2010年6月12日(土) 前夜発日帰り
メンバー:CL妹尾、盛山、松澤
久しぶりに盛山サン・松サンにお付き合い頂けるので、夏の四川に
向けてクラック能力を強化すべく、十一面へ向かった・・・・が、
毎度?のことながら今回も、てか今回はかなりヤバイことに(苦笑)。
12日 0:00京王八王子駅~2:30塩川ダム~7:30みずがき自然公園
~8:40十一面岩正面壁~9:20取付~14:30 3P終了点
~15:30取付~16:30みずがき自然公園~20:00京王八王子駅
前夜は盛山サン・松サンとも仕事で疲れており、一時は早朝発とか
奥多摩案まで出たが、折角お付き合い頂けるので勿体ない。
盛山車を妹尾運転で出発。しかし運転が不慣れで八王子ICまでの
一般道は先輩二人共、冷や汗モンだったやうです、スミマセン。
塩川ダムで仮眠し、翌朝植樹祭公園の駐車場へ。土曜の
朝なので4~5台程度。荷物をパッキングして十一面へ向かう。
十一面は去年のGW以来だが、なんとかスムーズに行けた。
末端壁は相変わらず日本離れした威厳で佇み、正面壁は
その奥にこれまたピークまでドーンと現れた。
先着パーティーが一組いて、彼らは『春一番(9P、5.11b、PD)』に
トライするらしい。今回の獲物は『山河微笑(5P、5.10a)』。
ロクスノ44号に「3P目はヨセミテを思わせる長いコーナー」とか
「5P目オフウィズスは不動沢の『よろめきクラック(5.10a)』より
やや悪く感じる。」とあって、なかなか奮闘的な感じで、以前から
興味があった。
正面壁初登はお師匠のO内サン達で、岩壁の弱点を無視して
わざわざ燕返しの大ハングから直登したらしい。O内さんらしい(笑)。
その燕返しの大ハングを右手に見ながら取付きへ。
1P(5.8):盛山リード。朝一で体が動きにくい上に岩が少し湿り
気味で、このグレードにしてはやや悪い。下から見た時の
核心と思われた右へのトラバースよりも、その手前の
クラックが浅くなったセクションが核心。凹角の両側に
細かいスタンスを拾って盛山サンが見事突破。
上部は浮石が多く、落石しやすくて気持ち悪い。
2P(5.7):盛山リード。1P目と打って変わって、キレイな花崗岩の
チムニーが40m近く続く、快適なピッチ。バック&フットが
これでもかと快適に決まり、ホント面白かった。
3P(5.9):妹尾リード。そして事件?が起こった。本来のルートは
2P目終了点から直登して取付くのだが、その終了点から
右上に快適そうなテラスがあったのでそちらへ一度移動。
そもそもこれが元の元凶だった?直登クラックが5.9にしては
難しそう・・・と思ったのと、現在地から上へクラックが
有りそうだったので、樹木が邪魔していたがとりあえず
ルート図をよく確認しないまま取付いてしまった。
最初に短いハンドセクションをこなして、悪いフィンガーに
行き着く。この時点でも上部は見えない。凹角の悪い
スタンスに足を置きながら、悪いフィンガーを数手こなして
なんとか突破。そして少し登ったところで事態に気づく。
そう、ルートを間違って隣の『スコール(4P、5.10d、PD)』の
4P目に取付いていたのだ。このピッチは5.9だが、なんと
オフウィズス・・・。もともとこのピッチはOS狙いで、余計は
カムは持っておらず、ハンド~フィンガーのみ。先ほどの
悪いフィンガーセクションはクライムダウンできそうにないし、
プロテクションもそのフィンガー部分に信用できそうにない
キャメ#0.5と#0.4が固め取りしてから5m以上取れてない。
今居るところもオフウィズスの出だしに張り付いていて、
ギヤがないのでセルフも取れない・・・。
そしてここからなんとか安全そうなテラスまで5m位はある。
ちなみに3週間前、不動沢・摩天岩の5.9オフウィズスは
リードできず敗退した程度の実力しかない。
フェイスやハンドクラックの5.9なら10mくらいのランナウトでも
なんとかこなせるが、ワイド系は・・・。
悩んだ時間が随分長く感じた。もう行くしかない。
墜落はできない。もしすれば、15mぐらいのフォールになる。
それも、あの二つの固め取りした信用できないカム2つが
”止まれば”という大前提のもとで、だ。あれがこの大墜落に
耐えられるとはとても思えないし、それが吹っ飛べば・・・。
目の前の5mに集中する。3週間前にF山サンから教わった
ことを必死に思い出す。左半身をクラックになんとか
ねじ込み、左足ニーロック・左手アームバー。右手はクラックの
右側の淵を押さえ、ずり上がる。全力でずり上がる。
案外、こういう極限?の状態に追い込まれても冷静で居られる
モンだなと思う。息は切れているが、目の前はしっかり見え
ているし、ムーブも考えられる。だが、あと2mぐらいのところで
足も手もパンプしてきてカナリやばくなる。張り付くのが
やっとの状態、ヤバイ、まじヤバイ。そのとき、ふと閃いた。
急いでヘルメットを脱いで、クラックの奥にねじ込む。止まった!
ヘルメットは歪み、強く引っ張れば絶対に抜けるが、そっと持てば
ホールドとしては悪くない。もうA0がどうとか言う状態じゃない。
死にたくない一心でそっとひきつけて、再びずり上がる。
傍から見れば、かなり滑稽なカッコだろうが本当に”必死”だった。
テラスに到着。数分間呆然としてた。
盛山サン達に上がってきてもらう。
4P(5.10a):妹尾リード。3mほど登って敗退。本来の『山河~』ルートの
5P目だが、気力がなかった。あれほど欲したキャメ#6も#5も
あるのに関わらず、自分でもびっくりするほどあっさりテンションを
かけた。もう気力が残ってないのは明らかだった。
カムを使ってクライムダウン。
その後『山河~』のルートを懸垂下降3回で取付へ。
ほんとは時間があるので、末端壁の『T&T(5.10d)』などにトライしたかったが、
当然もうムリ。基部で昼飯?を食べる。陽だまりの中で喰らうおにぎりは
ウマイ、ほんとにウマイ。無事帰ってこれてよかった。
ホントなら帰りの高速も運転とかしなければならないんですが、
精神的に疲れきってて、渋滞の中盛山サン・松サンに甘えました。スミマセン。
**************************総括*****************************
トポはちゃんと見よう。
この一言に尽きます。完全に自業自得。まあ、ポジティブに考えれば
いい精神修行になりました。それも無事帰ってこれたから言える結果論ですが。
翌日はここ数年間味わうことのない全身筋肉痛でした(特に腰・大腿)。
ま、こんな目にあってもまた来週はクラックいくつもりですが(笑)。
変態ですな、もう。四川の未踏ビッグウォールまであと1ヶ月ちょい、
ひるむわけには行きませぬ。
コメント
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