管理ビンです。
手術直後の痛みにもめげずレビュー逝きま~ス。
本書は雑誌「岳人」に連載された『30の質問』(05年1月号~06年12月号)、
『備忘録 ~語り残しておきたいことども~』(08年1月号~09年12月号)を
合わせたもので、基本的に連載原稿そのまま。(一部敬称略スミマセン)
最年少31歳(横山勝丘)から最年長89歳(穂刈貞雄)まで、アルパインクライマー、山小屋経営、ハードフリー、山岳写真家、ガイド、高所登山家、出版者、翻訳家・・・その他多種多様・ありとあらゆる「ヤマ」に関係するキーパーソンがそれぞれの持論を多岐に渡るトピックに向けて多角的に展開する、非常に興味深い一冊。
はっきりいって、大当たりです!
まあ、「岳人」連載時から読んでいる方には新鮮味もないかもですが、改めて一冊の本にすると豪華絢爛の一言。勿論、各人の発言はそのネームバリューにひけをとらない珠玉の文章だらけです。約490ページと、かなり読み応えがありますが、
やはり「登山は文化」なんだと痛感しました。
ある言葉ににモチベーションを貰い、ある言葉に今の自分を深く鑑み、
ある言葉に共感して笑い、ある言葉にその意味への想像をめぐらす。
どうしても若いうちは技術本やルート図、登山報告などの書籍に目を向けがちですが
そのバックボーンにある文化に目を向けないとな・・・と感じました。
以下、文中の言葉を抜粋(妹尾が気になったモノ、順不同)。長いので暇な時に読んで下さい。
『いま残念なのは、山岳会そのものが衰退して、チーム総体として強くなっていく気運や努力が薄くなっていること。(中略) でも今は一緒にトレーニングして強くなろうという部分が弱くなってきて、会でやることといったらせいぜい計画書のチェック、遭対資金の積み立て、保険くらいで、遭対もヘリ頼み。(中略) なんたって口角泡を飛ばして議論する場が会の中で失われているのがいちばん切ないですよ。』 (柳沢 昭夫)
-【Q、オンサイト能力を高めるために大切なことは?】という問いに対して・・・
『反復練習。自分にとってクライミングベースをつくること。ムーヴの種類を増やすためにいろんなルートに挑戦し、自分の基礎となる登り方で攻めていって、それに合わないときにはこういう手の内を出すよ、っていうのを実践的に学んでいけばオンサイト能力は高まるでしょう。』 (平山 ユージ)
『(中略) ハイキングってこんなに奥が深いんだ、これだけ深く考えて楽しんでいるんだというのを目の当たりにしたら、登山の優劣なんてないんだとあらためて考えさせられました。真剣にハイキングしている人たちもいるわけで、それを見下すような山ヤさんの発想はなんとか払拭したいですね』 (寺沢 玲子)
『”ツアー登山”や”高所旅行”から”登山”と”高所”に対する意識が欠落したらただの旅行でしかありません。それでは登山や高所という、非日常そのものの環境に対応できるツアーなんて出来るわけがない。この単純な真実を旅行会社は真摯に考えるべきだと私は思っています。』 (黒川 恵)
-【Q、クライミングに開眼した瞬間は?】という問いに対して・・
『ないです。いつも暗闇にいて、遠くにちょこっと見える光に向かって一生懸命進んでいる状態ですから。』 (小山田 大)
『だから今の状況が悔しいんですよ。靴もザックもゴアテックスヤッケもこれだけいい時代になっているのに、逆に登山者が減っちゃって。(中略) 情けない時代になったなあと思って。
馬目(弘仁)君は衰退しているとは思えないというけど、あきらかに衰退してますよ。彼の名前を出して悪いけれど、馬目君レベルが昔はゴロゴロいたんだから。各山岳会に二人や三人。』 (国井 治)
-【Q、ボルトは天敵ですか?】という問いに対して・・
『ボルトが悪なのではなくて、残置ピトン、無節操なボルトラダー、初登後に打ち足された残置支点、クラック横のボルトとか知性もコンセプトもないものが嫌いなだけです。そんなルートはこの先つくられるべきではないし、過去に拓かれたそういうルートも消滅の対象。ピッチごとにも、必要のないボルトなどは議論されるべき。ボルトの有無が問題なのではないのです。』
(横山 勝丘)
-【Q、最近、お父さんになりましたね。今の心境は?】という問いに対して・・
『もっと強くなりたい。山への姿勢でも、ふだんの生活でも。』 (江本 悠滋)
『日本の近代登山は100年を数える。その間に先人たちが残した山の文化、軌跡を書物を通じて知るのは楽しいことだし、登山というのはたんに体の運動だけでなく知的な面も大事にするなかで完成される、一種の遊びですよね。その知的なものの象徴として山の書物を手に入れ、大事にし、次に受け継ぐ。今のぼくの位置は、そのつなぎの役目を負っていると認識して本を大事にしていくことですかね。 そういう意味で、たしかにいまここにあるのは自分の本ですけれど、自分の勝手で消滅させるようなことをしてはいけないと心しています。』 (上田 茂春)
-【Q、ひとりで登っていて独り言とかは?】という問いに対して・・
『全然意味のない言葉を発すると、ふっと楽になることってある。このあいだの中国の壁では疲れたとき「パンダ」、この手を離したら落ちそうというとき「パンダ」とか。たまたま中国だからパンダだっただけで、ほかになんでもいいんですけど。』 (山野井 泰史)
これ以上書いても、こんなマニアックなページを訪れる方が読んでくれなさそうなので
自重しますが、どれも非常に重い言葉が目白押しでス。でも一回読み出すとツイツイ
読み進むのは妹尾だけでしょうか?
特にこの本は若い人ほど読んでほしい。
(と、28歳のヒヨッコがほざく笑。)
是非とも、ヤマとは?登山とは?それと関わっている自分とは?などを、
山岳界のキーパーソンの言葉を媒体に考えてみるのも一興でしょう。
それにしても、山野井サン。どんだけメルヘンwww。
あっ、ちなみにコのページで紹介してる本は妹尾が購入してるヤツなので
(立ち読みではない、断じて苦笑)、興味ある方はお貸ししますヨ。
東京新聞 出版部 1700円
コメント