越えた。上に行くほどクラックが開いてくる。そのうちフィストクラックになり3番を使う。いくら快適なハンド~フィストクラックとはいえ、何十メートルも登っていると疲れは溜まってくるものだ。少し疲れを感じながらもどんどん上にロープを伸ばすとついに出てきた。最後のワイドセクションである。長さは5メートルくらいだっただろうか。ここでワイドかぁ。わかってはいたもののこの時点での疲れ具合ではノーテンションで越えれそうには思えなかった。とりあえず、残り1つの4番を決めるのだがこれ以上4番はない。このまま登ると5メートルはランナウトする。なんであんな余裕セクションで4番を使ってしまったのかと後悔するも後の祭り。こんな疲れた状態で得意でもなんでもないワイドを5メートルもランナウトして登りたくないなぁと思い、4番君と仲良く一緒に登ればいいだろうと少し上に決めるためにじわじわ上がり、お友達をそっと上に動かしたところ45度くらい傾いてわけのわからん方向に向いて挟まった。トリガを引いてもなぜか動かない。僕とは一緒に上がってくれないのか!とショックを受けるも、自分の体勢がワイドの不安定な感じになっており、さらに悪いことにひねくれ者の下のプロテクションは結構下にあるナッツである(確か)。裏切りのショックでパニクりそうになった頭に、しっかり酸素を送り込んで落ち着かせ、とりあえず足場の安定するところまで戻る。下からひねくれ野郎をうねうねと動かしなんとか回収。もとの位置に再度決める。
もう二度と裏切られるのは御免だ。と、この時点でお友達関係を解消し、4番君とともに登るという作戦は頭の中から消去した。さて、ここからは体力とテクニックの問題である。この疲れた状態でどうやってワイドを抜ければよいのだろうか。左足を決めようとクラックに捻って入れても足がスカスカと抜けていく。やばい、決まらない。あれ、どうやるんだっけ。何度も同じことをして、頭はパニックゾーンに入っていく。ジャミングを決めて上半身を支えている左手も疲れてくるし、汗でぬめぬめしてくる。手を入れ替えたいが右手はうまくはまらない。
「ヤバい、難しい!」など、一人で何かしら叫んでいたがよく覚えていない。
いろいろと悩んだ挙句、先ほど裏切られた4番君は機嫌を直してしっかり効いているし、ランナウトは覚悟でここから上は気合で登りきるしかないという境地に達し、気が付けば左半身をクラックに突っ込み、右手はクラックの入り口で上半身を支え、右足は外でフリクションという方法でずりずりと体を上に上げ始めていた。もう登り始めると上のテラスまで止まることはできない。自分がどうやっているのかよくわからなかったが、脚はしっかり効いていた。城ヶ崎のカームフライデイ下部で発した以来の叫び声を上げながらずり上がる。今落ちたらどれくらい落ちるだろうなどという豊かな想像力は頭から微塵も排除し、テラス直下のガバらしきでっぱりめがけて攀じあががるのみ。みるみる近づいてきたホールドを掴み取り小テラスにのりあがった。ヒーヒーハーハーと岩によりかかって酸素を求める。落ちなかった。今までの自分であれば途中でビビッてテンションとかフォールしていたはずだったが登り切れた。ほんの数メートルのワイドクラックであったが、体力とかテクニックどうこうではなく、気持ちで登りきったクライミングであり、こんな登りをしたのは初めてだった。
体と心を落ち着かせた後、少しのハンドクラックを伝って上の大テラスへ。立派な木にビレイをセットしフォローを迎える。案の定、フォローの二人ともさくっと登ってきて、叫ぶほどじゃないかなぁとのこと。冷静に登れると確かにそんな気もするのだが、まぁいろいろあったのです。2ピッチ目の奮闘のために時間を食ったのでヘッデンタイムに近づいており古川さんが素早く懸垂をセットして1回で地上へ。ちなみに、さきほどのおじさんPTは5.10aの3ピッチ目をヘッデンで登っていた。
遅くなったので帰りに皆で食べようといっていたカリービレッジのピザが閉まってないか心配だったが、結構遅くまでやっており無事買って帰ることができた。
よく考えると、これまで予期せぬプレゼント(5.10a)や山河微笑の最終ピッチ(5.10a)ではじき出されてきたし、5.9クラスのワイドというのは登ったことがなかっただけに登りきれて少しは自信になったように思う。
何より自然の岩場で気持ちで登りきるという登り方を体験できたのが貴重な経験だった。
これができたのはリードをやらせてくれた&ほどよくプレッシャーを与えてくれた古川先生のおかげである。
スネークダイクの次の日というのもあったのかもしれないが、この日はこの1本でとっても疲れました。
(↓ここからまた古記)
10/9をレイに書いてもらったらメインのHalfdomeより長くなってしまったが、思い入れが強いようなのでそのままアップしました。レイも吠えてたしなかなか楽しい1日でした(笑)
10/10 「El capitan East buttress」渋滞の為敗退
この日は前日までどこにしようか決まっておらず、候補としてはmiddle cathedralかElcap east buttressが挙がっていた。総合的に判断して今回は古&レイの二人で行くことにし、せっかくなのでEl capitanを登ろう!ということでeast buttressに決定。日の出とともに登り始められるように出発。
車を停め歩き始める。El capitanの右側の壁を目指しガレ場を上がる。春先に落石でアプローチがクローズになっていたようだがもう通れるよーだ。壁に当たるまで登りあとは壁伝いに歩いて行けばEast buttressの取付き。6:00。この頃には明るくなってきてルートも良く見えてきた。我々の前には3パーティ。一時間半も待てば行けるかなぁと今のところ計画時間内で行ける見込み。だった。。。のだが、前のパーティが遅いのなんの。。。待てど暮らせど1P目が空かない( ̄ロ ̄;)まーさーかーのー4時間待ち。。。10:00やっと登攀開始。。この時点で正直上まで抜ける気は無くなっていた。が、せっかくなので2-3P位は登っとこうってことで取り付いた。1Pのチムニーはレイがリード。途中カムをきめつつチムニー中間まで行くもビレイ点の小テラスがなかなか空かず途中の安定したところでまた小一時間待つ。前のパーティが2Pの核心の出だしで苦戦している(ー ー;)。。ようやくビレイ点到着。ザックを吊るしながらチムニーを行く。2P10b。古リード。10bだし前のパーティも大変そうやったしと構えていったのだが、カチ、足上げる、ガバポッケ、足上げる、エイッ、ガバ( ̄ー ̄)10bやな。前日までのYosemiteグレードの厳しさとは打って変わっていつも感じている10bという感じだった。実際はその上のピトンスカーを使いながら登っていくところの方が難しく感じた。ともあれ2P終了。レイも上がってくる。この 時点でもうお昼を回っていた。日没、初めての下降路と不安要素満載でこのまま継続は不可と判断しここで本日の登攀終了。とりあえず下部の核心は全く問題ないことが分かったし、また次来た時にでもということで。次は一番に取り付けるように来ましょう。下部の他のルートから継続で登ってきたパーティが通過してから懸垂。車へ戻る。ショートルートに行くテンションでもないのでシャワーを浴びて買い物へ。偶然にも個人行動していたユミとナベに遭遇。軽く観光しテントに戻る。Yosemite最後の夜を満喫。
10/11「Mt.conness 3,855m」
最終日は4人でピークハント!ということで某ブログで見かけた富士山よりちょっと高い山Mt.connessに登ることに。地形図はたまたま持っていたHigh sierraのトポにあったものをコピーしておいた。場所は初日、2日目に行ったTuolumne Areaの奥の方。ガソリンが無くなりそうでヒヤヒヤしながらTuolumneへ向かう。帰りにスタンドが開いていることを祈りつつ、campgroundからTrailを行く。下から尖ったピークが見える。「き っとあれだねぇ、意外と近そうだねぇ」何て話しながら歩く(結果的に始めピークだと思ってたところは全然手前のピークだった)途中から岩岩してくるが特に危なく感じるところはなかった。滝の跡のようなところを登る と広いとこに出る。そこから最初に見えていたピークの方に登って行くがどうやら間違ったらしく行き詰まる(ー ー;)ちょっと戻り正しい方へ。段を上がるごとに偽ピークが現れる。なかなか本物に辿り着かない。上部も岩岩いているが落石に注意しながら慎重に進む。やっと見えた、本物のピークだ。あと30分てとこだろう。富士山の標高を超え、空気は薄い。ピークに到達!先にいた5人くらいのパーティが酒を飲みながら「Welcome!」と迎えてくれた。3,855m。富士山にはまだ登っていないが自己最高高度に立つ。天気にも恵まれなかなかの景観であった。持ってきたサンドイッチを食し下山。予定よりは少しだけ時間がかかったが無事車に戻る。
調べによるとYosemite側に戻らずTuolumneを突っ切るとスタンドがありそうだ。15分ほどで正面には大きな湖が、Mono lakeが見えてきた。その手前にキレイなサービスエリア。無事給油&ハーフポンドハンバーガーを食べた。
Yosemiteでのクライミングを無事終え、一路サンノゼへ。
Mono lake沿いを北上しクネクネの山道を抜け街へと下りる。日をまたぐ前にサンノゼのMotelに到着。荷物を何とかバッグに収めあとは帰るだけ( ´ ▽ ` )ノ
帰りの飛行機でもレイ&ナベの便がキャンセルになったりイロイロとトラブってましたが、皆それぞれに何とか帰国。
次はいつ来るか決まってませんが、近い将来力をつけてBigwallに挑戦したいと思います。
終