日置
小五台山は中国河北省西北部に位置し、東西60キロ、南北28キロ、標高2,882メートルの東台を主峰とする山塊である。
尾根上には戦国時代の長城など旧跡も多く、登山以外にも興味深い。
登山口までは北京から約五時間、片道百元以内で行くことができる非常に経済的な山である。もし沢登り、アイスクライミング等が中国に定着すれば、休日はクライマーでいっぱいになるだろう。
11月24日から26日まで、アプローチ確認、登山の可能性を確かめるため、登山口がある麓の金河口を訪問にした。
11月24日
上海からの列車で未明に北京到着。まず西合営まで行かなければならないが、北京から西合営行きのバスは出ておらず、蔚県行きのバスに乗ることになる。
蔚県行きのバスを探すが見つからず、午後になってようやく六里橋のバスターミナルから出ていることが判明。バスの本数は多いが、できるだけ午前中のバスに乗ったほうが良いと思う。途中下車することになるので、前もって運転手に西合営で下ろしてくれるよう言っておかねばならない。七十元、約四時間。
四時のバスに乗って西合営に到着したのは夜の八時、最終目的地は金河口だが、真っ暗でもう誰も歩いていないので、今夜はここで宿をとることにする。
暫くうろついてやっと旅館を見つけて入る。一ベット四元。ただここの客は皆通り過ぎるだけのどこから来てどこに行くか知れない人間ばかりなので、十元払って一部屋貸してもらった。一人で寝ていたら、鍵をかけていたのに夜中に突然扉を開けられてビックリ。どうも宿の人間が間違えてあけてしまったらしい。誰だあと思いっきり叫んでしまった。
11月25日
道端でソースソバを食べ、ついでに金河口への行き方を聞いて見る。白楽行きのバスに乗れば行けると言うので乗ってみる。
白楽は金河口の手前にあり、白楽からはバスの運転手に頼んで行ってもらわなければならなかった。白楽まで三元、そこから金河口までさらに二十五元もとられた。街中ではちょうどいい値段と思うも、ここはど田舎、かなりふっかけられたがしかたない。これなら西合営からタクシーで直接きたほうが安いかもしれない。
ようやく金河口に到着。小さな村だが、中国人の登山客が結構来るようで、旅館も三軒ほどある。そのうちの金河山荘に泊まったが、ここの人達は旅行者に慣れていて親切だった。一人三十元、食事もできる。
一息してから山を見に行く。
登山口に料金所があり、六十元と書いてあった。誰もいなかったが、そこから中には入らずに入り口から見るだけにする。入山料六十元は確かに法外な値段であるけれど、わざと払わないであれこれ工作して入ることはしないほうが良いと思う。
ここの人達は外人なんて初めて見るような人達ばかりであるし、できるだけ印象をよくしたほうが今後の登山活動もやりやすくなるのではないだろうか。実のところ、入山料はかなり適当なようで、後で料金所に誰もいなかったのだけれどと旅館の人に話したら、いなかったら勝手に入っていいと言っていた。
麓から見た感じでは山はかなり岩岩しているが、奥のほうは結構木が生えている様子。たぶんもとは沢山木が生えていたものが、伐採でなくなってしまったのだろう。
水は冬だからかすごく少ない。地元の人の話では、冬は凍って水は消えるが、夏は雨が多く水量も多いと言う。夏は一月に大体何日くらい雨が降るのかと聞いたら五日だと言っていた。
気温は冬は麓で夜は氷点下二十度くらいまで下がるらしい。五月、十月の中国の連休の頃はどうかと聞いたが、寒くないと言うが、それでも薄手のセーターが必要らしい。
雪は少ないという。雪崩はあるかと聞いたらまずないと言っていたし、麓の家の造りを見ても、新潟の様な豪雪は絶対にありえない。
虎、狼はいるかと聞いてみたら、虎も狼もいるとの答え。虎を見た人がいるのかと更に聞いてみると、見たという話は聞かないけれど、山の奥には絶対にいるとのこと。
毒蛇についても聞いてみたが、それは村にもいるけれどそれほど恐れる必要はないと言っていた。
11月26日
六時半から七時ころの間に西合営行きのバスが出ていると言うので、これで西合営に戻る。この五元のバスは金河口からが6時半から七時の間、西合営からが十一時半ころで一日一往復のみ。時間がはっきりしていないので、バスが着たら呼んでくれるよう、前の晩旅館の人にお願いしておいた。
小さな軽ワゴンに、座席が運転手も含めて八つ、私が乗ったところでちょうど満員、狭いなと思っていたら、更に三人乗りこみ、その内二人が赤ん坊を抱えていたので合計十三人。すごい。
西合営の通りで下ろしてもらい、北京行きのバスを待つ。北京行きのバスは待っていれば沢山通るので、手をあげて乗せてもらう。六十元だった。帰りのバスも六里橋行きだったが、通り道であれば、市内の他の場所でも下りることが出来る。
その他注意等
西合営、金河口とも電気は着ているが、ガス水道は当たり前のようになし。
治安について、基本的に現地の人間は問題ないと思うが、西合営等を通り過ぎていく地元以外の人間には多少注意をしたほうが良いだろう。
当然中国語ができないと不便極まりないであろうが、中国語ができても相当強烈な河北訛りを覚悟しなければならない。私自身も旅館で一ベット四元を聞き取るのにものすごく時間がかかってしまった。だが、この辺り外人はほとんど来ないので、そこそこの中国語が出来れば、どこか知らない遠くから来たのだろうと思われるだけで、まず日本人とばれることはない。(その後すぐどこから来たかと聞かれるが)
今回は山の偵察のみで山には入っていないが、沢登りは夏に可能、冬はアイスクライミングが楽しめそうである。
登山口は金河口の他、北側の赤崖堡、南側の張家窯となるが、これらの村はみな沢の水を水源としていることを忘れてはならない。特に赤崖堡では、ごみ、水源汚染等の問題から、今年の夏には登山道封鎖事件も起きているので、あまり派手な行動は控えたほうが良いだろう。
金河口からの登山道は沢沿いについている。沢の中でなく、若干高いところを通っているとのことだが、ゴルジュの中の立派な歩道の写真を見てしまってからは、登ってみたいと思わなくなってしまった。ここは南の張家窯から登ってみるのが良さそうである。それかアプローチ等不明だが、東側から登れば山深い遡行を楽しめると思う。
張家窯へのアプローチは、自分自身そこまで行っていないのではっきりとは言えないが、一応バスはあるようである。しかしかなり奥なので本数は少ないだろう。西合営からタクシーが一番確実と思う。帰りはタクシーがなくても、地元の人間に西合営への行き方を聞けば教えてくれるはずである。ついでに張家窯の手前の柏樹へは西合営から沢山バスが出ていたので、これの運転手にお願いして張家窯まで行ってもらうこともできるだろう。
それから、北京から西合営に行くのに蔚県行きのバスに乗るが、バスターミナルの人は蔚県行きのバスは西合営を通らないと言っていた。基本的にバスがどこを通るかは運転手の気分等によるようである。バスターミナルの人間は詳しく知らないので、運転手に聞くのが確実である。だが地図を見た限り、蔚県へ行くには西合営を通ることになるので、蔚県行きの切符を買えば間違いないと思う。もし蔚県まで行ってしまったとしても、そこから二元で西合営までのバスが沢山出ているので心配は要らない。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。